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『いだてん』#30~#34 ネタバレ感想  “銅”は金に同じだし、日の丸弁当には名もなき人々の人生がある。

『いだてん』第30~第34話感想です。

 

前回『いだてん』の感想レビューを書いてから約1か月。

以下、少し愚痴です。

 

未曾有の災害があったら消費税は値上げされないはずが、2019年甚大な被害をもたらした台風15号の存在を国的にはなかったことにしたかったらしく、しばらくの間完全な無視をきめこまれ、本日消費税が無事10%になりました。

無視きめこんでたこと、死ぬまで根に持つからな・・。

 

そして、申し訳程度に据え置かれた軽減税率の制度にわたしも振り回された一人なんですが、今後しばらく混乱を極めそうです。

 

決めた人は、何もやらないからいいよねー。マジで。

 

”税金を払う側”が大変な目に遭ってるんだもん。

 

理不尽な年貢を言い渡され、年貢がダイレクトに生活を直撃する農民が年貢を払うために苦労し、増やされた年貢を払った恩恵もない・・って、何このシステム。

 

10万円で、2千円多く税金払うための代償大きすぎない?

給料増えないし実質減給で、仕事増やされてるっていう。

 

近代日本史を描く『いだてん』を観ていて、本来であれば一揆レベルの現在の国政と重なる部分もあって、それでも必死に生きようとする庶民の暮らしを描いてくれるところがこの作品の好きなところでもあります。

この絶望的な現状がよくなるわけではないけれど、それでも少しだけ力をもらえる気がする。

 

 #25~#29話までの感想

 

 

www.meganetamago.com

 

 

~第30~第34話までの『いだてん』あらすじ(ネタバレあり)

 

1932年ロサンゼルスオリンピックが開幕。

田畑(阿部サダヲ)は、水泳総監督としてオリンピックの選手団に参加していた。

実況中継で日本にオリンピックの様子を伝えるはずが、実況中継を禁止されたアナウンサーの河西(トータス松本)たちは、”実感放送”として日本へ日本選手団の活躍を届けることに。

一方、田畑から新聞の紙面を任された酒井菊枝(麻生久美子)もオリンピックの結果を待ちわびていた。

そんな中嘉納治五郎役所広司)は、立候補都市がひしめくなか1940年のオリンピックの候補地に10都市目としてTOKYOの名乗りを上げることに。

メダルラッシュと悲喜こもごもが続く日本水泳陣の中で、女子の水泳・前畑(上白石萌歌)が200mの決勝の舞台に立っていた。

緊張する前畑だったが、初舞台で大健闘を見せる。

日本水泳陣の活躍に興味を抱くIOC会長ラトゥールの前で、日本水泳選手団による日本泳法のエキシビジョンが行われる。

オリンピックを終えた田畑の前に、感謝の見送りに現れたのはアメリカで必死に生きる日本人や日系人たちであった。

帰国した日本選手団を待ち受けていたのは、金メダルを獲らなかった選手へのバッシングだった。

体協会長の岸(岩松了)は、選手に暴言を吐いた東京市長・永田(イッセー尾形)に猛烈に抗議するが、岸はその後病に倒れてしまう。

1940年の開催都市がほぼ3年に絞られ、その中でも激しく開催を争っていたのが東京とローマだった。

治五郎は、イタリアの首相ムッソリーニに開催都市を譲ってもらうよう直談判しようと言い出すが、本人はイタリアに行けない事態に陥ってしまう。

嘉納の代わりに、田畑とIOC委員の副島(塚本晋也)とイタリア大使の杉村(加藤雅也)が尽力するが、杉村は焦りのなか、IOC会長ラトゥールを怒らせてしまい、1940年の開催に向けて絶体絶命のピンチに陥る。世界情勢も戦争の気運が高まっていく。

そんな中、嘉納はラトゥールに日本に視察に来てもらうよう手紙を出す。

熊本では、気の抜けた生活をしていた四三(中村勘九郎)が九州一周マラソンをしていた青年と知り合って一緒に走っていた。

四三は、治五郎からオリンピック招致に協力してほしいという手紙を受け取り、熊本を出る決意をして、幾江(大竹しのぶ)とスヤ(綾瀬はるか)にそのことを話す。

熊本を出発する直前に、東京の情勢が変わり足止めを食らってしまう。

陸軍の青年将校らによるクーデター、二・二六事件だった。

戒厳令が敷かれる東京で言論にも圧力がかかり、田畑の勤める新聞社も例外ではなかった。

そんな物騒な東京に、ラトゥールが1か月の道程を経て到着することになった。

全力でもてなす田畑や治五郎たち。

ラトゥールが見た東京は、軍の兵隊が行きかう中、スポーツを楽しみ、力強く生きる人々の姿だった・・。

 

