2018年のエミー賞、【コメディ/ミュージカル部門】の作品賞、主演女優賞など計8部門受賞した、Amazonプライムオリジナルドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』。作品の存在自体は知っていたのですが、Amazonプライムビデオ自体の作品紹介での紹介の仕方やあらすじが微妙(見ていただけるとわかると思います)で、(主婦がコメディエンヌを目指す話・・しかもコメディ・・)のような感じで、テンションが上がらず、なんとなーく、他に観たいものがたくさんあるしってことで、観る候補に入れてなかったのですが、今回エミー賞のコメディ部門の作品賞を獲得したことでミーハー根性から『じゃあ、試しに観てみるか!』となったのですが、
「何故、もっと早く観なかったんだ、わたしっ! くそっ!!」
ってなったので、このドラマを推していきたい理由と魅力をお伝えしていきたいと思います。
まだ未見の皆様も、今ならまだシーズン1しか配信されてないので、気負いなく見ることができます!
一緒にミセス・メイゼル仲間になりましょう(笑)
※Amazonプライムビデオにリンクしています。
Amazonの作品の紹介の仕方が微妙と、冒頭から軽くdisってしまったのですが、いざどういう話か自分が紹介しようとなると、同じような紹介しかできなくなってしまって困っています・・。
ユダヤ人の両親のもと裕福で何不自由なく育てられ美しく成長したミリアム(通称:ミッジ)・ワイスマンは大学で知り合った、裕福な家の息子のユダヤ人、ジョール・メイゼルと大学卒業後すぐに結婚。
ニューヨークの高級住宅街に住み、夫を献身的に支えつつ夫婦仲も良好、子ども2人にも恵まれ、何不自由なく専業主婦としての人生を完璧に歩んでいたミリアムに、結婚から4年後の1958年、ミリアムに転機が訪れる・・
ってAmazonの紹介と大して変わらん(笑)
でも、これだけは言える。
多分、思ってるのと違うからとりあえず観てみて!! 3話ぐらいまで!!
わたしは思ってたのと、全然違いました。
何が違ったかというと、まず作品の雰囲気。
ミュージカルじゃないのですが、ミュージカル調の音楽が差し込まれていて、さながらちょっとレトロな時代が舞台のミュージカルを観ているような雰囲気です。
すっごいオシャレな映画のような感じで、1958年のニューヨークの街を彩り鮮やかに描いています。イエローキャブとっても可愛い。
昔の車のドアならではの金属音も耳に心地いい。
そして、主人公ミリアムの洋服がどれも素敵で倒れそうでした(笑)
発色のいい昔ながらの重たい生地のセットアップや可愛いデザインのドレスを、毎回毎回きっちり着こなす主人公のミッジ。
そして、ちょっとネタバレになってしまうのですが、ミッジが結婚する相手のジョールの実家がアパレル工場を営んでいて、可愛いワンピースやらドレスがたくさん出てきます。
(撮影で使ったあのたくさんの素敵な洋服たちは一体どうするんだろう)という女心を刺激する仕上がりです。
あの洋服たちだけを観ているだけでも価値のあるドラマだと思ったのですが、内容もすごくいいのです。
お嬢様の結婚話だし、お洋服は素敵だけどこれは果たしてドラマとして大丈夫か・・?
って1話の途中まではなるんですけど、大丈夫です!
