Amazonオリジナルドラマ作品『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~』シーズン1完走しました。
いやー、久々に、気持ちよく海外ドラマにどハマり。
Twitterで話題になっていたのは知っていて、Amazonオリジナル作品では、シーズン2の配信を心待ちにしている『ザ・ボーイズ』や、2019年の大穴ドラマだった『スタートアップ』など、個人的にスマッシュヒットを飛ばす相性のいい作品が多いのと、軽く観られそうだったので、事前情報ほとんどなしに試しに観てみたらこれが大当たり!
世界観、ストーリー共に好き。これはすごく好き。
気に入りすぎて、続けざまに二周した(笑)
あの、スマホ出すポーズがやりたくてしょうがないし、スマートウォッチの色は何色にしよう・・とか一人で妄想してました。
コロナ禍でメンタルやられて海外ドラマ視聴が厳しくなっていた中でのリハビリ期に、ハマる海外ドラマに出会えたことは気持ち的にも大きかったです。
(自分、まだ海外ドラマに情熱を傾けられる余力が残っていた!)っていう実体験を積めた。
この喜びを久々に味わった感謝だけでもどこかにぶつけねばならない、という気持ちでこの時期を書いています(笑)
ありがとう『アップロード』!!
こちらのドラマは、~デジタルなあの世へようこそ~という、変な邦題サブタイトルがつけられている通り、脳の記憶をスキャンしてデータ化し、デジタル世界に自分そっくりのアバターを放り込み、そのアバターに自分の脳記憶を全部”アップロード”して、意識と記憶のあるアバターとして、肉体の死後デジタル世界に生きる意識としての死後の世界と、生きている人間のリアル世界とのやり取りが描かれている近未来が舞台のドラマです。
アップロードされたアバターには、何十人もカスタマーを抱えた、薄給の顧客サービスオペレーター”エンジェル”が付き、死人のサポートをご担当させていただいているのですが、このエンジェルを雇う死後の世界サービスを提供している会社”ホライズン”がまた闇なんだ・・。
そして、その”エンジェル”を演じる、主要キャストの女の子も非常に魅力的でした。
ルックスも可愛かったけど、オペレーター役だからか特に声が良くて英語が心地よかった。
多分観ないとイメージしにくいと思うんですが、ざっくり言うと、オンラインゲーム内の自分のアバターに肉体の死後に入る感じかな。
それこそ今流行ってる、なんとかの森のVR版みたいな。
作り手が日本のゲームやアニメがすごく好きなんだろうなという表現がそこかしこに散りばめられていたと思います。
VR界のお金(コイン)の出る音がアレだったり、ハウル(の動く城)のシステムが取り入れられたりしていたので観ていて楽しかった。
ネトフリ作品のように人権やポリコレを声高に訴えるのも、シンプルでハッキリしててわかりやすくて好きなんだけど、こちらの作品はわかる人にはわかるようなAmazonオリジナルらしいエグイ表現や、リアルすぎる格差社会などが描かれていました。
もしかしたら、ギリギリアウトなのでは? と思う部分もあったけど、そのアウト感も近未来のSF感にリアリティを持たせるのに重要だったのかなとも思います。
ブラックコメディでありながら、凝ったCG、近未来のデジタル製品、それでも人の手に頼らなくていけないアナログな部分、デジタルのもろさ、人と人との心の絆、恋愛、家族、ブラック会社、格差社会などが事細かに描かれる、何やら色々考えさせれた作品です。
わたしは、そもそも、凶悪犯罪者やその被害者の脳の記憶を取り込み、犯罪の解決を目指す警察組織を描く清水玲子のミステリー漫画『秘密』がすごく好きなんですね。
※実写化もされていますが、配役に納得していないため未見
その漫画の頃から、脳に格納されている記憶というのものは、その人の知的財産であり、人生であり、それでいて、脳の持ち主の主観のうえに成り立つ不確かなものであるということは、こちらの作品で充分認識していたため、余計にドラマの世界観が入ってきやすかったという部分はあると思います。
