ネットフリックスオリジナルドラマ『デレク』シーズン1を完走した時点で、おススメ記事を既に書いていたのですが、その後、残りシーズン2の6エピソードと、シーズン3とされる1時間の特別エピソードを完走したので、思いのたけをぶつけに戻って参りました。
今回は、全話視聴済みの『デレク』ファンの人に向けて記事を書きたいと思いますので、ネタバレを含みます。
ですので、『デレク』未見の方はまず、下記をご覧ください。
以下、観た人にしかわからない、ネタバレありの感想をお送りします。
まず、シーズン1で大好きだったダギーが居なくなってしまった(涙)
これは喪失感が大きかったです。
いつか帰ってくると思ってずっと待っていたけど、結局帰ってこなかった・・。
最後の特別エピソードだけにでも出てきて欲しかったというのは、叶わぬ願いでしたが、毎回(このエピソードで帰ってきてくれるんじゃないか・・)という期待を持って観てしまっていました。
その分、ケブがだいぶ頑張ったし、ケブに何度も泣かされたし、シーズン1では気づかなかったケブのいいところ(声とか)が補完してはくれましたが、それでもやっぱり、ダギーの降板は大きすぎた。
なので、シーズン2の2~4話までは、かなりジーンとはきていましたし、うるうるしていましたがシーズン1ほどは入り込めなかったのです。
何故、ダギーが居ないんだ!っていう、思い入れの強さで1話25分足らずを3エピソード観たぐらいでは淋しさは埋められていなかったのです。
ですが、わたくしごとではございますが、10年ほど前に2年ほどの闘病ののち、15歳で息を引き取った愛犬に未だに思い入れが強く、思い出しては泣けるほどの超愛犬家のわたし。
第5話のデレクが可愛がっていた老犬の話で、朝っぱらから嗚咽するほど大号泣。
さらに畳み掛けてくるケブの優しさで、死ぬほど泣く。
あれはないわー、犬の置きもの。しっぽ動いてるし。
今思い出しても泣ける。
このデレクの、追い泣かせ手法、なんなのっ!!
泣いたな? よし、泣いた!! スイッチ入ったな! よし、もうひと泣きしろっ!
っていう展開に、全14エピソードという短い間に何度やられたことか・・。
そこで、デレクスイッチが入りシーズン2の最終話でも、がっつり泣く。
そして、シーズン3とされる1時間の特別エピソードは最終回らしいといえば最終回らしい、今までの集大成でした。いつもの3話分が詰め込まれて1話だったので、じっくりストーリーが展開していたのもよかったけど、ケブのカミングアウトにはびっくりしました。
え!? うそ(笑)
っていう、リッキー・ジャーヴェイスに完全にしてやられた!
全話観終わって『デレク』という作品が訴えたかったこと、愛とか、優しさとか、幸せの形とかいろいろあると思うんです。
わたしは個人的に(あー、幸せってこういうことだな・・)って個人的にすごく思えたシーンが、デレクと出会い系サイトで出会ったガールフレンドと二回目のデートでホームで会って、いつものダイニングでみんなの前で食事をした時、デレクが用意した前菜、メイン、デザートが全部チーズトースト、チーズケーキで、それを彼女が「チーズ、大好き。美味しい」って美味しそうに食べるところでした。
大好きな人と、大好きなものを一緒に食べる時間を過ごす。
2人を見ていて、これ以上に贅沢で幸せなことってないなと心から思えたんです。
ハンナとトムのホームでの質素な披露宴ででも、パーティというには質素なお菓子とかおつまみとかがテーブルに並べられるなか、デレクはそのラインナップにものすごい満足してた。
デレクが満足しているなら、わたしも嬉しいっていう最終話には完全にハンナ目線になっていました(笑)
ケブをどうしても受け入れられなかったハンナが、最終的にはデレクが言葉に出来なかった気持ちを理解してケブの苦しみを理解し、デレクを通してケブとハンナが和解するシーンも、『デレク』らしかったです。
演技も含めて、リッキー・ジャーヴェイスは神でしたねぇ。ほんと・・。
出演者の演技やセリフ、それぞれに名言がありすぎて思い出せない。
ゴールデングローブ賞の司会でブラックジョークを連発して出禁をくらった彼ですけども、心にデレクが全く居なかったらこういう作品と演技は出来ないと思うんですよ。
自分もそういう業界に居ながら、セレブとか特権階級に居る人への揶揄の気持ちがあるんだろうなぁ。本人も葛藤している。
だからこそのセレブへのブラックジョークだったんだろうと、デレクを観た後なら思えます。
セレブが普段心の片隅にも気に留めない社会のどん底で暮らしている人にも、人生があり、苦しみがあり、そして幸せがあるんだと。
わたしはどちらかというとどん底側の人間なんで、デレクの価値観には頭をかち割られたし、そして本当に救ってもらった。
ドラマ観て泣いてばかりいたけど、今思い返してみると『ほっこり』して泣いていたとかではなくて、完全に、ロックなドラマでした。
ロック聞いて感動して泣いてたのに近い、強烈な心の揺さぶられ方をしていました。
意識高い系だけがもてはやされ、社会の勝者=幸せ、という方程式が成り立っている昨今に『幸せとはなんだ?』『素晴らしい人生の定義はなんだ?』と、今までの生き方や価値観を、逃げているのに追っかけられて、ド直球で尋問されているような気持ちになっていました。
「わかんない、わたしにはわかんないっ!」って振り切って逃げたかったのに、「絶対、逃がさない! 観ろ!」 と追いかけられて捕まって観させられたような気さえする(笑)
とにかく、わたしにとって、人生の一本になる名作でした。
『デレク』本当に、ありがとうございました。
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