実写版『リトル・マーメイド』を観に行ってきました。
※世界的にも有名な人魚姫の物語なので、若干ネタバレしてしまうかもしれません。
ずっと楽しみにしていたのですが(落ち着いたら行こう…)と思っている間に、どんどん字幕上映、IMAX上映が減っていき、もたもたしている間に『ザ・フラッシュ』や『スパイダーマン』の新作が公開してしまい、IMAXスクリーンの取り合いになってきてレイトショーとか悠長なことを言ってられなくなり、どうせ観るなら絶対にIMAXで観たかったので、有給を取得して初めて行く映画館にわざわざ出向いたよ!!(※よい子はマネしないでね!)
これだけ映画事情的に恵まれている首都圏在住でも、最近は洋画の扱いが年々しんどくなってきており『RRR』のように爆発的ロングランを獲得するような映画でもなければ大作でも油断できない状況です。
今年ぐらいから本当に顕著。
洋画勢本当にスピード勝負。
でも、そんな中でもこれ程までにIMAXで観てよかったと思った映画、今まで他にないかもしれない。
冒頭、深海のシーンが登場した時、あまりの興奮で鳥肌はもちろん涙が出そうになってしまって焦った。
そして、イルカのようにハイスピードで泳ぐアリエルの目線でその世界を見せる演出。
酔いそうだったけど、まばたきも惜しいぐらいでした。
世界のディズニーが、その豊富な資金力で、一流のクリエーターを集め、最新のテクノロジーで描く海のファンタジー映像がこれほどすごいものかと。
カルチャーショックがすごかったです。
海の映像が本当に美しすぎて、この美しい映像を2500円しない価格で観られるなんて何かのバグでは?と思ったし、貧民が今まで見たこともない夢のような舞踏会なんかを目の当たりにしてあまりの眩しさに目がくらむってこういう気持ちなのかもしれないって思った。
富めるもの(ディズニー)から貧するもの(わたし)への神的施し・・・。
という感じでまず、目の前に起きていることで目が釘付けになってしまって、一瞬で映画の世界に引き込まれました。
さらに、
(今、わたしが生きている間にこんなに進化している映像技術、100年後の未来に自分が居ない。未来人はどんな美しい映像を観ることができるんだろう。それを観られない、悔しい。すごく悔しい!!)
っていう未来人に対する嫉妬の感情が初めて湧いてきました。
冒頭にその美しい海の映像をぶっこんで来た後も、衰えを見せない映像美は海の中だけではなく、実写映像でも差し込まれていて、舞台はコロンビアの島(?)っぽかったので、南米の色鮮やかな色とりどりの色彩の布なども含めてずっと綺麗だった。
とにかく映像美には目をみはるものがあったし、それを観るだけでも価値のある映画です。
特に、
『Under the sea』本当に素晴らしかったです。
あ、『Kiss the girl』もよかった。
そして、アリエル役のハリー・ベイリーの歌声と合わさって、メンケン楽曲もどれも本当に改めて素晴らしく映画というより終始上質なショーを見ているようでした。
『Part of your world』は本当に心が震えて、嗚咽しそうになってしまった。
特に思い入れとかはないけど、とにかく歌が上手すぎる。
ストーリー的にいえば、基本的には女児がターゲットであるアニメの『リトル・マーメイド』の実写化のため、そこまで特筆するべき物語ではない(アンデルセンのに比べて)のですが、お子さんと映画を見に行った親御さんが刺さるような展開にはなっていて、末娘溺愛パパのトリトン王と、反抗期真っただ中のアリエルの関係性が非常によく描かれており、最終的にはトリトン王に感情移入して泣ける感じになっていました。
映像美も含めて大人が視聴しても充分満足できる仕上がりになっていたかと思います。
今回の実写用の曲も何曲かあったのですが、それも非常によかったです。
<広告>
主人公のアリエルを演じていたハリー・ベイリーは【好奇心が何ものにも勝ってしまう、世間知らずの箱入りのお姫様】をかなりキュートに演じていて地声も可愛くてすごいよかったなぁ。
本当に本当にかわいくてさー。
あぶなっかしく自分の夢を追う、若くて生命力のある元気いっぱいの才能のある若い女の子を見ているだけで、おばさんはなんか胸がいっぱいになってしまったよ。
全身砂まみれになって何時間水中で撮影したのか・・・と思うとなんかこう「うっ」とこみあげてくるものがあったわ。
この若い娘の夢を叶えてあげたいと。
そして、ロブスターだと思っていたセバスチャン。
実写のビジュアルがカニでショックを受けていて文句ぶーぶーだったけど、それももすぐさま見慣れて(カニってこんな風に泳ぐんだなぁ・・・)と思っていたし、フランダーも声が可愛いし、鳥を演じていたオークワフィナもいい味を出していた。
喋るだけですべてを超越するディズニーの実写。
エリック王子もなんかちょっと「いくら命の恩人とはいえアリエルのことちょっと好きすぎない? 周りの人困ってるじゃんwww」とは思ったけど、特に不満はないです。
たれ目が可愛かったし、王子の執事が最高だった。
そして、ラストはアニメとちょっと違っていて驚いたけど、いいラストでした。
なんていうかアリエルが(海を捨てたことをこの先後悔しながらも、その選択を受け入れて陸でエリックと暮らしていくんだろう)って感じの現実みのあるラストだった。
異種間の生物の和解みたいな感じの最後でもあったけど、そっちよりもなんかそういう、後悔しながらもたくましく幸せに生きていくこの先のアリエルがうっすらイメージとして伝わってくる感じ。
たぶん、この受け取り方はわたし独特のものだったのかもしれないけど、そこで改めて【アメリカの女児向け映画】っていうのをすごく突き付けられた感じで、突き付けられはしたけど、はるか昔に女児だった者としてすごくいいエンディングだなと思いました。
【人生の選択には責任が伴う】っていう教育的指導をディズニーがしてくれると、素直に受け入れる子もいるんじゃないかなぁと思ったし、実際人生の重大な選択ってリセットできないから、あとで間違ったって思ったとしても「自分は間違ってなかった」って思いながら生きていくしかないか、間違ったことを受け入れつつうまく折り合いをつけて生きていくことが必要。
人生の先輩である失敗済みの大人が「それは浅はかだよ」って伝えても、失敗の知らない子供は自信満々だから絶対言うこときかないし、浅はかだって伝えたうえで意思を尊重するのが大人の役目なら、子どもにも選択をした責任が出てくるんだよね。
そして、大人も失敗したかもしれない選択も含めて自分の愛すべき人生だと知ってる。
実際、社会は変わってきているとはいえ特に女の子がパートナー選びで人生が変わってしまうのは世の常だし、しかもアリエルは家族や過去を全捨てして、夢である新しい世界と好きな男の胸に飛び込んでしまった。
アニメの恋の成就的なラストではなくて、新しい人生を受け入れていく覚悟みたいなものが感じられて非常によかったですね。
今回、わたしはハリー・ベイリーのアリエルがすごく楽しみだったのに、その事に関してノイズがあったりで、色々観る前に水を差されて、正直不愉快な気持ちにもなっていましたが、とてもいい実写でした。
彼女はアリエルを演じきったと思います。
なので、今回のレビューではとにかく素晴らしかった。観てよかったっていうことを伝えたくて書きました。
あ、一点不満があった。
美しい姉たちの出番が少なかったのでもっと観たかったです!!
サントラ欲しいなぁ~。
<広告>