漫画は、基本的にはシリアスなミステリー漫画ですが、うっすらBL表現もありますので苦手な方はご注意いただいて、好きな方は食いついていただきたい部分なのですが(笑)
ただし、BL表現を差し引いても、ミステリー漫画として、作者のそれはもう緻密な美しすぎる描画力、ストーリーのシリアスさから人の闇や人間の欲の本質を描いた素晴らしい作品ですし、人の記憶を人に預けるということはどういうことなのか、より深掘りされていますのでドラマが気に入った方は併せて読んでみてもいいかと思います。
それでは、後半はネタバレを含んだ感想を下記に書いていきたいと思います。
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冒頭は、自動運転(AI付き)の可愛い無駄を省いたデザインの車が行きかう街、それと比較した満員電車の出勤風景で、すでに心を掴まれました。
道路も、よくよく見ると普通の車と自動運転の車が入り混じってる。
車すら持てずぎゅうぎゅうの電車内で半透明のタブレットで『50回目のファースト・キス』を観ている女性と、それをのぞき込む若い女性が、今回のドラマの主要キャストである、”エンジェル”を生業にしているノラ。
わたし、ドリュー・バリモアがすごく好きなので『50回目のファースト・キス』何度も観てるんですが、有名なのでご存じの方も多いと思います。
念のため、観たことない方にストーリーをご説明させていただくと、ある一定の日時以降の記憶を事故の後遺症で覚えることができなくなった女性(それまでの人生の記憶はある)とその女性に恋した男性のラブ・ストーリーです。
もし、この映画の時代に”アップロード”が存在していれば、おそらく主人公の女性はアップロードをそのうち選ぶし、こんなことは起こっていないわけなので、ものすごくこのドラマの世界から見るとファンタジー恋愛映画なんですよね。
(こんな近未来でも、50回目のファーストキスを観ている・・)と初回観たときは胸アツでしたが、二周目で(この作品のチョイスは・・)と、思った次第で。
さらに、クズ上司も、映画の主役と同じ名前のルーシーだったっていうところがすごい皮肉だなぁって、このひねくれた感じが、まずものすごく気に入りました(笑)
デジタル世界にしても、非常によく作られていて、それこそお金を湯水のように使ってCGを凝って作ったんだろうなぁと思ってました。
人工的な湖の波、ちょっと画一的なレトロっぽい景色、歩いていると勝手に本人の意識をサーチされて出てくる広告・・。
多分、最初はよくても1か月ぐらい居ると飽きてくるだろうなぁとは思った。
娯楽にも限界があるし、イチイチ課金が必要だし、その世界のサービス担当のAIはみんな同じ顔でイライラしてきそうだし。
死んでまで人間関係に気を使いたくない。
風邪をひくのが1分1ドルという超高額商品だったり、くしゃみ一回約2ドル。
生きていると、そんなものにお金を払うなんて考えられないものまで課金の世界でできている、完璧なまでの資本主義。
そして、そのサービスを提供しているオペレーターのエンジェルたちが、超薄給。
実際、アッパークラスにサービスを提供している人たちは、生活が苦しいんですよっていう現実を、ドラマで見せつけてくれたのが個人的には清々しかったし、ありがとうっていう気持ちでした。
そこはAmazon、思い切ったキャスティングにしたなぁーとひとつ思ったのですが、エンジェルをやっている人たちに白人がほとんどいないんですよね。
有色人種か、移民。
そしてエンジェルを取りまとめるリーダーの上司は白人(らしき女性)。
アップロードのセレブ世界、レイクビューに居るのもほとんどが白人。
そして、ひと月2G(ギガ)の世界は、格安スマホ使ってるわたしには他人事じゃないんだけど、その2Gに子どもが多かったのが切なかった・・。
お金はないけど、子どもを失った悲しみでアップロードしてしまった人たちがたくさんいるという現実。
