今期、唯一リアタイで観ていた深夜ドラマ『だから私は推しました』が、残念ながら先週終わってしまったので、感想です。
このドラマを観るきっかけは、下記漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』です。

推しが武道館いってくれたら死ぬ(1) (RYU COMICS)
- 作者: 平尾アウリ
- 出版社/メーカー: 徳間書店(リュウ・コミックス)
- 発売日: 2016/02/29
- メディア: Kindle版
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わたし、本当に節操がないんですけど、面白そうだと思うと、何にでも手を出してしまう癖があって・・。
『ダ・ヴィンチ』という有名な雑誌に紹介されていて、それがこの漫画を読むきっかけだったんですけど、想像以上に面白くてハマってしまった漫画なんです。
表紙はファンシーですが、作者さんの絵はとても上手だし、話もかなり笑えます。
地下アイドル事情に詳しくなりました。
来年アニメ化もされます。
未読の方は、是非一度読んでみてね!(と布教してみる)
さすがに、いい大人が節操がなさすぎなんで、この漫画を読んでいることを告白するのはかなり躊躇われたのですが、『だから私は推しました』も『推しが武道館いってくれたら死ぬ』も、【地下アイドルのメンバーを推すようになり、人生を捧げるようになってしまった女性を中心とした話】で、この漫画を読んでいることを踏まえないとドラマの話はできない・・と思い、ドン引きされても構わないという断腸の思いで告白させてもらいました!!
この漫画と似たようなドラマが始まるという情報を得たことが、ドラマを観るきっかけです。
漫画の方は、主人公の若い女の子が偶然通りかかった場所でやっていたアイドルイベントでご当地の地下アイドルにハマってしまった、基本的にコメディ色の強いストーリーです。
『だから私は推しました』は、ミステリー色をうっすら出してスタートしましたがドラマ前半は、(え・・? これ、推し武道(推しが武道館いってくれたら死ぬの略称)のパクリが、原作・・とかじゃないよね・・?)
っていうぐらい話が似ていて、漫画→主人公が20歳の女性、ドラマ→主人公がアラサー会社員女性、の違いぐらいで、かなり被ってるなと思っていました。
※詳しいあらすじ等は、下記公式サイトをご覧ください。
『女性の地下アイドル』を『女性が推す』という設定、地下アイドルに詳しくないであろう視聴者に、とりあえず地下アイドルとその応援システムのことを知ってもらわねばいけないという点と、1話30分という短い尺の中では、仕方なかったかもしれないと今では思います。
漫画では描くことができないリアルな歌やダンスの部分も楽しかったし、劇中アイドル【サニーサイドアップ】は、地下アイドルにしとくにはもったいない曲の完成度と可愛さで、様々なオタク人生を歩いてきたものとして、ドラマが進むごとにどんどん感情移入して観てしまった。
後半の泣ける展開はさすが、脚本家・森下佳子(TBSドラマ:『白夜行』、『JINー仁ー』、『義母と娘のブルース』)の真骨頂で、涙なしには観られない展開でした。
以下、ネタバレありで感想を綴っていきたいと思います。
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『人は何故、何かを推してしまわずにはいられないのだろう・・』
と、哲学的なこと(?)を考えさせてくれるドラマでしたが、対象が人であれ、なんであれ、推してるものがある人が、割と多い世の中だと思います。
趣味って、何かを推してるものがあるってことですよね?
推すって、純粋に楽しいよね!
