ネットフリックス・オリジナル作品『ザ・ポリティシャン』(The Politician)シーズン1第2話【ハリントン・コモード】感想です。
ハリントン・コモード(The Harrington Commode)とは、イギリスの家具師、トーマス・チッペンデールの整理箪笥のことで、コレクターに人気の商品です。
チッペンデールという名前は有名なので、知ってる方も多いかと思います。
さらにいうと、チッペンデールのwikiには関連項目に何故か『チップとデール』が入っている(笑)
わたしは貧民なので、チッペンデールには縁も縁(えんもゆかり)も、もちろんないため、何故、チッペンデールの箪笥がハリントンというのかがわからなかったので、色々調べたところ、ハリントンさんが所有していたチッペンデール様式の箪笥なので、【ハリントン・コモード】というらしいというところまで、なんとかたどり着いた・・。
チッペンデールは職人というより、デザイナー要素のほうが強い家具師だったようで、この【ハリントン・コモード】に関しても、チッペンデール本人が作ったものかは裏が取れなかったらしいのですが、識者によると、『かなりの確率でチッペンデールが作ったものだと思う』と判断され、チッペンデール様式の家具は数あれど、本人が作った現存する家具はほとんどないということで、サザビーズのオークションで、当初の予想を大きく上回り、日本円にして約4億円で落札されたとのこと。
イギリス家具史上最高値だったようです。
※4億円のチェスト
ちなみに【Commode】は、日本でいえばチェストのような背の低い引き出し付きの箪笥の意味の他に、可動式の洗面台や、便器の意味もあって、グーグル翻訳にかけると【ハリントン便器】と訳されます。
4億円の便器・・。
(と、グーグルに訳してもらうと書いてある)
ところで、今回のエピソードでもう一つ登場したワード。
【代理ミュンヒハウゼン症候群】という単語は、精神疾患の名前です。
10年ぐらい前に、1歳の入院中の我が子の点滴に、母親が汚水やスポーツドリンクを混ぜて死なせた痛ましい事件がありましたが、この母親の複数の子どもたちも幼児のうちに2人亡くなっており、余罪が疑われました。
しかし、証拠があった1件のみ立件され、懲役10年の判決が出ています。
その母親に、この【代理ミュンヒハウゼン症候群】という診断が下されています。
その際、精神科医が提出した100ページにも及ぶ鑑定書は証拠としては採用されず、3ページに簡略化されたものが裁判員に提出されたそうで、この病気はどういうものなのか、裁判員から特に質問もなかったらしいですが、わたしだったら死ぬほど質問したい案件ですね。
ミュンヒハウゼンというのは大昔に実在した貴族の名前で、話をモリモリに盛って、面白おかしく周りに話して喜ばせていた人物。
後に本人の許可なくその話が出版され『ほら吹き男爵物語』として人気を博したことに、この心の病気の名前は由来しているのですが、上記の事件の母親は【代理】ミュンヒハウゼンで、元々は【ミュンヒハウゼン症候群】というのが、ありまして。
ミュンヒハウゼン症候群はシンプルで、本人が病気を周りにアピールし、同情をかったり面倒を見てもらうことで欲求を満たすものです。
些細なことだと、寝てないアピールなんかも、初期段階に含まれるのかなーと思ってました。
病気=優しくしてもらえる
という図式がエスカレートし、診断がつくまで病院を巡り薬を大量に飲んだり、自傷したりして病気の状態を作り出したりする心の病気です。
一方【代理ミュンヒハウゼン症候群】は、病気の人を献身的に介護したり面倒みたりすることで、介護相手に必要としてもらえること、献身的に働く自分への賞賛や同情心を周囲から得ようとしてしまう心の病気です。
体の病気なのは、あくまで自分ではない誰かなことが特徴(子どもが圧倒的に多い)。
介護相手の病気が治りそうだったりすると、それを阻止しにかかったりして、故意に病気にさせたりします。
アルコールや薬物の依存症の治療などでも、支える家族が依存症克服の妨げになることもあり、そういう相手と引き離すためにも隔離施設に入居させたりします。
ミュンヒハウゼンも、代理ミュンヒハウゼンも共依存が絡んでいることが多いようです。
あと、本人たちには自覚がないので、内科や外科で発見されることが多いとのこと。
ミュンヒハウゼンは、気持ちがなんとなくわかるけど【代理】は複雑怪奇ですね。
ちょっとわたしには理解できないです。
病人の面倒みるのって、すっごい大変だし、そこまでして得られる賞賛や同情が、看病以上の価値のあるものだと思えないのと、身近な人を故意に病気にさせるのは無理だ・・。
自分が病気の方が断然いい。
100ページにも及ぶ鑑定書、どんなことが書いてあったのか読んでみたかったです。