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第30話~第34話までの感想です。 

 

あらすじ、だいぶカットしたつもりだったけどやっぱり長くなっちゃいますね(笑)

今回の5エピソードの中で特に印象的だったのは、スポーツが、選手本人そして周りの人々に与える影響力、田畑と酒井菊枝の結婚、そして二・二・六事件ですね。

 

前半のロサンゼルスオリンピックでは、田畑の突っ走る部分と繊細な部分が露わになると共に、選手たちの世代交代や、勝負が時の運(大事な試合の前に体調を壊したりしてしまう)だったり、無責任な周囲のプレッシャーに苦しむ姿。

そして、アメリカに移民した人たちが差別や苦しい生活に喘ぎ苦しんでいたなか、希望の光を灯してくれた日本人選手たちが描かれました。

 

なんだろう、うまく言えないけどオリンピックシーンは、ドラマだとわかっていても心の底から応援してしまう。

特に、後進に出場の場を譲らなければいけなかった鶴田とかっちゃんの悲哀も切なかったので、鶴田が大横田の胃腸炎で出場することになり、金メダルを獲ったシーンは夢中で応援することになったし、泣いた。

そして、日本人移民としてアメリカで肩身の狭い思いをしていた人たちが田畑の前に現れて、感謝の言葉を述べたときも、頑張る人を応援することで力をもらえる素晴らしさを思った。

日本の新聞社で田畑に紙面を任された酒井菊枝が、大横田が体調不良で銅メダルの知らせを受けたとき、画面は紙面を見つめる菊枝の目線で、田畑の書いた【金メダル】の文字を見ていて、しばし紙を見つめていた彼女が、金を消さずに横に”同”を力強く書き足したとき(なんて粋でかっこいい、優しい演出なんだろう)と涙しました。

 

日本人選手の金メダルに固執するのはもうほんとにほんとに、ナンセンスだからやめよう。

 

東京市長が、前畑に「なんであと少し頑張れなかった」っていう悪気のない発言をし、岸にブチギレられていて「でも、みんなそう思っているんだ・・」って、本当にキョトンとして言っていたけど、あれが現実なんだな・・とは思った。

だいたい、スポーツ選手にごちゃごちゃ言う外野に限って、国を背負ったことなんてないんだけど、何も知らない人ほど悪気なくああいうことを言ってしまうんだよね。

 でも、あれからだいぶ時間は経過しているし、スポーツの有りようも見方もあの時とは変わっている。

スポーツに秀でてるだけっていうだけで、見知らぬ他人に傷つけられるようなことがあってはならない。 

 

国を背負ってってとか、みんなの期待を背負ってっていうけど、それこそ国を背負って、国民の期待を背負ってるはずの政治家より価値のある頑張りを見せてくれる人がたくさんいるし、そもそも、そんなものは背負わなくていい。

 だいたい、本人となんの関係もないスポーツを観ている視聴者で、その勝負に感銘を受けて人生を左右される人が居ないとは言わないけど、ごくごくわずかでだいたいの人は日常生活に埋没されるものなので、選手たちには気にしないでスポーツをしてほしいと思います。

 

本人が頑張った結果、金メダルならそれは喜ばしいことだけど、日本人選手じゃない人の金メダルだって、その選手が死ぬほど頑張った結果なんだよ。

応援してる選手が負けるのは悔しいけど、死ぬほど頑張った者同士の一発勝負で負けるのは仕方のないことで、悔しがってる本人に傷を抉るようなインタビューとかするの本当にやめてほしい。

家で、身近な人同士でスポーツの事や選手について話し合うのは自由ですが、応援の言葉以外は本人の耳に届かない範囲で行うのが、スポーツを見るもののマナーだとドラマを観て改めて思いました。

 

