ファイナルシーズンを終えてえ2023年のエミー賞を席巻しているHBOのドラマ『メディア王 ~華麗なる一族~』を完走しました。
1話ほぼほぼ1時間前後のボリュームの作品でありながらのシーズン1~シーズン4までの全39話。
1か月もない中で見切ることができて感無量です。
今までの数年からすると快挙。
よく頑張ったね。
過去記事(下記)を書きはじめたシーズン4半ばまではロスになるかなと思っていたのですが、今のところロスには全然なってない(笑)
※未見の方はぜひ過去記事から。
もう、最終話に向かうに従ってどんどん疲労感が高まってきてグレッグの顔は見たくなかったんだけど、最後二話ぐらいでトムのことをどうしてもどうしても許せなくてそのことでもう疲れ切っていたので、やめたくて仕方ない会社(現状そうだが)に毎日歯を食いしばって行っている気持ちになっていたので、ラストの瞬間を観終えたときは出社最終日を終えて会社の人と縁が切れたような気持ちになっており、
「もう二度とロイ家の面々とその周辺の人々の顔をみなくてすむ!! ウェーイ!!!」
というドラマの制作が意図していたはずのラストの余韻とは、おそらく全く違う解放感に溢れていました(笑)
観ている間は、期間中に観終えなくてはいけないという自分の決めたスケジュールのプレッシャーがあることにはあったのですが、かなり中毒性があり作品に吸い寄せられていっていましたね。
たぶんそういった意味でも疲れていたんだと思う。
依存症、ダメ絶対。
最終話あたりは、観るのをやめて猛烈にゲームしたかったもん(笑)
そんな疲労MAXで完走した『サクセッション』でしたが、海外ドラマ視聴の歴史の中でも特に印象に残る一作になったことは間違いなく、いい体験でした。
時にはロイ家の一員になったようでもあり、ウェイスター・ロイコの社員のような気持ちでもあり、ATNを観る側の一市民の気持ちでもあったりした。
それだけの求心力を持ったドラマで、役者さんたちの神がかった演技も含めて無駄が極力ない作品だったなと思います。
ラストの持っていき方にしても、結果はなんとなく今までの経過から予測できたものの演出によって「なぜこの子たちは仲良く協調できなかったのか」というのがラスト30分ぐらいで唐突に啓示のように降りてきて、それが合っているか間違っているかはおいておいて自分の中では納得して終われたのが驚いたし、ホームドラマ(?)としても、ビジネスドラマとしても面白かったです。
というわけで今までの全体の感想として、後半ネタバレありで感想をとりとめなく述べていきたいと思います。
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全員、徹底的に【自分のことしか考えていない】キャラクターで、協調性が著しくない人たちのため「和を以て貴しとなす」と聖徳太子が憲法の一条に書いた国の民としては社会人としての価値観の相違が全体的にあったのですが、フィクションとしては突き抜けていて人間として、社会人としての嫌なところが全面に出ていて見やすかったです。
ありえないぐらいのお金持ち加減もドラマ終わって冷静に考えると
「わたしは毒親育ちで未だに貧乏で苦労してるけど、ロイ家(とその周辺)の人生よりはマシに思える」
と本当に心の底から感じてるんですよね。
これ、相当だよ?