食べ物も、本も、景色すらまともにない世界に子どもを送り込んでしまったけど、アカウントをデリートできる決断をできない親御さんを思うと辛かったです。
生きてるものが死を受け止めるのはかなりの勇気が居ると思う。
どこかで生きてると思いたいっていうかさ・・。
それは、わかるけどなんか矛盾を感じた。
愛しているのは自分なのか、子どもなのかっていう。
この作品は、死後の世界だけではなく、死後の世界と現世がVRでやり取りできるっていうところが今までと違うもので、
その世界での価値観も
・生=意識
・肉体あっての生
と二分されている。
しかし、意識があって死後の世界にアバターで生きられたとしても、お金がないと存在できないので、お金がなくなったとしたら二度死ぬことになってしまう。
ドラマを一通り見て、
死後の世界に生きるのは、やはり現世に肉体があってリアルに生きる人の大事な人の心の支えのため・・という結論になってしまった。
それにしても、2Gの世界に会いに行った子どもが辛い生活をしているのを見て辛くならないものだろうか。
なので、アップロードを、生と認めない人の価値観も非常にわかるし、わたしはどちらかというと認めない派。
そして、この作品では死後の世界だけでなく、現実世界でも、”生”のものを食べられるのはお金持ちだけで、貧乏人は、3Dプリンターのような機械が配合した生を感じることのできない”それらしきもの”しか食べられなくなっていました。
もしかしたら、将来はこうなるのかもってそればっかりはちょっと怖くなった。
見た目だけ豪華な、ステーキらしきもの。
ディストピア飯ってよくいいますが、わたし入院したとき数日流動食だったことがあって、魚の匂いのする液状の変な色の食べ物がものすごいトラウマなんですよ。
なので、食べ物の形を優先した気持ちはすごくわかった。
見た目ってすごく大事なんですよね。
でも、貧乏だとそ肉とか魚とか野菜を食べられないのは今のアメリカの貧困層との格差社会を現わしているんだろうなと思いました。
貧困が食事を健康的なものに導けないため、肥満を生んでいるといわれているし。
とにかく、短い時間の中にどんどん社会問題をぶちこんでくる。
キャストはノラも好きだし、ネイサンも後半馴染んできて、アリーシャとかの使い方もうまくて、捨てキャラがいなくてすごい脚本だと思った。
特に、イングリッド、すごくいいよ!
まだ若いし美人だし、色々リアルに描かれていた。
ネイサンのお母さんとイングリッドの戦いがすごく好きだったし、ハードディスクを救うのに、水の中にためらいながらも入っていく姿が可愛かった。
育ちのいいお金持ちのセレブお嬢様、好きなんです(笑)
そして、ドラマを観ている中で考える。
この世界は、”アップロード”を人生の途中で選べるんじゃないんだろうか、問題。
実際問題、主人公ネイサンのアップロード界での友人は退役軍人で、軍役中に負傷して車いすになり若くしてアップロードしている。
アップロードすれば、歩ける、見える、聞こえる、若さも美貌も、あなたの第二の人生をアップロードで!!
例えば、婚約者の片割れが結婚前に余命1か月と診断されたとする。
パートナーと二人で同時アップロードも可能なのでは?
もはや、この世界ではアップロードは巨大産業であり、もちろんアップロード反対派も存在し、日夜アップロード反対デモなど行われるも、政治家の中には政治利用するものも現れ、もう、スマホのない世界には二度と戻れないように、もはやアップロードなくしてはいられない世界。
”アップロードは死ではない”と、日夜叫ぶ者もあらわれる。
アップロード保険ももちろん存在することが予想されるし、お墓の替わりに、永代アップロード!!
・・・とにかく、最終エピソードはすごく意外なラストで終わったので、シーズン2も楽しみです。
最後に、わたしは二回死ぬのは嫌なので、死は人生で一回きりにしときたいなぁ・・。
というわけで、それでは、また。
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