たま欄

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【映画】『SING/シング』は、抑圧された女たちが歌の力で自分を解放する若干もやつく映画。(ネタバレ感想)

『シング』の視聴は二回目なんですが、ミュージカルや歌映画好きなわたしがこの映画に対して初見でいい印象を抱かなかったため、リピート視聴するのをいままでためらっていたのです。

確か、公開直後に劇場に観に行ったと思います。

 

可愛い動物たちが完璧なアニメ映像でノリのいい音楽ショーを繰り広げるという、映画としてものすごく好きなジャンルなのですが、わたしはモヤモヤする要素が満載のストーリーなんですよね。

ちょっと批判的な内容の感想になるので、シング大好きな方は読まないほうがいいと思います。

 

この映画に対して、こんなひねくれた感想を抱いてしまうのも、多分わたしが女として長々生きてきたからだと思う。

わたしと同じ意見の女性の人もいると思うし、何も思わない女性もいると思うけど、わたしは、個人的にちょっとイラッとするシーンが多かったです。

それでも映画でセレクトされている音楽は大好きで、スティーヴィー・ワンダーアリアナ・グランデの主題歌も好きなのでAmazonミュージックの『SING関連楽曲プレイリスト』は、現在進行形でヘビロテしてるんです。

 

そして、そんな遺恨を残していたシングでしたが、今月エルトン・ジョンを題材にしたミュージカル映画ロケットマンが公開されることになり、『シング』の英語版でゴリラのジョニーを演じていた、タロン・エガートンが、『ロケットマン』でエルトン・ジョンを演じるということを知りました。

『シング』初見のときの歌声は、ゴリラのジョニーに一番感動していたので、『ロケットマン』の公開が俄然楽しみになり、ゴリラのジョニーの歌聴きたさにリピートしてみたら、2017年3月公開から2019年8月までの約2年半の間にわたしの映画知識や洋楽知識も増え、また違った見方ができたので、そこも併せて感想をつらつらと書いていきたいと思います。

 

でも、やっぱり二回観ても、もやもやはしたよね。

表面上は解決したように思えるハッピーエンドで、観てて楽しいことは楽しいんだけど、スッキリはしない(笑)

 

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ストーリーは、未見の方にざっくり言うと、『グレイテストショーマン』的な話です。

劇場に憧れを持ち、劇場運営をしていたコアラに経営手腕がなく劇場を潰しかけ、テコ入れで地元の人の隠れた才能を発掘するオーディションを開催し、それぞれが抱えている問題も含め、劇場再見を目指す・・。

 

非常にわかりやすいサクセスストーリーで、友情あり、家族愛ありで、キャラも可愛いし、アニメの精度も高くて水の表現なんて本物の水みたいだし、光るイカプロジェクションマッピング的なものものものすごく綺麗で、動物のモフモフもリアルで毛一本、一本にこだわりが感じられる。

キャラクターも可愛くて、素晴らしいアニメーションで音楽も素晴らしい。

でもそれのベースのストーリーが微妙だと思う(笑)

 

わたし、この映画を観た段階では、まだマーベル沼に落ちてなかったんですよ。

時期的には、沼に落ちる直前ではあった(笑)

それで、ヤマアラシの女の子のアッシュスカーレット・ヨハンソンが声をやっていると知らなかったんです。

スカヨハのハスキーボイスと歌がすごくキャラにマッチしているようにも感じられたし、前回より俄然愛着を持って観ることが出来ました。

 

そして、豚の主婦のロジータは、ついこの間まで観ていて超面白かった海外ドラマの『ビッグ・リトル・ライズ』で大ファンになっていた、リース・ウィザースプーンが声をやっていた。

ロジータが喋り出したとたん「マデリン(BLLの役名)だぁ~!!」と感動。

マデリン、家事、育児に励みながらも夢を追う温かい母親をしっかりと演じきっていてすごいよかったです。

しかし、『SING』一番のもやつきポイントは、このロジータの扱いなんですよね・・。

 

25人の子ども(同い年?)をワンオペ育児をしている主婦のロジータ

25人分の子どもと旦那の世話を毎日、毎日必死にこなしていて、夫は仕事で疲れ切って奥さんと子供の事には無関心。

上っ面の感謝の言葉をロジータに投げかけるだけ。

ベビーシッターも25人も子どもがいるので断られる。

そんな生活の中、ロジータは歌が大好きで、劇場が主催する歌のオーディションに参加し、予選を突破して本選に行くことになっても、夫は話を聞いてくれなくてグーグー寝てしまう。

本選の練習のため家を空けなくてはならなくなったけど、夫も話を聞いてくれないし、子どもの世話を頼める人がいないロジータは、家事装置を作る。

スピーカーで家族全員を起こし、自動シリアル盛り機で朝食を食べさせスピーカーから流れてくる声で子どもたちと旦那を仕事と学校に送り出すんですが、お母さんが居ないことに誰も気づかないんですよ、機械が壊れるまで。

 

お母さんは機械かっ! 空気かっっ!!