ケンダルやローマンはもってのほかとして、同じ女性として今の人生とシヴの人生を取り換えてあげると言われたとして、子供時代や学生時代はわたしはかなりきつかったしセレブ体験してみたいので正直なことをいえば若干心揺らぐけど、あの状態に繋がってしかも結婚相手はトムっていうのはちょっと、いやだいぶ無理。
わたしが持っていないものをすべて持っているシヴではあるけれど、それでもきつい。
わたしのメンタルではあの世界に飛び込むことはできない。
逆にシヴはわたしの人生では耐えられないとは思う。
なんの責任もない人生なんて生きる意味がないというと思う。
人生ってそういうことで折り合いをつけていくのが正解なのかもしれないという哲学的なことばかり考えていました。
シーズン1ぐらいまでは「そうはいっても、お金でなんでも解決できるわけだし? 世界の中心であるアメリカを牛耳る会社の子どもなんだからそれなりには幸せでしょ」って思ってたんですよね。
でも、お金持ちであることをあんなにも生かせず人生を自ら辛くしている彼らを見ていると【お金よりも大事なことってあるな】って本当に思いました。
もちろん、お金はあればあるだけあったほうがいいのは前提であって困るってことはないので個人的には宝くじの夢は諦めてないですけどとにかくロイ家はやだよー(笑)
ビジネス的面でも面白いドラマではありましたが、シーズン前半は、
「自分がローガンなら、だれにも継がせたくないなぁ・・・」
と思いながら観ていました。
ローガン自身もそうだったじゃん。
自分以外にこの会社を存続させるのは無理みたいな感じだったじゃん。
だから、死にかけても誰にもはっきり継がせる覚悟ができなかったわけなんだよね。
薬の影響で躁鬱を繰り返しメンタルの安定しない跡取り争い筆頭のケンダル、社長の器ではないローマン、自信過剰で繊細さのないシヴと。
会社は一人では機能しないし、優秀なブレーンも揃っているからなんとかはなるかもしれないけれどたぶん会社を潰す。
ウェイスター・ロイコみたいな大会社なら潰れることはなくても今回にみたいに乗っ取りにあったりしてなんとか首が繋がるかもしれないとは思うんだけど、わたし仕事でけっこう小さな企業の社長が息子に会社継がせるの見てるんですけど、ローガンタイプからのケンダルタイプの二代目の会社がすごく多くてですね。
すごく不思議なんですけど、社長が変わっただけで他には何も変わってないのに会社の色が変わるんですよね。
ローガンはたたき上げの成り上がりで、ケンダルはお坊ちゃまだから帝王学みたいなものを受けてはいたとしてもやっぱりどこかこうローガンとしては頼りなく思っているところがあったし、だからといってそれはケンダルのせいじゃないからお互い相いれない部分もあってケンダルの不幸につながるんですけど。
日本の小さな会社の場合でも高度経済成長期にバリバリ会社経営して平成後期から令和の時代に息子に引き継ぐことができるほどの業績を維持してきた昭和のおじさんと、その家に生まれて景気も悪くないそれなりにいい時代に「〇〇さんちの跡取り」として大事に育てられてきたうえ、その跡取りを全うしようとするような息子なわけですよね。息子もその会社を継ぐメリットがあると思って継いでるわけで。
叩き上げのお父さんと、大事に育てられてきた息子では遺伝子が繋がっていても性格がだいぶ変わってきてしまうわけで打っても響かない感じになってしまう。
その感じがすごくドラマにも出ていて、ここぞというタイミングを見極められないケンダルと、決断がとにかく早いローガン。
ローガンには間違えた決断を強引にリカバリーする力業があったし、やっぱりカリスマ性がすごかった。
ローガンが死んでからというもの「誰が継ぐのか」をここまで長時間かけて観ているはずだったのに急にドラマが失速して「誰が継いでも継がなくてもいいかな。会社のこともどうでもいいな。他人事だし」って自分の気持ちがトーンダウンしたのが非常にびっくりしました。
だからこそそこからの兄妹のやり取りも非常にリアルで、ずっと思っていた【なぜ兄妹で協力しあわないのか】をきれいに回収してくれたところがマジですごかったです。
お葬式前の兄妹の蜜月も何かのフラグだったのかと思ったのですが、フラグというよりもずっとドラマ上ではいがみあっていた彼らも、実際はここまで作品を作り上げた仲間でありファンサ的なものなんだろうと思ってはいましたがほっこりもさせてもらえて満足でした。
ケンダルがローガンの椅子に座り、机に足をのせて調子にのる姿を見たシヴの表情で急に(あ、シヴはローガン以外の人があそこの席に座る姿を見るのがどうしても嫌だったんだな)って唐突に思ったんです。
自分がお父さんを踏襲すれば、お父さんを失わなくてすむけどほかの人がその立場に立ってしまったらお父さんを完全に失ってしまうもんなって。
本人がそれを自覚していたかはわからないし、わたしの受け取り方が合っているかどうかも不明なのですが、野心だけではない部分を感じていて。
特にシヴに関しては、ほかの仕事をずっとしていてロイコでの経験はないし政治という全く別の業種に勤めていたこともあり経験不足は自覚していたと思うんですよね。
マットソンの件でミスも犯している。
それは頭ではわかっている。でも心で追いつかない部分があったのかなと。
シヴの顔を見てそれまでずっともやもやしていたのが秒でパーッって霧が晴れて、兄たちのことも理解できたのですごい演出だよね。
もちろんトムのことも許してないけど、トムのことはバカにしてるからすぐ倒せると思ってるのかなぁと思って最後は終わった(笑)
ローマンは、父親に認められたい一心だったからローガンが死んだあとは会社のことはどうでもよくなっていて最後は一人清々しい表情でしたね!
