謎のウィルスがある日突然発覚し、瞬く間に蔓延してパンデミックが起こり、世界を恐怖のどん底に落とす、今から10年前の2011年の映画『コンティジョン』。
コロナが拡大し始めたころに話題になった映画ですが、色々この2020年パンデミックもそろそろ2年を迎えようとし、いろいろ世界の対策も一周した今の段階で、改めてみてみると今回の経過を元に製作された実話を元にした映画のようでした。
ドキュメンタリーは、本人の経過を追うけど、実話をもとに作られた映画は脚色があるじゃないですか。
で、最後なんかちょっとすっきり終わらないの。
『コンティジョン』はCOVID-19のパンデミックを、うまく脚色して豪華俳優陣でお届けした感のある作品でした。
映画で使われているウィルス自体も飛沫感染や接触感染して蔓延するタイプのもので、咳と熱が悪化して数日で死に至るタイプのものです。
隔離!! マスク!! ソーシャルディスタンス!! 消毒!!
さらには、自分の作り出した民間療法をネットで発信し、民衆を扇動して巨万の富を手にするインフルエンサー(ジュード・ロウ)まで出てくるんだよ。
びっくりしちゃった。
今回は作品としてというより、この作品の事例を引用した感想をお届けしたいので、ネタバレが各所に散らばっていますので、ここまででも都合ネタバレさせていますが、日本の映画広報が作るネタバレ満載の予告編よりは抑えめにしました。
しかし、これ以上はネタバレは無理って方は、本編もそこまで長くないので是非見てみてから戻ってきてくれると嬉しいです。
ただ、最後の最後のオチは記事中でもさすがに言わないでおきますね。
コロナのことがなかった状態で観ていたら、ただ単に「怖いなぁ~、こんなことあるんだなぁ~」って思って、翌日には忘れている感じだったと思う。
作品としては淡々としていて地味なんだけど、コロナパンデミックのある世界戦を体験した後に見ると、この淡々としてる感じがものすごくリアル。
キャストも豪華だし、すごく真剣にいろいろ調べて作品作った感じがしました。
わたし自身はホラーも観るけど、ホラー映画みたいな得体のしれないものの恐怖とはちょっと違う「その辺に居る人への恐怖」や「その辺にある物」への恐怖の描き方がすごいんだわ。
<広告>
まだパンデミック前の状態での、公共交通機関の手すり、飲食店のコップ、お店の人がお客から手渡されるクレジットカード・・・
それがアップで映し出されて、もうドキドキしちゃう。
映画のおおよその流れはこうです。
舞台は現代、香港出張に行っていたアメリカ人女性(グウィネス・パルトロー)が帰国後謎数日で体調不良で謎の死を遂げて、その女性にかかわっていたであろう人たちがアメリカ、香港含め世界中で次々と倒れていくところから話がスタート。
グウィネス・パルトローの夫、マット・ディモンはなんらかの免疫を持っていたため、無事。
妻の秘密をつきつけられたり、遺体を返してもらえなかったり、差別に遭ったり、娘を守ろうとしたり。
そのあと、WHO関係者のケイト・ウィンスレッドや、感染症の専門家、政府、軍、人の命よりも自分のお金的なインフルエンサーや企業など様々な人たちが出てきて大パニック。
そして、関係者からも陽性者が出始めぼやぼやしているうちに変異株も出るし、上級国民や情報を持っている人が助かりやすい環境になる。
民衆は不安から買い占め、暴動、盗難とどんどん治安が悪化していき、最終的には研究職が頑張り、ワクチンの製造に成功。ワクチンの一般国民への割り当てが始まる・・・
というような、どっかで見たような話。
実際の舞台はアメリカで、 アメリカの話しか出ないし、潜伏期間が短いウィルスなので、映画としては非常にコンパクトなつくりにはなっているから外交問題とかにまでは話を膨らませてはいないけど、現場はこんな感じだろうなという雰囲気は充分伝わりました。
あと、アメリカの話だし銃とか強盗とかそういう系もやはりこうなってくると出てくるだろうなとは思いました。
今から10年前の映画で『予言』的な感じがするけど、わたし個人の見解というか感想としては予言っていうよりも『人類の歴史上パンデミックになったら全部こう』なんだと思った。
映画内で出ていた『スペイン風邪』も『SARS』も『インフルエンザ』も、日本で幕末にはやった『コレラ』もです。
今は医療の発達で子どものうちに予防接種受けるなりして死なない病気になっている『はしか』『おたふく風邪』『水疱瘡』なども含めて、それで亡くなった人たちの犠牲の上に成り立っていて、わたしの人生の中ではそれが『コロナ』だった。