そして、田畑と酒井菊枝の結婚は、”まーちゃん”らしくてよかったです。

すっごいお似合いです。

『いだてん』は、どのカップルも根本的にみんな愛し合ってていいなーと思う。

セイさん以外の夫が自由すぎるのが問題あるとは思いますが、昔の人の話の割に差別感が(比較的)少ないので、見ていてなんとなく安心感はあります。

 

実際、田畑も浜松のお坊ちゃんだし、菊枝も社長令嬢なんでお家柄的には問題なかったんだと思うのですが、2人でいるシーンはもれなく好きでした。

特にロスから帰ってきて、田畑がアメリカのお土産のチョコを雑に投げていて、菊枝にも投げ渡して「今すぐ食えっ!」と叫び散らし、無言で、もそもそチョコを食べている菊枝がすごく可愛かったし、その後、チョコ食べてるのに、勝手にロスでの後悔の気持ちを一人爆発させるまーちゃんに冷静に対処したのに「変な声・・」と言われても、言い返さない菊枝に大和魂を感じたし、あの情緒が非常にうらやましいです。

さらに、新婚生活も満喫できない中、勝手な行動を繰り返す田畑に対し、なんの断りもなく『まーちゃん』と呼び始め、面白がってる菊枝に対し咎める風でもなく「二人の時だけで・・」傍目には、”好き放題やっている田畑と苦労している奥さん”だろうし、実際そうなんだけど、わたしには菊枝が面白がっているように見えて、幸せそうに見えます。

最終的に、好意を寄せていた田畑からプロポーズさせることに成功している。

完全に菊枝の手中に収まっているのが小気味いいです(笑)

 

最後に、勃発した二・二・六事件で混乱に陥る日本。

オリンピックのしっぽを掴んだと思ったら逃げられるの繰り返しですね。

それでも諦めない治五郎には頭が下がりますが、150歳まではさすがに無理だと思うのでなんとか・・、とは気持ち的には思っていますが、1940年のオリンピックに関しては日本国民総ネタバレしている現状ですので、こればっかりは、ね。

歴史ドラマだから、仕方ないですね。

そこの事実を捻じ曲げるわけにはさすがにいかないので。

 

いつも、感心しているし嬉しい気持ちで観ているのですが、クドカンのドラマは一生懸命生きる歴史に名を刻まない人を置き去りにしないところが、とても好きです。

それに一役買ってるのが孝蔵ファミリーとセイさん夫婦、そして熊本の池部家で、国がオリンピックだ~、軍国主義だ~と騒いでいて、更には二・二・六事件の当日の東京で、孝蔵ファミリーは引っ越しをしようとしていたし、実際引っ越した。

オリンピックに浮かれる四三に池部の母は、四三がそばにいないと淋しいと泣いて訴えた。

なんの関わりもない生活に追われる人々は、オリンピックがどこで開催されるとか関係ないし、戦争が起きても子どもはお腹すかせるもんなー。

世間で何が起きたって、日常は続いていくんだもん。

もちろん、巻き込まれたり、振り回されはするけど、それ以上に生きていかなきゃいけない。ここで生きていく以外に選択肢はないから。

そういう、人々のたくましさや笑える強さをラトゥールを交えて表現してくれたのには頭が下がった。

働く男セイさんのお弁当は、白いご飯がこれでもかと詰め込まれたお弁当箱に赤くて丸い梅干しが一つ。

実際には、日の丸弁当をラトゥールは食べていないと思うけど、美しい日の丸に、あのシーンを観ていた日本人みんながじんわり来たと思います。

 

ところで、志乃(おりんさん)は芸人の嫁にほんとうにピッタリだよね(笑)

貧乏芸人の嫁で子どもを三人も抱えて苦労しただろうに、昔話を、観音様のほほえみで聞いてる志乃。

孝蔵と志ん生もすごい寄ってきたし、わたしは落語とオリンピック噺の並走好きだよ!

オリンピック噺だけだと、飽きたと思う。

五りんも、孝蔵も玄人はだしになってきた。

そして、【アウトレ〇ジたけし】の登場は笑いました!(笑)

落語組が、外国人を吹替えすると言う演出はすごく面白かった。

 

本当にこれで最後、次回予告でシマちゃんの声が一瞬聞こえた気がするんです。

シマちゃんの忘れ形見が同じ役者さんで登場か? と、期待しています。

 

キリのいいところまで観たら、また現れますね(笑)

それでは、また。

 

 

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いだてん 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

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