今回のエピソード、邦題は『まやかし』で、日本語の辞書によると【まやかすこと。ごまかすこと。いんちき。にせもの。 「そんな-にだまされるものか」】。
そして、原題は『Chicanery』で、【法律上の言い抜けや、(屁理屈での)ごまかしという意味】なので、『まやかし』と英語の『Chicanery』では辞書上は同じ意味になります。
ですが、『まやかし』という日本語に感じるイメージと『ごまかし』が同じような気がしない。
なんていうか、『まやかし』は、ちょっと儚い感じというか幻というか、実体験はもちろんあるわけないですが、【狐に化かされる】感覚がイメージに近いです。
手品師だと思っていて、ショーを観ていたけど本当の魔法使いで霧のように消えてしまった・・みたいなちょっとファンタジックなイメージを持っています。
この言語感覚わたしだけなのかな、みなさんはどうですか?
今回のエピソードは本国では『ごまかし』だったけど、ちょっと儚い感じもあったので、『まやかし』っていうのはそういうイメージからするとピッタリだったかも。
キムとジミーが作戦を練ってチャックを追いつめようとするゴリゴリの法廷感もありつつ、裏事情が切なすぎるという。
振りかえれば振り返るほど、こんな結果で本当によかったのか・・と思ってしまうわたしがいます。
いつものように、無駄話が長くなってしまいましたが、今回のエピソードは、弁護士ドラマらしく、初めてきちんと1エピソード使って裁判の様子が描かれました。
改めて法廷でのやり取りって面白い。
すごく集中して真剣に観てしまいました。
『SUITS』も挫折中で最近弁護士ものはあまり観ていませんでしたが、『ベター・コール・ソウル』のあとは、法律もののドラマもいいかもって思ってしまいました。
『SUITS』の再開か、全く別物か・・。山ほど好きな弁護士ドラマあると思いますが、おススメがあったら教えてください!
どちらかというと、真剣なタイプのほうが好きです。
あっ、ひとつだけ。
第5話はエピソードは面白かったけど、ガスとマイクがお休みで、そこだけはすごく残念でした(笑)
※シーズン3第4話の感想はこちら
シーズン3第5話は、チャックが起こしたジミーを訴えた訴訟の裁判の顛末です。
※以下、本格的なネタバレありの感想です。
うーん・・・、これしか方法がなかったんだよね。
(今回はドラマの内容に触れるというより、本当に素直なわたしの感情っていう形のレビューになっています)
今回の裁判にジミーたちが勝つには、証拠のテープがどうしても必要だったから、前回ハワードたちに「ジミーが壊したのはコピーだったのか」とキムが確認したんですけど。
ジミーたちと同じような作戦しか他に、思いつかない。
すっごい、すっごい考えたんだけど、どうしても解決策がジミーたちがやったようなことしか思いつかない。
チャック自身は、ジミーを始めとして周りはずっと、腫れ物に触るように接していて本人だけが認めなかったけど明らかに【心の病気】だってみんなわかっていて。
それを、チャック本人にも認めてもらいたかったし、判事にも知ってもらわなきゃいけなくなってしまった。
ここまで来てしまった以上は、裁判ではそこを責めるしかない。
心身膠着状態にもなっていて誰の言うことも聞かないし、しかも病気を利用してジミーを騙そうとしたことは事実だっていうことと、ジミーがとにかく憎くて仕方ないからやったことなんだっていうことを、ジミー側は法廷で示さなければいけなかった。
それをジミー本人がやらなければいけなかったという悲しさはちょっと言葉では表現できないですね。
しかもなんの関係もない他人がたくさん見ている前で。
でも、他人が介入しないとダメだったのかも。
ジミーが今までチャックにしてきたこと、されてきたことがたくさん暴露されて、そのたびに胸が痛む。
チャックはまさか証拠として残しておいたテープが、今回の結果を引き起こすことになるとは夢にも思っていなかったし、勝利を確信していたでしょう。
ジミーを擁護するスピーチの練習までしていたから。
自白を引き出すためにやった芝居がまさかこんな結果を引き起こすことになると思わなかったことが、もうダメだったんだと思うけど。
チャックがよく言う「ジミーはこう見えて実は優しい」は多分本心なんですよね。
自分の面倒を献身的に見てくれていたことだって、わかっていて。
でも、だからと言って、ジミーの幸せは願っていないんですよ。
いい人だけど、どうしても苦手っていう人、誰でも一人はいると思うんです。
必ずしも、優しくていい人だから好きってわけでもない。
近しい人だからこそ相性が悪いと最悪の結果を招いてしまうという典型的な例だと思います。
チャックはジミーを心底憎んでいて、これぞ愛憎だなと思うんですけど、ハワードは、割とジミーが好きだったんじゃないかと思うんです。
ずるいところとか要領がよくて腹立つこともあったと思うんですが、ジミーが一生懸命働いていたことも知っているし、弁護士の資格を働きながら取ることがどんだけ大変かということも知っていて、さらにチャックの面倒を献身的に見ていたことも知っていたから、チャックとの板挟みの感情がたぶん少しはあったかと思うんです。
なので、うっすらこの結果を予想していて事務所のためにこんなことやめたがっていたじゃないですか。
『ブレイキング・バッド』に出ていたソウルのボディーガード君が今回チャックに罠を仕掛けてくれました。
で、チェックメイトです。
取り乱したチャックは元妻の前で、ジミーへの今までの恨みを人前で叫ぶことになってしまった。
ジミーだって実際書類は改ざんしたし、あの場で言っていたことはウソだった。
でも、本当に法がすべてで、真実だけが正しいことなのか?
っていうことをこのエピソードは訴えていたと思います。
観ている人は一部始終の顛末を経て法廷を見ているから、正しかったのはチャックだって知っているけど、ほとんどの人はジミーに同情していたと思う。
やっぱり『ブレイキング・バッド』と同じで、善悪の是非を問うドラマなんですよね。
何が善で何が悪なのかは、やはり人が簡単に決めていいことではないと。
そもそも、法律も人が作ったもので、裁判官も陪審員もぜーんぶ人間。
公平に判断なんてできるわけないんです。主観だって入るし。
今回もひと芝居を打ちはしましたが正しかったチャックがみじめに負けて、小細工をしたジミーが(たぶん)勝った。
だけど、ジミーはこれでよかったんだろうか・・と思うけど、よくあるはずもなくて。だけど納得して前に進むしかないですよね。
やってしまったことは元に戻らないし、あくまでも、差し伸べる手を払いのけてきたのはチャックだったから。
それは、チャックの人生だから、今後は本人に頑張ってもらうしかない。
『ブレイキング・バッド』から『ベター・コール・ソウル』を観ていて、完璧な勧善懲悪なんてないんだなと思うんです。
わたしには、今回の結果がよかったのかどうかわからないし、素直に「ジミーよかったね」ってなんとなく思えなくてもやもやするんです。
わたしには、何が善で何が悪かもわからないし、善が必ずしもよくて悪が必ずしもダメとも思えない。
今回のエピソードはすごい内容が深くて難しくて、うまく文章がまとまりませんでした。すみませんでした。
次からは、シーズン3も後半なので、ジミーが今回の裁判を経てどう変わっていくのか見守っていくしかありません。
それでは、また。
<スポンサーリンク>