『いだてん』第35~第39話感想です。
『いだてん』レビューは、1か月半以上ぶりです。
ご無沙汰してます。
ところで、大河ドラマと同じ放送局であるNHKのお笑い番組『有田Pおもてなす』という番組が好きでして。
この番組に大河ドラマの宣伝もあって、神木隆之介くんがゲスト、コントにかまいたちとバイきんぐが登場するという番宣を見かけて、かまいたちもバイきんぐも好きなので観よう!と思ったのに併せて、貯めていた『いだてん』も視聴再開。
ちなみに、この番組のコントは、かまいたちは若干すべったと思うし、ネタ的にコンプラがギリだったように感じた反面、バイきんぐの西村は圧倒的に面白かったです。
西村のコント師としての存在感は元々好きでしたが、かなり突き抜けていた(笑)
そして、見た目も美しく才能も溢れんばかりにあるように思える神木くんがイケメン俳優・佐藤健などに生まれかわり渋谷を沸かせたいと発言しているのを見て(いや、今でも充分沸くし、わたしは佐藤健より神木くんのほうがテンション上がる)と思うとともに、芸能人も人間だなーとほっこりしたわけですが、そういうわけでだいぶ貯まっていたように思っていた『いだてん』も40分が5エピソードなんて3時間ちょっとなんで隙間時間にちょこちょこ観ていたらあっという間に観終わってしまい、現段階で12/1が最新話の44話なんでそこまで遅れていないことが判明。
最終話(第47話)は是非リアタイで一緒に盛り上がりたいので、そこまでの間には全部観たいと思います。
途中かなり貯めた時期もありましたが、今年は大河1話も逃さず終われそう!
#30~#34話までの感想
~第35~第39話までの『いだてん』あらすじ(ネタバレあり)~
1936年、ベルリンオリンピック開催直前IOC委員会が開かれ、ヘルシンキとの一騎打ちの末、東京が4年後の1940年オリンピック開催地の座を手にした。
嘉納治五郎(役所広司)はIOC委員会の最終選考で素晴らしいスピーチを披露したが、アジア初のオリンピックを東京で開催するという悲願を遂げたにも関わらずベルリンの大会を目の当たりにした嘉納は、喜びとは裏腹の重圧に押し潰されそうになっていた。
ベルリンオリンピックは、ドイツのヒトラーの息がかかりものものしい大会となっていたが、日本代表選手がマラソンで初のメダル獲得、女子水泳前畑秀子(上白石萌歌)の試合が行われ日本中が次回オリンピック開催と前畑フィーバーに沸いていた。
ベルリンオリンピックが終わり、4年後の大会に向け準備を進める嘉納だったがかねてから一触即発だった中国との間に日中戦争が勃発してしまう。
日本をあげてのオリンピックに向けての組織が組まれていたが、戦争で経済的にも物資的にも人員的にも逼迫している中、日本でのオリンピックの開催を共に夢みてきていた仲間の中からもオリンピック反対論が巻き起こる。
田畑政治(阿部サダヲ)は、ロス五輪での国や人種を超えたスポーツの祭典を日本で開催したい、今はその時ではないと嘉納に直談判をし、辞退をするように進言するが嘉納は拒否、エジプトでのIOCの委員会で東京での開催を危ぶむ声を封じ込めてしまう。
しかし、エジプトからの帰路の途中、嘉納は病に倒れてしまう。
偶然乗り合わせた外交官の平沢(星野源)に、オリンピックへの熱い思いを語った直後だった。
日本では港で嘉納の帰りを関係者が待ち受けていた。
田畑は平沢から嘉納の思いを受け取る。
嘉納というリーダーを失い、戦争が激しさを増す中オリンピック開催反対への声が激しくなる中、副島(塚本晋也)は苦渋の決断をする。
オリンピックの東京開催が中止になり、金栗(中村勘九郎)は東京オリンピックに出場させようと東京に連れてきていた小松(仲野太賀)を連れて熊本に帰ろうとするが、ハリマヤで住み込みで職人の修行をしていたシマの娘りく(杉咲花)に恋をしていた小松は、りくに求婚。2人は結婚し、息子の金治を授かったが、小松に召集令が下り出征することになってしまう。
一方、読売巨人軍の祝勝会で一席設けることになった志ん生(ビートたけし)は脳出血で倒れる。
一命をとりとめ、意識も回復した志ん生だったが、妻と娘たちに禁酒を強いられるのを嫌がり弟子の五りん(神木隆之介)に秘密を守らせ酒を調達させた。
そして五りんに、満州に慰問した当時の戦時下の話を語り出す。
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第35話~第39話までの感想です。
朝ドラとかもそうなんですけど、日本の近代史を語るうえで外せない日本の戦争問題。
人類が誕生して集団生活するようになってからずっと、現代にいたるまで地球のそこかしこで行われている戦争。
生きにくい世の中とはいえ戦争がなく、食べるものが豊富にある国と時代に生まれたものとして、戦争という理不尽に巻き込まれた人々の生活を見るのはやっぱりしんどい。
今は大丈夫だけど、これからそういうことがないともいえないし、そうなったら真っ先に死ぬランクな国民だっていう自覚もあるし。
そんな戦争エピソードですが、今回の#35~#39の5エピソードでなんとか終わってくれました。
四三が目をかけていた小松くんがこんな辛い結果でドラマを去るとは思っていませんでしたが、クドカンドラマ名物、”伏線回収”がありましたね。
