『ホームランド』シーズン1第2話 【トラウマ】 感想です。
今回のエピソード、原題は”Grace”。
洋画や洋ドラでよくグレイスという女性キャラクターが登場しますが、特にイギリスで人気の女性名。
優雅とか、上品、愛嬌、親切、好意など日本でもこの意味を持つ女性名は非常に人気があります。
わたしが、注目したのは、”Grace”の持つ意味の中に、神への祈り、神の恵みっていう項目があったことです。
祈りといっても、日本でいう「いただきます」や「ごちそうさま」という食事に対する感謝の祈りの意味で使われるようで、邦題の『トラウマ』よりも原題のほうが、今回のエピソードの意味には近そうですね。
ところで、今回のエピソードで登場したFISA。
何かの団体かと思っていたら法律の名前だったよー。
考えてみたら、4週間の期限付きだからそりゃそうか・・。
法律の許す範囲の4週間ってことだもんな。
この長い文面をざっくりわたしなりに流し読みしたところ、元々、スパイ活動を見張る法律だったのに、同時多発テロ事件により色々 改正が加わり、アメリカに危害を及ぼす可能性のあるアメリカ人以外の人や団体には、だれかれ構わずプライバシーなんかすっ飛ばして、通信記録とか通話記録とか取っちゃうよ! 盗聴もしちゃうよ、覚悟してねっ! みたいな内容に思えた。
通信機器のハッキングは認めるし、通信会社にも協力させちゃうからねーみたいな。
スパイ活動を見張る法律だったら、そもそものCIAの立場的な問題もあるし、こういうことになっちゃったのかな?
しかし、今回キャリーが追っているのは中東組織ではあるけれども、退役軍人という立派なアメリカ人であり、この法律が適用されるかどうかは微妙なところだけど、今や人種関係なく、どんな思想に傾倒するかわからない世界でもあるし、このドラマが10年弱前のものなのを差っ引いたとしても、FISAの存在自体、屁理屈的な印象は否めない。
アメリカは訴訟国家だからなんの関係もないのに疑われことが発覚したりしたら大変なことになるから仕方ないのかなーとも思いますが、CIAなんだから超法規的措置使い放題かと思いきや、意外と制約多くて大変だな・・と思っております。
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~あらすじ(ネタバレあり)~
Season1 Episode 2 "Grace"
ブロディはイラクで捕虜となっていた時の悪夢により、隣で寝ている妻にケガをさせていたことを知る。
キャリーは、監視カメラの記録でその様子を確認し、メモに取る。
家族が仕事や学校で出払い、記者に囲まれた家の中でブロディは、寝室の隅の壁に体をもたせ掛け、ブロディは、イラクでの出来事を思い出すようにうずくまるように座って何時間もそこから動かなかった。
ソールは、キャリーの捜査を後押しするため、弱みを握っている判事からFISAの4週間付きの期限付き令状をもらう。
一方、キャリーはブロディの監視を進めるとともに、アラブの王子の愛人から緊急情報を受け取っていた。
彼女はキャリーの情報屋でもあり、今回受け取った情報はCIAにとってかなりの重要な情報だった。
情報源として身の危険を感じた彼女はキャリーに自分自身の保護を訴え、キャリーは安全を約束するがCIAの動きは鈍かった。
ブロディは家を見張っている記者に怒りを覚え、乱暴を働きそのまま家からどこかに消えた。
ブロディを尾行していた仲間から彼がホームセンターで買い物をしていることを知ったキャリー。
帰宅しガレージに入っていくブロディだったが、ガレージに監視カメラは設置されていなく、何をしているか不明だった。
軍で同僚だったマイクと家族で食事をするブロディ。
引き続きブロディの監視を続けるキャリーの目に、翌朝、ブロディの思わぬ行動が飛び込んできた。
※第1話の感想はこちら
ねー、すごい、すごい、キャリーを演じている女優さん。
クレア・デインズさん(1979.4.12)っていうの?
あー、そうですか・・、すごい演技力だね!
びっくりした、わたし、びっくりしたっ!!
そして、感動した!
今回のエピソードのラスト。
ブロディが、軍服を着て外に出ているシーンを見て、キャリーがソールに電話したシーン。
彼女が、なんだろうこうわけわかんないテンションになって感極まって涙ぐんでるところで、キャリーの感情がドバーッと流れ込んできた。
一瞬、キャリーとかなり気持ちが同調した。
妹(?)のマギーに「この仕事は天職なの」って言っていた伏線をあの一瞬で回収するってすごくない?
