アカデミー賞の作品賞受賞作を予想しよう! 絶賛キャンペーン中ということで『ジョジョ・ラビット』を観てきました。
2020年、劇場映画一本目の記念すべき作品となりました。
アカデミー賞には、作品賞、助演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)、脚色賞、衣装デザイン賞、美術賞、編集賞がノミネートされています。
監督のタイカ・ワイティティも日本ではまだそんなに有名じゃないと思うし、キャストも新人の子どもが主役ということで、公開前は、早く観に行かないと劇場公開すぐ終わっちゃうかも・・と思っていたのですが、その作品の完成度ん高さからジワジワと口コミが広まりスマッシュヒットになっています。
アカデミー賞の授賞式も迫っていますし、しばらくジョジョ旋風続きそうです。
舞台は第二次世界大戦後期のドイツ。
軍に入り国のために戦うことを夢見るヒトラーに憧れを抱く10歳の少年ジョジョと、少年を取り巻く人々の物語。
ジョジョを演じるのは新人の子役、ローマン・ディヴィス君。
母親を演じた、スカーレット・ヨハンソンにそっくりだなぁ~、本当に親子みたいと思って見ていました。
冒頭シーンのころからラストシーンまでの間にどんどん成長していき、ラストにはものすごくいい表情を見せてくれました。
撮影していたカメラマンや監督、スタッフは「いいシーンが撮れたっっ!!」ってテンション上がっただろうなと今なら思う(笑)
主役をしっかり演じ切り、もし今後将来的に彼が俳優活動を続けていくのなら『ジョジョ・ラビット』が代表作になることは間違いありません。
気も強そうで、これからが楽しみなイギリス俳優誕生って感じでした。
ジョジョの母親役を演じた、スカーレット・ヨハンソン。
最近、『マリッジ・ストーリー』を観たばっかりだし、『ジョジョ・ラビット』の予告で『ブラック・ウィドウ』の姿を本編の直前に見ていたにもかかわらず、戦時下の女性であり、優しい母にしか見えなかったスカヨハ。
今年のオスカーの助演女優賞は、ジョジョのスカヨハだと思います(個人の感想です)。
他のメインキャストでは『アイアンマン2』では推し(アイアンマン)の敵だったため、眼中になかったジョジョが訓練を受けるユースキャンプのキャプテンKを演じたサム・ロックウェル。
登場したその瞬間から(あ、かっこいい・・)ってなり惚れました(笑)
その部下の、フィンケルを『ゲーム・オブ・スローンズ』のシオンでお馴染みのアルフィー・アレンがポップに演じてくれました。
シオンの元気な姿が観られて嬉しかったよ・・。
エルサ役の女優さんもすごくよかったし、ジョジョの親友役のヨーキー君は癒しだった(笑)
さらに、本作の監督であるタイカ・ワイティティがヒトラーを演じています。
自身もユダヤ系であるワイティティ監督がどんなふうにアドルフ・ヒトラーを演じたのかは一見の価値あり。
うまく、言葉では説明できない感じだけど、思い付きのような気もするし、よく考えられたキャラクターの気もするし、とにかく印象深い。
というわけで、キャストと物語の紹介をさせて頂いたので、あとはふんわりとネタバレを含んだ映画を観たうえでの思いを書いていきたいと思います。
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『ジョジョ・ラビット』鑑賞中の同じ劇場内に ”笑いのツボ” が他と違う爆笑ファミリーが居まして。
コメディ映画というジャンルだし、 確かにクスリとするほんわかシーンも散見する癒し映画ではありましたが、わたし自身は泣きながら、ここ、コメディ感の裏側の切なさで泣くところだし・・とツッコミながら観るという体験をしてしまったんですね。
あ、それがダメだったってわけじゃないです。
映画というものに限らず、送り手と受け手のあるものは世に出された瞬間から全て受け手の価値観に委ねられているというのを改めて感じたし『ジョジョ・ラビット』は特にそういう映画だったと思います。
第二次大戦下という歴史作品でありながら、衣装デザイン賞や美術賞にノミネートされるほどビビットでお洒落な洋服や小道具、そこにビートルズやデヴィッド・ボウイなどのアップテンポな楽曲が織り交ぜられており、歴史作品的な要素を極力感じさせなかったのは観る人に「過去のことだし」というファンタジー感を与えさせないためかなという気もしました。
カラフル大河として話題になった本年度の大河ドラマ『麒麟が来る』も「時代背景的にカラフルなのは変だ!」というご意見があったみたいですが、『麒麟が来る』に関しても、飢えにあえぐ民はボロボロで汚れた衣類を身にまとっていたし、なんだろう。
ジョジョも大河も、身近に感じた。
ジョジョは実際、あまり街にも出ない作品だったので、実在の時代をモデルにした作品でありながら今と切り離して考えられなかった。
そんな、ポップな映像を観ながらも、ヒトラーの罪はある程度のことは知っていて、背景を想像すると胸がざわざわしていた。
歴史的に本格的に勉強したことはないけど、『アンネの日記』もおそらく中学生か高校生ぐらいのときに読んだ。紫の表紙だったと思う。
そもそもが少女の日記を少女が読んだところで、そんなに面白くもなく、アンネの名言にしてもおそらく今のほうが響く言葉がたくさんある。
だけど、その時のわたしは何故か意地になって言一句最後まで読んで、日記だから本当に突然終わって、ものすごく傷ついた記憶が未だに残っているし、書かれていた隠れ家のこととかすごく覚えているので、自分自身すごく印象深かったんだろうとは思います。その時に、たぶん強制収容所のこととかも少し勉強したような気がする。
もちろんそういったわけで『ライフ・イズ・ビューティフル』も観ています。
この作品は10歳の子どもが主人公で、国の英雄とされているヒトラーを妄信するような教育を生まれながらにして受ける環境で育っています。
ヒトラーの思想に反する発言を公にしたら死という状況では、軍国主義、愛国精神、ヒトラーヒーロー思想は当然といえば当然なわけです。
昔の日本と同じ。
誰も子どもに自国のダメなところは教えてくれない。
作品を観ているこちらは、そんな少年【ジョジョ】に対して、大人だし分別もある程度は備わっているので反発したい気持ちもあるけど、その反面彼の行動を”仕方のないことだ”と許容してしまう気持ちも出てくる。
そのうち、少年にものすごく共感して、10歳の目になる瞬間がたくさんある。
自分が10歳になって、思春期を、差別や戦争の不条理を、愛を知って一緒に成長していく、そして泣く。
クライマックスのシーンのジョジョの表情を、たぶんわたしは一生忘れない。
平和や、差別への思いって、こういう風にも描けるんだっていうのが『ジョジョ・ラビット』への一番の感想でした。
靴ひもの伏線が、冒頭、中盤、終盤と最後まで続いたのにも驚いたなー。
『靴ひもを結ぶ』っていう行動ひとつでメッセージを伝えることができるっていうスカーレット・ヨハンソン出演の作品を年始早々二本観ることになりました(笑)
ビビットな色合いと、ほんわかしたストーリーの中にもしっかりと緊張感や現実が織り込まれ、涙が止まらなくなる印象深い不思議な作品でした。
新しい風を映画界に吹かせてくれたタイカ・ワイティティ監督。
アカデミー賞何部門受賞できるか楽しみです!
アカデミー賞の前に、主要部門の予想記事も書けたらいいなと思っています。
それでは、また。
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