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~あらすじ(ネタバレあり)~
シーズン1第2話【ハリントン・コモード】"The Harrington Commode"
ペイトン・ホバートは、副会長に勧誘したインフィニティが”仮病”という情報を得て、その真偽を確かめるべくチームに相談していた。
マカフィーはインフィニティの身辺調査を勧めるが、ジェームスは、知らなくていいことは知るべきではない、とインフィニティの身辺調査に反対していた。
インフィニティ本人は、やる気満々で選挙活動をしていたが、その活動中に意識不明で倒れてしまう。
病院に運ばれたインフィニティの元に祖母が現れ、治療も検査もさせずインフィニティを連れ帰ってしまう。
一方、ペイトンの母は、夫に不義を告白し、離婚を迫る。
ホバート氏は、妻の不義の告白を聞きショックを受け、窓際に置いてあった”ハリントン・コモード”を踏み台にして窓から飛び降りる。
一命はとりとめたものの、危険な状態になるホバート氏の元に、ペイトンの母、双子の兄弟、ペイトンが集まり揉め事が勃発する。
ペイトンは、義父の看病をしながらも、インフィニティの家に行き、病気の噂の真偽について彼女の保護者である祖母に尋ねるが、祖母を激昂させて追い返されてしまう。
どうしても真実を知りたいペイトンは、インフィニティを血液検査するべく、献血の活動に参加させる・・。
第1話の感想はこちら
エピソード1は、選挙戦に焦点が当てられ、エピソード2はペイトンとそのファミリーに焦点が当てられるわかりやすい作りで話が進んでいます。
選挙戦の激化を期待していたので、若干肩すかしをくらった感はありますが、シーズン2まで既に更新が決まっている本ドラマ。
シーズン1で終わるならともかく、主人公ペイトンの人となりをこのまま放置するわけにはいかないので、序盤としては仕方のない展開だったかなとは思います。
それにしても、セレブ一家、自由恋愛が過ぎる・・(笑)
義父はどんな人かなと思っていましたが、蓋を開けてみると想像の範囲外だったけど、割と好きなタイプのあり余る金にものをいわせるタイプでした。
チッペンデールのことをぶつぶつ言っているのには、??となっていましたが、まさかの4億円の踏み台。
あと、前回うっすらしか映ってなかった双子の兄たちが今回は出番が多かったですが、美形の同じ顔が二つは脳が混乱しました・・。
1人が偽物に見えるならともかく、2人ともアンドロイドに見えた。
頭がよくて小賢しいペイトンに対し、頭脳では勝てないからなんとか数と力で押さえつけようとしたけど無理だよねー、あの感じではねー(笑)
そもそも相手が悪かった。
それにしても、ペイトン母は、ペイトンの心ないところをわかっていたうえで、ペイトンを溺愛しているようだった。
サイコパスチックなところも含めて、面白いのかも。
あの暮らしは、思いのほか退屈なのかもしれない。
わたしは全然構わないけども。
毎日が死ぬほど退屈でも、お金に群がる人が集まってきても。
台風でダイヤの乱れまくった電車で通勤しなくていい暮らしが手に入るなら!!(涙)
ところで【インフィニティ問題】は冒頭の説明の通り、やっかいですねー。
マカフィーのいう通りの状況だとしたら、他人(ペイトン)がほじくって、どうにかなる問題だとも思えない。
血液検査で行う腫瘍マーカーの精度も絶対とはいえないけど、実際『治療中』ということであれば何も出ないというのは、おかしいもんなー。
インフィニティが課外活動中に倒れたのは、病気というより病気に見せかけるために太るわけにはいかなくて、栄養失調・・って言う可能性も出てくるから、検査なんかされたらたまったもんじゃないよな。
ポジティブな見方をすれば、インフィニティには両親が居ないし、最初は本当に病気だったのかもしれない。
病気と引き換えに得られた様々な同情や賞賛も含む出来事が、あの2人を引き返せなくさせたのかも。
心の病なら、若干仕方ない部分はあるけど、やっぱりダメだ。
何がダメって、育ち盛りのJKをあんなにガリガリに痩せさせてはダメ。
というわけで、チーズカップを死ぬほど食べさせてあげて欲しい。
めんどくさそうだけど、美味しそうだよー。
パーティーメニュー(やらないけど) にピッタリ。
勝手にやった血液検査で100%ネガティブだった事実を受けて、彼らはどういう風に行動するんでしょうか。
死ぬ気で秘密を守れ!と前回は思ってたけど、ここまで突っ込んでしまったし、わたしにとっては所詮他人事だから、公表したほうがいいんじゃない?と思ってきた(笑)
公表したうえで、過去に絶対なにかあるかずだからその過去を前面に出して、同情心を煽る方向で!
というわけで、それではまた。
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