先日、2023年アカデミー賞(第95回)を総なめした
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下:エブエブ)を劇場で観てきました。
月イチで劇場に行けていいペースです!
本当に今回のオスカーは総なめで、
・作品賞
・監督賞(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)
・主演女優賞(ミシェル・ヨー)
・脚本賞
・編集賞
となんと7冠。
ミシェル・ヨーはちょうど一年前に観た『ガンパウダー・ミルクシェイク』ですごくよかったので旬な女優さんだったのでエブエブももちろん観たかったのですが、3/3に公開されてすぐの感想をTwitterなどで観ていると徐々に下がるテンション。
(マルチバースか・・・⤵⤵⤵)
エブエブでミシェル・ヨーよかった!!!っていう人にはマジでガンパウダーはお勧めなので、観ましょう。
ところで、前回の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の時も(マルチバースか…)となっていました。
MARVEL好きのわたしですが最近マルチバースについていけていないこともあり、初見でのマルチバースの世界に若干の不安を感じていました。
しかも制作にマーベルのルッソ兄弟入ってるじゃんと思って。
話がごちゃついてて、せっかく観に行ったけど理解できないんじゃないの? と思って観に行くのを延ばし延ばしにしてたんです。
でも、なんとなくこの作品に関しては劇場で観ておいておかなければならないという使命感がなんとなくあった。
そして、蓋をあけてみると、
マーベルより全然わかりやすかった。
もちろん全部は理解していないのですが、登場人物も少ないし始めから終わりまで二時間程度で話もまとまっているので、そこまでとっちらかってないというか。
あと、劇場で観たのがたぶんよかった。
家で観ていたら途中で寝て離脱していたと可能性が高い感じなので、今後配信などがあったら評価がさらに下がる気もする(笑)
一緒に観に行っていた家人が劇場を出て開口一番、
「意外とメッセージ性がきちんとある作品だったんだね」
と言っていたのですが、その感想にすべて集約されている気しますね。
そうはいっても家人は途中少し寝ていましたが途中寝ていても、きちんと作品のメッセージ性を感じ取っている程度にはストーリーがきちんとある作品でしたし、そこまで難解ではなかったです。
途中何度か泣いたりもしていたし、最後も感動してた。
でも正直なところをいえば、ネタバレなしであらすじを説明できるほどストーリーがないといえばないので、テーマとしては『家族愛』、『母娘愛』、『夫婦愛』がメインで、それに加えて主人公エブリンが人生を見つめる話とわたしは解釈しました。
そういう目線で観る映画でもあるし、そうでもないような気もする不思議な映画です。
わたしは思っていたより面白くて途中飽きずにずっと観ていて大満足でしたが、それでも人を選ぶ作品ではあるとは思います。
この記事を書いていて思い出したのですがエブエブの監督はダニエル・ラドクリフ主演の怪作『スイス・アーミーマン』の人たちなんですね。
わたしはこの作品人には絶対に勧めないですが、割と面白かったんですよ。
そういった意味で監督たちの作る世界観との相性がよかったというのもあると思います。
が、しかしこちらの作品はれっきとしたハリウッドでそれなりに予算を割かれて作られているクオリティーの高い作品であり、今回のオスカー受賞に対しての口さがない差別発言は許しがたいと実際にこの目で観て改めて思いました。
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ストーリーは賛否のわかれるところではありますが、実際に今回の受賞の科目をみても「わかる」としか出てこないです。
特にキャストは完璧では?
主演女優はミシェル・ヨーだし全然疑う余地もないしもちろん素晴らしくて、本当にポリコレ受賞とか言ったやつマジで末代まで呪う感じですが、今回のエブエブでミシェル・ヨーの夫役を演じて助演男優賞をゲットしたキー・ホイ・クァン。
彼、めちゃくちゃよかったです。
本当によかった。
結婚したいぐらい(笑)
子役で『グーニーズ』や『インディ・ジョーンズ』に出演するもアジア人の役の少なさというハリウッド界で裏方に従事し、今回30年ぶりに本格的に演技復帰…と涙なしには読めないウィキペディア。
今まで起用しなかったハリウッドの全監督、マジでエンタメ界に土下座レベルで映画界の損失。
30年ぶりに演技しても演技力は完璧だし、存在感素晴らしすぎる。
カンフーもめちゃくちゃよかった。
彼の演技を観られただけでも、劇場で観た価値がありました。
少しネタバレしますが、最初の人格入れ替えの瞬間に恋に落ちた(笑)
過去作品が、子役のものしか観られなないのがショックすぎるのですぐさま次回作を期待しています。
そして、娘役のステファニー・スーも『マーベラス・ミセス・メイゼル』で見掛けたことがあったけどキュートな魅力全開で。
そんなに極端に太ってないのに、スリムな母ミシェル・ヨーに「太りすぎ」って言われているのがかわいそうだったけど、ミシェル・ヨーがスリムすぎなだけ(笑)
助演女優賞は、「ワカンダのアンジェラ・バセットでもよかったのでは?」とはアンジェラ・バセットへの個人的な思い入れにより思いましたが、アカデミーの助演女優賞って主役を食うタイプは選ばれないことが多いので、まぁ納得しないわけではないです(どこから目線)。
今回エブエブに出演していた中国系の役者さんはみんな言語も堪能で、中国語、英語、中国訛りの英語って使い分けているように感じた(実際のところはどの言語もできないのでよくわからない)し演技もみんな素晴らしいし、こんだけの努力をしてやっと時代が追い付いてきたんだなぁと思うと涙がじんわり出た。
そして、脚本賞ね!!
これすごいのよ。
一回観ただけでは、たぶん伏線全部拾えてないんだわ。
まさかあの愛の告白が伏線だとは思わないじゃん。
あれも、これも伏線だったんだよね。
ベーグルとかさ。
編集賞もそりゃそうだ。
マルチバースのあれやこれやを全部編集してるのすごかったもん。
というわけで、全部の受賞に納得して帰宅しました。
言われている下ネタもそれほどどぎついとは感じず、ただこれはわたしが海外ドラマを普段みているからかもしれなくて、ドラマを観ない人はそうかもなぁとは思いましたが、これは個人差のある話なのでなんともいえないです。
でも、『スイス・アーミーマン』の監督だからそれから比べればソフトな気もしました(笑)
アクションもカンフー好きのわたしは満足しました。
ピザの看板のシーンが特によかったです。
というわけで、そろそろまとめ。
最後になりますが、マルチバースは映画の素材としては面白く使いやすいんだろうと思います。
生まれた瞬間に多次元に存在しているのに、死がそれぞれ違うというのもなんか納得してない。
そして、「今の自分と違う自分がどこかの世界に存在している」という考え方が好きじゃないんです。
(え、この世界戦のわたしはすごく苦労してるのに違う世界戦のわたしは人生楽々かもしれないってこと!?)
っていう単なるひがみ根性からです。
わたしと同じ人物が違う人生を歩めてるなんてことがあってはならない。
でも、エブエブの主人公はどの世界戦の自分よりも一番苦労している存在だった。
その彼女がマルチバースの色々な人生を見たうえで、出した結論のラストがすごく心に沁みました。
非常に良い作品だったと思います。
最後に、
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
第95回アカデミー賞受賞、本当におめでとうございます。
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