シマちゃんの娘のりくちゃんが、五りんのお母さんなんだろうなとは思っていましたが、お父さんが小松君だとは思っていなかった。
最後、志ん生のところに弟子入りした五りんと小松くんを繋ぐ展開は相変わらずお見事でした。
『いだてん』冒頭から出ている小道具のハガキが、約40話の脚本を経てやっと話が繋がるっていうその場しのぎじゃないストーリーにいつもびっくりさせられる。
視聴者は志ん生にも、五りんにも小松くんにも愛着を持っているし、それを多少強引かもしれないけど、観ているこちらは特に不自然に感じることもなく時代と繋げて1つの印象深いエピソードにするなんてやっぱり天才だよなー。
小松くんを演じていた仲野太賀くんは、クドカンのドラマ『ゆとりですがなにか』で”ゆとりモンスター山岸”を好演(?)(当時の芸名は太賀)していて、さらには『ゆとりですがなにか』のスピンオフ『山岸ですがなにか』で主役を演じ、現在『おっさんずラブ-in the sky-』でヒロイン(黒澤部長じゃない)を演じている佐津川愛美さんと、微笑ましいラブストーリーを繰り広げていたのが記憶に新しい・・と思っていたけどもうゆとりは3年前、山岸は2年前だった(笑)
当時から演技力高いなーと思っていたけど、ゆとりモンスターから戦前の若者まできっちり演じていて、『いだてん』の出演ラストでは、満州で富久を笑い泣きしながら聞き、いてもたってもいられず危険な外に走り出してしまったときは、脚力で逃げ切ることを心から祈りましたが、銃弾に倒れてしまって胸が痛かったです。
さらには、志ん生演じる森山未來くんの熱演で、くやしくて泣きました。
”万歳”も、”お国のために”も、自分に嘘ついて言い聞かせないとやってらんないんだろうなって観ていて思いました。
まーちゃんの上司の竹虎(リリーさん)の「嘘でもいいから」が重かった。
戦争を始めてしまう人だけに言えることだけじゃないけど、支配欲とか征服欲とかお金って本当に厄介だね。
自分の大切な家族や友人と、毎日他愛のないことで笑って美味しいご飯を食べて過ごすことよりも、見ず知らずの人に対して力や権力を誇示したい欲求にかられたり、そのためにお金が欲しかったりすることって悲しくないのかな。
そのために不幸になる人のことを考えられない人が定期的に出てくるような世の中に、なぜ神様はしてしまったんだろうと、戦争の辛いエピソードを見るたびに思わずにいられない。
そして、今回の五話で辛かったのは、戦争ももちろんですが、ずっとそこに居た治五郎の死です。
日本のスポーツの発展に最後まで尽力した治五郎にオリンピックを見せてあげたかったなー。
まさに人柄だけで色々乗り切ってきた典型のようなキャラクターでしたし、本来ああいう無鉄砲な人はあんまり好きじゃないのですが、治五郎は好きでした。
日本が初めてオリンピックに参加してた時からこちらはずっと観てるし、羽田の予選会やオリンピックのことを語るシーンはグッときました。
大河ドラマは歴史ものが多くて、それでも今回は近代史だから、存命の人もたくさんいるけど、戦国時代なんかは描かれるかどうかは別として全員死亡がネタバレしてるの辛い。特に今年は、ちょっと個人的にドラマの登場人物の死に対してナーバスになっているので・・。
そして、最後に明るい話題で締めくくり。
東京オリンピックの前年に、日本人女性初の五輪金メダルを獲得した前畑秀子選手の物語が大河ドラマとして放送されたことは非常に意味のあることだったと思います。
前回のロスのオリンピックで0.1秒の差で負けて、東京市長に銀メダルだったことを責められてから4年の間に、プレッシャーと戦い偉業を成し遂げた選手が居たということは事実だけれど、スポーツ選手に国を背負わせてはいけないと思った人も居たと思うし、前畑に「頑張れって言わないで!」とキレられたまーちゃんがオロオロしていたけど、やっぱり応援の気持ちを端的に伝えるには「頑張れ」しかないんだよな。
前畑みたいに思うスポーツ選手もいると思うけど「頑張れ」にはいろんな思いが込められていて、応援している人が勝ったら嬉しいけれど、それだけじゃないから。
それにしても、1話40分の間に、合計で何回「がんばれ」という言葉が耳から入ってきたのかと思うほどの「がんばれ」の雨でした。
頑張る前畑にも、頑張れを頑張る応援の姿にも素直に感動しました。
あと、マラソンでは優勝した選手が日本人じゃないことに言及していたところも素晴らしかったと個人的には思いました。
この先もっと、いろんな出自や肌の色の日本代表が増えるだろうしわたしは全然問題ないと思う派だし、そういう風潮が広まれば、余計なことを考えずにもっと選手が楽に大舞台に臨めると思う。
1940年のオリンピックから20年以上経過した1964年までの軌跡がこれから最終話まで(?)描かれると思うので、あとはトラブルがあったとしても基本的には高度経済成長の始まりの時代だから、そんなに暗い話にはならないといいなと思います。
まーちゃん、最後まで頑張れ!!
「あれがなにして、今日はあれするから!」の難解不明な日本語をさくっと解明されて「あれを何なさるんでしょ」と返されている田畑夫妻最高です(笑)
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