『いだてん』第45~第47話(最終話)感想です。
『いだてん』が12/15日フィナーレを迎えました。
脚本の宮藤官九郎さん、そして『いだてん』 製作陣、キャストの皆様、本当にお疲れ様でした。
素晴らしい作品でした。
いつもは録画で観ていたんですが、どうしても最終話はリアルタイムで観たくてTV前で『いだてん』待機していました。
軽く歴女なため、大河ドラマはいつも見始めはするんですけど3作に2作ぐらいは1年保たずに途中挫折しているので、ここまで入れ込んだのも長年ファンである宮藤官九郎脚本ならではだったかもしれません。
あと、シンプルに近代史のドラマは新鮮さもあった。
歴史はどの時代のものもやっぱり面白いんだなって思って観ていました。
1話も落とさずに観て、最終話はリアタイしたのはすごい達成感(笑)
クドカンのドラマはスロースタートで、後半に向けてどんどんボルテージが上がっていく作品が多く、前半に張りまくった伏線を後半にしこたま回収してくるから、序盤で脱落した人たちは非常にもったいなかったです。
今回のテーマ的に、朝ドラだったらもっとたくさんの人に観てもらえたかもしれないけれど、わたしは大河でよかったと思う。
朝ドラでやったとしても「朝ドラヒロインがいないのは・・」とかどうせ文句を言われていただろうし。
主役は、嘉納、金栗、田畑の三人でいいの、これでよかったのっ!
2020年オリンピックイヤーの前年という2019年に、1年を通して日本とオリンピックの歴史を勉強できたうえ、ドラマを通してアスリートたちへの励ましも伝わってきたし、それを応援するであろうわたしの心構えが充分に備わりました。
『いだてん』終わってみるとすごく淋しい。
#40~#44話までの感想
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第45話~第47話(最終話)までの感想です。
オリンピック組織委員会の事務総長を解任された失意の田畑政治(阿部サダヲ)のもとに、東京オリンピック開催に向けて田畑と共に心血を注いでいた岩田(松坂桃李)や松澤(皆川猿時)らが、田畑の家に集まり田畑を心配していた田畑の妻の菊枝(麻生久美子)もほっと胸をなでおろす。
しかし、田畑と共にオリンピックの夢を追いかけていた都知事の東(松重豊)とは袂を分かつことになってしまった。
そしていよいよ1964年を迎えた東京。
オリンピックの準備も大詰めを迎える。
聖火ランナーのアンカーにまさに広島に原爆が落ちた日に広島で生まれた学生を推薦する岩田に平和の祭典にふさわしいと大賛成する田畑だったが、松澤とアメリカに忖度する政府は反対。田畑が組織委員会に乗り込むことになる。
47都道府県で聖火を走らせることになったが、沖縄はアメリカの占領下にあり国旗を掲揚できないという問題が発生していた。
沖縄を外すことはできないと判断した田畑は平沢(星野源)に相談する。
10月10日、快晴の東京でオリンピック開会式が盛大に開かれた。
空にはブルーインパルスが飛び、志ん生(ビートたけし)は高座で富久を演じていた。
きゃーーーーっ!!
志乃(池波)って、志ん生(孝蔵)の孫じゃんねーーーーっ!?
志ん生とりんの長男・清の娘、旧姓・美濃部!!
清の姉である美津子は伯母。
最終話終わってから知ってしまった。
特に意味はないけど、もっと早く知りたかったような気がする。
実在したの落語家の人生を、オリンピックのストーリーと並行させて進めたことには賛否両論あったみたいですが、わたしはオリンピックに話が偏らなかったことは非常に意味があった気がしています。
オリンピックに関係がない落語家が描かれたこと、オリンピックの開会式に高座に上がり、テレビにかじりつかずに寄席に向かった人々が居るということは、”別にオリンピックに興味がなくてもなんの問題もないよ” っていうメッセージだったと思っていて。オリンピックどころじゃない人が居るし、興味がない人が居て当たり前、そしてオリンピックに掛ける人も居て、それぞれでいいという多様性をオリンピックを語るドラマで描く度胸と優しさにわたしは感動していました。
実際問題、ドラマの構成としてもオリンピックだけの物語じゃなかったことで、煮詰まらずにいいスパイスとして見られる部分もあって、さらに言うと孝蔵かっこよかったし(笑)
志ん生を演じるビートたけしの落語は正直いうと活舌も悪くてイマイチでした。
でも、森山未来くんがそのまま演じればよかったとは思わないです。
四三を演じた中村勘九郎は少年から晩年まで演じましたが、唯一、孝蔵夫婦がそのまま役者を継続しなかったことで人の一生と長年連れ添った夫婦の愛というのを実感できたからです。
見た目が変わっても、年を取って若い時のような芸が出来なくなっても、変わらなかったことがあるということがリアルに伝わってきていました。
最後は、志ん生ファミリーが本当に一門みたいになっていたし、若い二人ならあの雰囲気は出せなかったと思うからよかったと思う。
そして、まーちゃんサイド。
満員だった圧巻の競技場にはグッとくるものがありました。
こっちも1年、ずっと心の片隅にオリンピックがあったからね。
この光景を嘉納さんに見せたいってすごく思った。
小松くんの出征ももちろん思い出した。
今度は同じ空が青くて、ブルーインパルスの五輪マークといい、とにかくラスト三話は終始うるうるしていました。
実際の当時の映像ドラマが入り混じっていた演出も、脳が混乱してリアルな感じがしてとてもよかったです。
最後、田畑の家族愛ががっつり描かれていて、菊枝と娘と三人でバレーボールの大松監督に行ったくだりは菊枝の愛でだらだら泣いていた。
そして、ウマさんの花嫁衣裳も綺麗でまただらだら泣いた(笑)
まーちゃんの【俺のオリンピック】がとうとう【みんなのオリンピック】になった。
ドラマが終わったあとのミニコーナーで東洋の魔女のバレーボールの選手の生の声で「誰かのためになんて、こんな辛いこと出来ない。自分のためにやった」と力強く言っていたのが本当に印象的で目からうろこだった。
それが、ドラマにもしっかり反映されていたと思う。
自分で選んだ道を誰も後悔していないのは、みんなそれぞれ自分のためだったからっていう綺麗なまとめ方でした。
まーちゃんは勝手だったけど、すべてにおいて勝手だったわけじゃないです。
自分のためと言っても我儘でいいっていうわけではなくて、譲れない部分はしっかり守ることができれば、後々後悔しないっていうことだと思う。
誰かを支えることが自分のためだっていう人もいる。
みんな違って、みんないい。
主役もわき役もみんなわちゃわちゃしたクドカンらしい明るいラストですごくよかったです。
リアタイから遅れ遅れになりましたが、年内になんとかわたしもレビューを完走できたことは、感慨深い。
なんだか、もっとたくさん書きたいことがあった気がするのですがいろいろな気持ちが織り交ざっていてうまく言葉にならないし、胸がいっぱいです・・。
いいオチはつけられなかったですが、わたしと『いだてん』も、これでお別れです。
それでは最後になりますが、わたしの駄文で締めるのは申し訳ないので『いだてん』公式サイトに掲載されていた、宮藤官九郎氏の『いだてん』執筆におけるインタビューを読んでいってくださいませ。クドカンが描きたかったエピソードも盛り込まれていて、とてもしみじみできます。
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