 

そして、映画のラストあたりのショーで子どもを連れたロジータの夫がセクシー衣裳で歌い踊る妻を観て、妻の存在が空気じゃないことに気づき惚れ直すみたいな流れ・・。どうしても納得できない。

この夫婦にとってはハッピーエンドなのかもしれないけど、途中、お母さんの家事育児を機械に変えても誰も気づかないっていうのは、面白いつもりなのか、世間の夫や子どもたちに対する嫌味なのかハッキリさせてほしい。

わたしは全く面白いと思わなかった。

 

そして、ヤマアラシの女の子、アッシュもロック音楽が好きな少しとんがった子なんですね。

で、彼氏がクソなんですよ。

ちょっとモラハラ気質があって、2人で音楽活動をしているんですけど、常に「俺より前に出るな」的な態度だし、そういう関係性をまだ10代の恋愛経験の浅いアッシュは受け入れてしまう。

2人でオーディションに参加して、女の子の才能だけコアラのムーンは認めるんですけど、その才能を認めた女の子に『call me maybe』という日本でもCMソングで使われたりしている、超POPなアイドルっぽい流行りの歌をフリフリの衣装で歌わせようとするんですよね。

日本でいえば、サンボマスターに嵐の衣装を着せて『Love so sweet』を歌わせるようなもんだよ?

そういう、キャラ作りとかマネージメント的なことってあると思うんだけど、コアラは男の子(ゴリラ)にはピアノをやらせただけで音楽性のことは何も言わなかった。

そこもイラッとした。

自曲のロックの歌を歌って、元カレのこともスッキリしてはじけてもりあがるんだけど、衣裳も、もうちょっとロックテイストがよかったなーって個人的には思っていて。

私服の方が可愛くてもったいなかったし、スカヨハの歌がけっこうよかったので、なおさらでした。

 

最後に、もう一人の女の子、MISIAが吹替えをして話題となった象のミーナの件ですが、才能はものすごいあるんだけど、超ド級の引っ込み思案で「歌いたい」と言い出せなくて裏方としてミーナをタダ働きさせていたムーンの能天気さもちょっと・・と、実は思っていた。

最終的には、一人で歌っていたミーナのすごい才能を認めてステージに立たせ、その能天気さがミーナを救うわけなんですが。

 

文句だけもなんなんで、ここからは褒めます。

映画というか、MISIAのことなんですけど(笑)

 

ミーナは普段着ているカジュアルな衣装とか、体とか踊りとか鼻を使った動きとかすごく可愛くて、大好きなキャラです。

普段、完全字幕派だったのですが、MISIAの吹き替えがどうしても気になり、昨日は早送りしながら吹き替えも観ていました。

そして、ミーナの歌のシーンはNetflixの機能をフル活用して、家人に「何回同じシーン繰り返すの!?」と叱られるぐらい、吹替えとオリジナルを行ったり来たりしていたのですが、オリジナルもけっして悪くないが、何度聞いてもMISIAの歌がうますぎる。

オリジナルは伸びしろがまだある感じだけど、MISIAのミーナは完成度が高い。仕上がっている。

ちょっとだけ歌った、ハッピーバースデーの歌は史上最強なハッピーバースデーだったし、最後オオトリで歌った歌はMISIAのために作ったオリジナル曲のようでした。

 

ちなみに、MISIAはデビュー曲の「包み込むように」がFMラジオから流れてきたのを聞いた時の鳥肌がすごくて(すごい歌手が現れた)と思った瞬間の、細かい状況のことを思い出せるほどの強い印象をわたしに与えたシンガーだし、日本のドラマの主題歌は全部MISIAにすれば、無駄に感動できるという持論も持っているんですが、吹替の歌がオリジナルを上回ることがあるということがあるということが知れて嬉しかったです。

歌ではどうしても叶わないと思っていた。

2021年には『シング2』も公開されるみたいなので、その時も是非成長したミーナをMISIAが吹替えてくれるといいなと思います。

 

MISIAのライブは、一生に一回でいいから絶対行きたいんだ・・。

いつもわたしが忙しい時期に、何故か河口湖とかでライブやってるんだよね。

タイミングが合わなくて悔しい。

 

 というわけで、今回『シング』視聴の本来の目的であった、タロン・エガートンの歌はやっぱりよかったです(笑)

『シング』は、出番が少なかったけど、もっとたくさん歌うと思うので、ロケットマン』楽しみだなー。

 

というわけで、それではまたー。

 

 

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シング-オリジナル・サウンドトラック

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