すごい演技を観た時の感動って、独特のもので例えば鳥肌モノの歌を聞いたときとかと近い感じなんだけど、それともちょっと違う。
だから、映画とかドラマ観るのやめられない。
もう言っちゃったら、数秒の演技じゃないですか。
『ベター・コール・ソウル』は、役者さんたちの演技のうまさももちろんあるけど、ギリガンワールド的な部分も含めての凄みみたいなものがありますが、普通に、駆け引きドラマとして楽しんでたのに、エピソード2で演技力で気持ち持ってかれると思ってなかったから、Twitterではあまり評判のよくない主人公キャリーの理由が、この演技力の上手さもあるのではないかと非常に納得した。
まだ病気のことははっきり明かされてないから、ここでも言及はしませんけれども、薬が切れちゃったときとか一体どうなるんだろう・・。
まだ第2話なのに、違う意味でこれからがすごい楽しみになってしまった。
と、最後のシーンの衝撃から感想を語る形になってしまうぐらいのわたしにとっては印象深いエピソードラストでしたが、今回のエピソードの焦点は【ブロディの覚醒】ってところでしょうか。
軍でのパートナーを自らの手で亡き者にするよう強要され、その墓の穴を必要以上に大きく自分で掘らされて精神と肉体を極限までズタズタにされたあげく、さらに徹底的な孤独を与えられる。
死以上の精神的な苦しみを与えられたブロディ。
そして、そんな拷問を躊躇なくできる人々にも信じている神がいる。
自分は無神論者ですが、宗教にハマる心理なんかに言及する話が割と好きで、身近にカミングアウトはしてこないけど、たぶんなんらかの信仰を持っている人が居て、ちょっと不思議な感じなので、非常に興味深いんです。
【ザ・パス】を観ていたのもそのせい。
自分自身がメンタル弱くて、宗教が助けてくれるなら助けてほしいと思っているにも関わらず、結果、どの宗教も基本的には矛盾の塊だなと思うことが多くてガッカリしているという部分もある。(宗教家のみなさんすみません、あくまで無神論者の個人の見解です)
例えばわたしは、割と潔癖症気味なところがあり、一時期はかなり頻繁に手を洗うところまでいったのですが、今は割と色々大丈夫になってきて、公共のトイレは除菌しないと座れない、会社の飲み会で直箸できないぐらいのかなり軽度なものになりました。
今では潔癖と言っていいかどうかも怪しい程度ですけど、この潔癖も、けっこう自分ルールがある人が多いと思うんです。
「え、それは大丈夫なの・・?」みたいな。
自分がそうじゃないかと思っている時に色々調べたりもしたし、一度バラエティ見ていて、自称超潔癖症の人が外から帰ってきて風呂にも入らずに生まれたままの姿(しかもノーパン)になり、レザーのソファに直座りしてコンビニ弁当食べてる人見て、発狂しそうになったことがあったんですが、うまく言えないけどそういう感じ(?)なんです。
終末が来て世界が終わっても、今の思想を持って生きてる自分たちだけは救われて、他の人たちは信じてないから、信者じゃない人はどうなってもしょうがないみたいなことを悪気なく思ってる。
悪気があったら出来ないことって、意外にけっこうたくさんあると思うんです。
そこは自分の中の正義感との戦いで、正義を貫くためなら何をしてもいいという、気持ちを正当化してしまうと自分が楽だから。
宗教って基本的には、死への恐怖に対する何らかの指針を示すものが多くて、日本では死刑制度があるから死刑囚のところへ牧師が行って「神は全ての人を許します」とかいう。
それで、死刑囚の死への恐怖をやわらげたりすることがありますが、そういうのとちょっと似てるのかなと思いました。
死刑になるほどの罪を犯し、死刑という判決がくだった。
人は許してはくれなかったけれど、神なら許してくれる・・。
監禁されて、拷問されて、あの状態になったら、早くやっちゃってくれってブロディは思っていたと思うんです。
生きることに苦しさしかなかったと思うけど、それを宗教が救ってくれていたとしたら。
苦しさから救ってくれた神様が、アメリカは敵だと言っていると刷り込まれたら。
が、しかしブロディが祈っていたからと言ってまだ油断できない。
どんでん返しあると思う。
そう、これは、海外ドラマだから!(笑)
本来のイスラム教はジェンダー問題など、未だに根深い問題もありますが、基本的には穏やかな宗教だと聞いていますので、今後のブログのネタのために、そこらへんの深掘りする部分は、今後のためにとってあります。
なにしろ100話近くあるうちのまだ第二話ですので、こんなところで出したら速攻ネタ切れになってしまう(笑)
キャリーとソールが言っていた取り返しのつかないミスも、あの世界的な忘れられない事件のことなんだろうなとは思っているし・・。
というわけで、それではまた!
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