褒めてくれる人がいないのにCEOになってもしょうがないもんね。
葬式のときの演技すごかったね。
朝のすごいマンションでの弔事の練習のとき、たいしたこと言ってないのに目が離せなくて演技の神様が降りてきてる気がして見ていた。
もう、ローマンは会社のことは忘れて有り余るお金で自分のことを大事にしてくれる身近じゃない熟女と幸せに暮らしてください。
実子は無理だろうから、養子でもとって大事に育てれば下ネタも減ると思うしなんやかんやで愛情深い子育てができると思います。
グッドラック。
そして、ずっと心配していたケンダル(涙)
もう何も言えない。
わたししか世界に助けてあげられる人いないぐらいの使命感を持って見ていた(過去記事参照)けどダメだったな。
さすがに思いだけでは助けてあげられなかったわ。
彼も跡取りとして育てられて親も期待してたけど、器に見合ってなくて不幸だった。
依存症とはきっぱりお別れしてちゃんと自分のこと愛してくれる人探せるといいな。
とりあえず日本にでも来ればいいと思う。
それこそコナーみたいに北海道に牧場でも買ってさ。
ゆっくり暮らそう。
最後にこれだけは言わせてほしい。
グレッグは顔を見るのも終始嫌だったのですが、最終的にはトムのことがどうしても許せなくてラストシーンあたりでは、ケンダルがトムを撃っちゃって阿鼻叫喚になればいいのにとすら思ってたし、ケンダルがやらないならわたしがやる!と思っていた。
トムの何が許せないって、あの誰だっけ?マットソンだっけ?
スウェーデンの人。
あの人とトムが面会してたシーンですよ!!
仮にも結婚したいと思った女性があんなに馬鹿にされてそれを受け入れるのクズすぎない?
さすがにちょっとは怒るのかなと思ったの。
でも、受け入れたよね。
それが、今までのイライラも含めて我慢の限界だった。
GoJoの軽薄加減はもうサイコパスのあれじゃん。
だから言ってもしょうがないのはともかく自分の利益をとったから驚愕したしかなり真顔になった。
そう考えると愛する人を馬鹿にされて、ブチ切れたローマンがめちゃくちゃいい人に思えるほどだった。
あと夫婦喧嘩の時もめちゃくちゃリアルな夫婦喧嘩だなと思ったけど、言い過ぎだよ。
そもそも打算婚のくせにさ。
シヴがロイ家の人間じゃなかったら近づかなかったくせに。
シヴもたいがいでどっちもどっちもだけどさ!!
トムという人をあの一瞬で現してたなーと思ったんです。
ちなみに、わたしはあのレベルの喧嘩は今までで3回ぐらいかなー。
と、わたしのことはどうでもよくて何も言わずに調子乗ってCEOかよ。
人間足置きとかやってたくせに!!
シーズン1でローガンの誕生日のときのこと忘れてないからな。
第一発見者だからって許されないぞ。
あまりにも腹が立って、CEOとして周りと握手してるのとかどうでもよくなるほどでした。
今でも思い出し怒りができるほどです。
トムの不幸を心から願ってます(笑)
と、フィクションのキャラクターに心底恨みを持つほどの人間ドラマでした。
ちなみにシーズン4入ったあたりでは、もう兄妹仲良くできないし本当はお互い欠点を補いあえばチャンスはあったけど、もう絶対無理だったのでトムのCEOは想定内だったけどそれでもむかつきました(笑)
すごいドラマだったけど、もう二度度観ることはないでしょう(笑)
さようなら。
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