お嬢様の結婚話だからこそ、大丈夫なんです。
1958年の高級住宅街に住む人たちだけではなく、ダウンタウンの人々との交流ももちろんありますし、押しつけられていた女性としての幸せな生き方、家庭における父親の存在、母親の過干渉、などの家族問題に始まり、当時の女性が受けた差別や生きにくさ、そして人種差別などの社会問題がそれほど重たくなく、おしゃれな雰囲気にぶち込まれています! しかもコメディなんで、ちゃんと笑うところもあります。
そして、エミー賞主演女優賞を獲得した、主人公ミッジを演じるレイチェル・ブロズナハンの演技がとにかく素晴らしかったです。
洋画や海外ドラマは、どんなにたくさん観ても素晴らしい女優さんや俳優さんが湧いて出てくる(笑)
それでなくても最近のわたしは『もうこれ以上、外国人の名前を覚えられないっ!』って脳が主張しているらしく、飽和状態になっていて、大好きなドラマのメインキャストの登場人物の名前が突如出てこなかったりするんですよね(老化)。
なのに、なのにどんどん上書きされていってパニックを起こしかけているわたしの脳。
嬉しい悲鳴とはこのことです。
と、話はそれましたが、主人公ミッジの魅力でした(笑)
美人なことはもちろんのこと、華があり笑顔も美しくそしてコメディエンヌを目指すだけあって、声がいいんですよ。
彼女がやるのはスタンダップコメディという、ステージ上に立ち一人で色々話し笑いを取る漫談なんですが、自虐ネタあり、差別アリ、下ネタもアリというもの。
もちろん、今もあんまり変わっていないかもしれませんが、男性社会でありミッジの時代に女性のスタンダップコメディエンヌはほとんどいません。
落語とも、講談ともちょっと違う・・漫才は2人だし、フリップ芸とも音ネタとも違うということで、日本で今あれをやっていて、有名な人で思い出せるのはR-1に出ていた盲目の芸人濱田祐太郎氏ぐらいしか思い出せないぐらい日本では一人で話すというだけで笑いを取るという手法は珍しいと思います。
正直、日本人のわたしには、笑いのツボが合わない部分もあるし、特にミッジはユダヤ人なので、ユダヤ人の文化やユダヤ教を始めとするユダヤネタがわからないのですが、それを凌駕する話術の魅力。
ミッジを演じる女優さん、声音とか間とかどんだけ練習したんだ・・と驚愕しました。
ただし、観る側の今までの生きてきた環境や価値観、人生観で、主人公ミッジに反感を持つ女性も出てくるような気はします。
2人も小さな子どもがいる母親でありながら、母親としての彼女ではなく、妻や娘としての部分が多く描かれているところ、決して完全無欠ではなくダメなところも山ほどあるし、性格も別にそれほどいいわけでもない。裏表もあるし、失敗も山ほどする。
わたしも共感できない部分もあったけど、でもそれが、逆に等身大の20代のミセスっていう感じだし、母親としての部分が少な目に描かれているのは、このドラマの主旨として、わざとではないかと思いました。
色々な意図を予測はできますが、お金持ちの育児として、育児に外注多めなのは当時として当たり前のことだったのかもしれないし。
わたしは、子どもの居る女性の母親ではない部分に焦点を当てるこのようなドラマも、もちろんあってもいいと思いましたが、多分このドラマを日本でやったら『母親のくせに!』って炎上すると思います(笑)
そして、もう一人、このドラマに欠かせない人をご紹介させてください。
主人公ミッジの理解者としてドラマにスパイスを効かせてくれる個性的な女性、スージーです。
お嬢様で高級住宅街で主婦として暮らしていたミッジと正反対の境遇ですが、彼女も夢を持つ人物として、彼女なりの人生を一生懸命歩みます。
そんなスージーとミッジが徐々に築いていく絆もこのドラマの見どころの一つです。
ここで、すこーしネタバレなのですが、シーズン1の最後は、【コメディ】としては切なく終わりました。
「あー、面白かった」という感じでは全然なく、色々考えさせられるラストです。
結婚とは、家族とは、仕事とは、夢とは、愛とは、そして、幸せとは・・。
多い! テーマが多いぞ!(笑)
まだシーズン1しか配信されていませんが、シーズン1の第1話のパイロット版の制作中にシーズン2が決定し、さらにシーズン3まで制作が決まっているとのことで、どこまでシリーズが伸びるのか、【ミセス・メイゼル】がどこまでマーベラスになるのか。
色々、気になる点はあるドラマでもありましたが、エミー賞を8部門も受賞してしまった今作に、Amazonがどこまで本気で取り組むのか、楽しみでもある作品です。
とにかく、シーズン2が配信されたら、絶対続きを観たいと思います。
それでは、またー!
<スポンサーリンク>