この作品は、地下アイドルを推すというドラマでしたが、『だから私は推しました』も『推し武道』もそうなんだけど、主人公が女性ということに大きな意味があったと思います。
今は大きなアイドルになっている秋葉原からスタートしたアイドルも、坂系のアイドルも、地下アイドルも、2.5次元アイドルなんかも、アイドルの多くは基本的に接触商法をベースとしているグループがたくさんあります。
お金で、握手とか、トークタイムとか、写真撮影権とかをファンが買うわけですよね。
接触が多いとどうしても、アイドルとファンの距離が近くなるので、ガチ恋といわれるリアルに恋愛感情をアイドルに抱いてしまうファンが大勢出て、ファン感情が拗れて事件が起こり、現実にたびたびニュースになったりしますし、ドラマ内でもアイドルへのファン感情を拗らせた瓜田がストーリーを引っ張りました。
「こっちはこんなにハナのことを思ってるのに、不公平じゃないかーっっっ!!!」
ってなっちゃう。
『だから私は推しました』は完全に、『推し武道』はややふんわりとはしていますけど、基本的にファン側は、アイドルに恋愛感情は持っていないです。
もちろん、推しを恋愛感情を持って推してもいいと思うし、アイドル側はそういう戦略で売ってるっていうのもあるので、疑似恋愛としてそういう応援の仕方はアリだと思う。
そういう相手がこの世に存在しているということは、どういう形であれ幸せでしかない。
ただ、ドラマとしては、ただのアイドルとファンの恋愛ドラマになっちゃうのは本意じゃなく、あくまでそういう目でアイドルを見ていなく、純粋に応援しつつ、身を削ってお金を積んでいるファンの姿を見て、【応援する側】と【応援される側】の複雑極まりない感情の揺れとか、推しの成長を純粋に望む姿とかに感動させられる部分があるので、女性アイドルに対し、アイドルより年上の女性ファンというのは、ストーリー的にそういう骨組みを作りやすい設定ではあると思います。
愛ちゃん役の桜井ユキさんは、そういう周りに流されて生きてきた等身大のアラサー会社員と、好きなものに出会ってどっぷりハマり、人生を大きく方向転換した女性を演じきったと思います。
彼女の渾身の演技に何度泣かされたことか・・。
推される側であり、地下アイドルグループの一番ファンの少ない役を演じた白石聖ちゃんは、そういう役どころの割には可愛すぎましたが、一生懸命地下アイドルでいることに情熱を傾けつつ、もがき苦しむ役を等身大の若さで演じてくれたと思います。
脇を固めるサニサイのメンバーや、オタク仲間の小豆沢や椎葉さんも非常によかったです。
ドラマの流れ的には、
推しができる→全力で応援する→周りに理解されない→悩みつつ吹っ切って応援する→推しの夢を叶える→推しの不祥事発覚→和解→推しを取り戻す→推しを失う
という怒涛の流れでしたが、わたしが印象深かったのは【推しの不祥事発覚】のくだりですね。
わたし、幸い、今までの推しが不祥事を起こしたこと、奇跡的にないんですよ。
なんと、熱愛発覚もない!(絶好調で推してた時には)
それが、どんなに素晴らしいことだったかと、今までの推しに感謝して、改めて拝みたい気持ちになりました(笑)
勝手にこっちが推してただけだけど、推しに裏切られる(?)のはこんなにツライのかぁ・・
と、愛ちゃんがかわいそうすぎて泣いてました。
推しをフェスに出してあげようと、必死に金を積んだ愛ちゃんの思いは・・ってなったんですけど、それもこれも推しに頼まれた訳じゃないし、勝手にやったことだしなっていうジレンマ。
それを乗り越えての、最終回、本当に綺麗にまとめてくれました。
最終話の1話前で愛ちゃんの真意を知ってから、どうまとまるんだろう・・と思っていたのですが、ラストライブを観られなかった愛ちゃんと視聴者に、最終話できちんとサニサイの終焉を見せてくれたのには感動したし、小豆と愛ちゃんの関係をあやふやにしてくれていたのもよかったと思います。
別にカップルになっていてもよかったんだけど、進展してしまっているのはドラマの本筋から逸れる気がしていた。
1話30分という短さで、作り手も描ききれない部分もあったと思うし、もっと細かく突っ込んでいきたい部分もあったと思うんですけど、そこは力技で強引に引っ張って行きながらも、極限まで余計な部分をそぎ落としつつ大事なところはきちんと描かれていたたのかなって思いました。
『アイドル』と『ファン』とはいえ、結局は、人と人との繋がり的なものが根底に描かれていたのがよかったです。
推しが現在存在している人も、過去に居た人も、これから推しが出来る人も、例え推しがいなくても、共感できるところのある素晴らしいドラマでした。
続編・・と思ったけど、綺麗に終わったからあの終わりでいいかな。
愛ちゃんに、まさかの新しい推しが・・!? とかも面白いかなと思ったんですが(笑)
それでは、みなさん楽しい推しライフをお過ごしください。
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