第五派が気味悪くここに来て感染者が激減していて、専門家もはっきりとした原因はわからないと言っているけれど毎回こんなことが起きるたびに、こんな風な時期があったんじゃないかなぁーと思っていて、そのまま収束して薬ができて死なない病気になることがあれば、HIVみたいに対抗薬ができるまでにものすごく長くかかるものもあったりもする。
その時代、時代の医療体制や経験である程度差はあれど、だいたい同じなんだろうなと思った。
なんとか対処できる個体だけ生き残れる仕組みなのかなと思ったりもするんです。
映画を見てすごく腑に落ちたんですけど、今回の件で回りを見渡してみると、元々ウィルスに強い生命力の強い個体というのは明らかに存在している気がするんですよね。
最初の第一号の夫でありながら感染しない人がいたのですが、症状が出ていないだけで感染していないとは限らなかったわけなんですけど、映画では感染してない設定でした。
今までも多分そういうパンデミックのたびに「なんであの人は平気なの」って人が出て、そういう人の血とかもワクチンづくりに役立っているはずで。
コロナ禍のなかでも、無症状感染者ってくくりで一括りにされていたけど、一斉検査で洗い出して「何故症状が出ないのか」調べたほうがよかったんじゃない?
さすがに、日本でもそれはやってたとは思うけどさー。
やってた感じしなかったからー(怒)
ワクチンも個別に合うように作られているわけじゃなくて『ウィルスに対抗する人体を作るため』に打っているので、そりゃ合わない人も出てきますし、ワクチンに耐えられない場合も出てくると思うんですよ。
わたしは1回目からしんどい目に遭いましたけど、なんともない人はなんともないわけで、わたしはがっつり感染していたらたぶん死んでたんだなぁと思っています。
それで、この作品で一番びっくりしたのが、ジュード・ロウ演じる陰謀論で金儲けする人の行動です。
心理は「お金儲け」だけで、それ以上でも以下でもなかったです。
民間療法を吹聴して騒ぎを起こすために漢方で使われている薬草のエキスを自分も感染したと偽装して、それを飲んで回復したと配信する。
作品に出ていた薬草の効能を調べたところ、実際、消炎、解熱、鎮痛作用があるところがホントっぽいんですよね。
政府や製薬会社は、特効薬があるのに利権のために認可しないとネットで配信を続ける。
不安な民衆はその思想にすがり、薬草のエキスを求める人で大混乱が起きる。
メディアに出て顔を売り、専門家の弱みを握って専門家の株を落とし、さらに名を売る。
最後にはワクチンは10年後に死ぬと言って、反ワクチン思想を拡げていました。
えっと・・・。
それ系の人たちは、この映画を参考にしたの?
個人的にはワクチンはもともと打つつもりでしたし、打ちました。
5Gとかはさすがに信じてなかったですけど、将来的な不安の話がいろいろあがっていて正直怖かったですし、今でも怖いです。
でも、10年後生きているかどうかもわからないし、たぶん感染していたら死んでいた個体だ(と自分では思っている)し、感染者身近にも出ていたし、死ぬならともかく後遺症持ちながら生きるのが怖かったので、わたし自身はワクチン打ったことは後悔してないんですけど。
ワクチン打たない派の方のことは別にいいのですが、なぜ周りを巻き込もうとするのかずーっと疑問だったんですよね。
宗教だったんだなぁって腑に落ちた。
布教でした。
信者が広まれば、教祖は儲かって嬉しいし、信者はこんなにたくさん仲間がいるんだから自分は間違ってないと思えるんだよねぇ。
(※カルト宗教関連の話が好きで割と読んだり観たりしている)
キャストも豪華で演技に見ごたえもあり、色々考えさせられる映画です。
ちょっとした不注意で、何人も殺してしまう恐怖というのはやはり他にはない怖さがありました。
何はともあれ、わたし自身都心部に働きつつ今のところ無事に生き残っていることには現代医療やたくさんの方の尽力に感謝しなければいけないと改めて思った次第。
不運にも今回のパンデミックで全世界で亡くなった方にはご冥福をお祈りしたいし、未だに治療や後遺症と戦っている方はなんとか医療が追いつくまで頑張っていただきたいと本当に思っています。
わたしもまだワクチン二回打てていないし、引き続き感染対策に気を付けて頑張ります。
<広告>