Amazon オリジナル『グッド・オーメンズ』シーズン1感想です。
【Omen】(オーメン)
・前兆、予知、予感、予言、お告げ
というわけで、天使と悪魔の物語なのですが、ものすっごいド直球のイギリスコメディです。
なので、イギリスコメディが好きな人はすごく好きだし、合わない人は全く面白さがわからないという二手に分かれるドラマだと思います。
ストーリー的には、わたしも大好きな漫画である『聖☆おにいさん』に出てくる天使と悪魔のスピン・オフみたいでした。
『聖☆おにいさん』の2人をかっこいいイギリスおじさんにして、関係性をもっと深くしたって感じかな。
この漫画を読んでいたり、キリスト教の素地を知っていたり、ヨハネの黙示録を多少知っていたりすると、もっと突っ込んで楽しめるドラマだと思います。
基本的にはバディものというか、キャラが真反対の男性二人のブロマンスです。
観始めた時に言われたのですが【腐的な感じ】と言われれば、それっぽくもありますし、天使と悪魔という性別も実態も危うい存在の2人なので、解釈次第というところでしょうか。
ただし、天使と悪魔を演じた2人の俳優さんが、インタビューで『ある意味ラブストーリー』と言っているので、ラブストーリーはラブストーリーなんでしょうけど、多種多様なラブがありますので(笑)
※インタビューのソース記事はこちら
以下、あらすじを挟んで個人的な感想を書いていきたいと思います。
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~あらすじ~
時はさかのぼり神が最初の人間、アダムとイブを作り出した6000年前。
本来は交流を持つことを禁止されている天使と悪魔だったが、秘かに交流を続けていた天使のアジラフェルと悪魔のクロウリー。
2人は下界に降り立ち天使と悪魔の仕事として色々な歴史を作り出し、目にしてきたが、時を経て現代のロンドンですっかり下界の生活に馴染んでしまっていた頃、天界から世界の終末ハルマゲドンの準備を告げる伝令が下された。
ハルマゲドンを引き起こすサタンの息子はクロウリーに託され人間の子どもとして育てられた。
その子どもが11歳を迎えた時、終末を引き起こすヨハネの黙示録に記載されていた四騎士を率いるものとして覚醒することになる。
子どもが11歳の誕生日を迎え、地獄の番犬がサタンの息子の元に送られ、神が計画していた世界の終末、天使と悪魔の大戦争までのカウントダウンが始まってしまった。
なんとか天使と悪魔の戦争を止め、人類を滅亡から救おうと奔走するアジラフェルとクロウリー。2人は神の計画に反し、人類を滅亡の危機から救うことができるのか。
わたしは、イギリスコメディのテンポや雰囲気が割と好きなので、ストーリーや音楽、ファッション、ロンドンという場所、そしてアジラフェルとクロウリーという天使と悪魔二人のキャラがすごくよかったので、楽しめました。
シーズン2が配信されたら観ると思います。
今年観たNetflixの『アンブレラ・アカデミー』をきっかけに、キリスト教について造詣をあらかじめ深めてあったというのも、大きかったかなと思います。
このドラマについては、2万人のキリスト教信者が、Amazonオリジナルドラマであるにも関わらず、全く関係のないNetflixに配信差し止めの抗議をし、Netflixが「グッド・オーメンズをNetflixでは配信はしません」と答え、AmazonもNetflixの人気ドラマ「ストレンジャー・シングスをAmazonでは配信しません」と答えたというネタ的なやり取りもあったわけですが、キリスト教信者が何故、このドラマにそんなに腹が立ったのか、信者ではないわたしにはさっぱりわからない。
神の御使いである天使と、それに対抗する悪魔が、世界の終末を止めようとすることがそんなに宗教的にいけないことだったのか・・?
ヨハネの黙示録として有名な【世界の終末】はまだ訪れていないわけだし、どんな終末なのか誰にもわからないわけで、架空の終末を描いたのがダメだったのか・・。
世界の歴史の悪行に悪魔が絡んでいるとするのがダメだったのか・・。
それに、2人が本格的にイチャイチャしていたとかならともかく、2人でご飯を食べたり、お茶をしたり、更には人類を救おうと頑張っていただけだったのに・・。
Amazonレビューを見ると「差別(特にアジア人への)がひどい」というレビューも散見されましたが、イギリスコメディというのは、ブラック・ジョークが基本なのではないかと思って見ているので、わたしはあまり気にならなかったです。
確かに魔女狩りのおじさんとか、あのキャラ設定はどうなんだろう? という人も居まして(この人の顔見てると、なんかイライラするし猛烈に腹が立つんだよな・・)と思っていたら、『ベター・コール・ソウル』のチャックだったというオチもあったりして、イギリスコメディだから笑えないという訳じゃなかったということも付け加えてはおきたい話です。
それに対して、アメリカコメディはブラック・ジョークのものもありますし、差別的なものを笑いにかえることもありますが、下品的な方向やドタバタした明るい方向の笑いに話を持っていきがちなのに対し、イギリスコメディは、抱腹絶倒というよりニヤニヤしながら観るタイプが多いと個人的には思っていますし、すごーくたくさん観たわけではないので、通ぶれないのが非常に残念です(笑)
余談ですが、イギリスのコメディアンであり、俳優で人気のあるリッキー・ジャーヴェイスの1時間以上にも及ぶスタンダップショー(一人でずーっと喋りつづける漫談)を見たことがあるのですが、会場が大爆笑なのに対し、わたしはほとんど笑わなかったです。
つまんないとは思いませんでしたが、どこで笑っていいのかわからなかったし、笑うような話でもなかったと個人的には思ったので。
笑いのツボが、アメリカ人以上にイギリス人とは全然違うんだと思います。
ただし、愛を皮肉でコーティングするのがイギリスの笑いなんだなというのは非常によくわかりました。
そういったわけで、表面的な感じでは非常にわかりにくいイギリスコメディではありますが、この作品は、主役2人のキャラが非常に立っているのでそういった意味では面白かったです。
そして、作品全体に流れている『愛』も感じることができました。
冒頭の数エピソードは、悪魔のクロウリーのツンデレ&イケオジぶりに心を動かされましたが、最終話では、完全に天使のアジラフェルを推してました(笑)
ストーリーだけではなく、イギリス独特の衣装や建物やセット、天使と悪魔のビジュアルや小道具、そしてイギリスを代表する伝説のバンド・クイーンの楽曲が効果的に使われていて盛り上がりました。
そして、出演者も言っていた通り、作品内に溢れる『愛』がよかったと思います。
天使と悪魔の人類への愛とか、お互いへの愛とか、そうそう、家族愛とかも。
非常に面白く、興味深い作品でした!
シーズン1、6エピソードだけでは非常にもったいないと思うので、是非続編を見せて欲しいです。
というわけで、それではまたー。
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