2019年4月30日、平成最後の日です。
人生の記憶のほとんどが平成で構成されているとはいえ元号が令和に変わっても、 明日からも今日の延長の日常が続くだけです。
そして日常と言えば、弁護士のシロさんと美容師のケンジ、一緒に暮らす中年男性カップルが、2人が家で一緒に食べるごはんを中心に、人生で起こりえるトラブルを交えながら、何気ない日常を淡々と描いているのが、よしながふみの『きのう何食べた?』です。
わたしは元々、よしながふみの漫画が大好きで、商業誌で刊行された漫画はほとんど読んで(所持して)います。『大奥』が作品としては特別一番好きですが、他の作品は横並びで順位がつけられません。
今回ドラマ化の話を聞いて上記のとおり『大奥』が一番好きなわたしとしては、よしながふみのドラマの実写化に大いに不安を感じていました。
個人差があると思いますが、あくまでわたしの意見ですが、映画化された二本の『大奥』への恨みは一生忘れない・・。
まぁ、そういったわけで、『きのう何食べた?』の配役が発表されたあとも、みんなそれぞれイメージを持って漫画は読んでいると思いますが、わたしが思い描いていたイメージとも違っていたため、不安を拭い去ることはできなかったのですが、第4話まで放送を終えた現在(関東地方:テレビ東京系)、(あー・・・そこ割愛しないほうが・・)という突っ込みはあるにしろ、民放テレビの漫画の実写化としては漫画の大ファンであるわたしとしても、最初のハードルを下げたせいもありますが、かなり及第点ではないかなぁと思っています。謎の上から目線すみません(笑)
ドラマ自体は、今のところ原作の訴えたいことからちょっとずれている脚本にはなっていると思うのですが、なにしろ、カップルの一人、ケンジを演じる内野聖陽氏が繊細な演技で、毎回こちらを感動させてくれて素晴らしい。
脚本の出来云々は役者のせいではないし、厳密にいえば漫画のケンジともちょっと違う気がするんですけど(そもそも、わたしのイメージが間違っていて、本当はケンジはこんな感じなんじゃないか)とすら思わせてくれている。
もはや、ケンジを観たくて観ているといっても過言ではありません。
内野聖陽さん、ケンジを演じてくれてありがとう!
とめちゃくちゃ感謝しています。『仁』も『臨場』ももちろん好きでしたが、これからも一生応援します。
漫画ファンのわたしとしての一番大事なポイントは『実写化はいいけど、漫画を読んだことがない人に、変なイメージを持たれると困る!!』という、原作への熱い思いなんで。そこを内野氏のケンジがカバーしてくれていることには、本当になんてお礼を言っていいかわかりません。
というわけで、よしながふみの『きの何食べた?』を最新刊まで読み直しましたので、原作漫画の良さやすばらしさを下記で語っていきたいと思います。
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突然ですが、基本的には料理は嫌いです。
必要に迫られてやっているけど、そんなにはやりたくないです。
誰かが美味しく作ってくれたごはんを食べるほうが楽に決まっている(笑)
ドラマ内でもセリフにあった「料理していると無になれる」というのは同意で、ちょっとリフレッシュできるというのはすごくわかります。
普段、悶々と色々考えてしまうタイプなので、料理してるとスイッチが入って段取りを考えながら(これしている間にあれやって、次はこれやって・・)と、他に思考の余地がなくなるのがいいんだと思います。
ただ、仕事の後にやるのは時間的にもタイトで焦るので、やるならゆっくりやりたいのと、買い出しから料理の後始末(食事後の片づけではない)までが料理だと思っているので、 めちゃくちゃ大仕事ですよね。
床もガス台もシンクも汚れるし、調理に使った道具も洗わないといけないし、作る時間の割に食べるのは一瞬だし。
そんなわたしに、こめんどくさいきちんとした料理を作ろうという気にさせてくれる本、それが本作品です!
それだけでも読みたいと思いませんか?(笑)
ケンジがシロさんの作った料理に一切文句を言わない
し、いつもなんでも美味しいって喜んでくれるから、わたしもちゃんとしたごはん作らないと、と思うんです。
この作品の素晴らしいところは色々あるんですが、まずは、共働きの見本みたいな暮らしをしているというところだと思います。
子どもはいませんが、家事分担やお金の問題もきっちりなされているうえ、お互い大変な時は、精神面でも家事的にもお互いをフォローしあっています。
一緒に暮らしているすべてのカップルが読んだほうがいいと思うほどです。
シロさんは弁護士だし、ケンジも美容師でお金に不自由はしてないけど、基本的には質素に暮らしています。
わたしは読むたびに毎回わが身を振り返り反省しています。
そして、一番訴えたいポイントとしては、1巻~最新刊15巻までの間に、二人の間にしっかりとした時間が流れているということです。
一緒に暮らすということ、人生を共に歩むということの淡々とした日常がここまでしっかり描かれる漫画も珍しいのではないかと思います。
42歳と40歳からスタートした2人は、15巻では50歳をとうに超えています。
ずっと続けて読んでいるとわからない程度に二人の見た目もちょっとずつ変わっているのも描き分けすごいと思うし、2人共通の問題、そしてそれぞれの両親や家族の問題、友達付き合いやご近所付き合い、仕事の問題が、シリアスになりすぎることなく、よくこの短いページ数に盛り込めるなという形でちょっとずつ盛り込まれてるし、ケンジとシロさんの二人もお互いに影響しあって、特にシロさんのほうがものすごく最初の方から変わってきています。
嫌いな人とごはん食べてもおいしくないじゃないですか。
毎日一緒にご飯を食べたいと思う人がこの世に存在しているということは、普遍的でも当たり前でもなく、奇跡的な幸せなんだと、暑苦しい感じではなくて、なんとなく気づかせてくれるんですよね。
全くの他人だった2人が一緒に年をとり、家族になるということがどういうことなのか、シロさんとケンジが教えてくれます。
この2人が何歳になるまでこの作品が続くのかわかりませんが、これからも2人を見守っていきたいと思うし、最後はリタイア後の老後も描いてくれると嬉しいなぁ。
2人がどういう風に年を取るのか見たいです。
個人的に好きな回は、ドラマ第4話でも盛り込まれた、クリスマスでラザニアを作る回、草野球を観に行ったりお花見をしたりする行楽の回、ケンジがシロさんが落ち込んでいると思って、励まそうと雨の朝にコンビニに走り朝食を作る回です。
まだまだありますが、特に印象深いのはこんな感じ。
最後に、 わたしが『きのう何食べた?』からレシピを拾って我が家の定番調味料になった白だし、さくっと作れる小鉢メニュー、雷こんにゃく、残り野菜の救済によく使う、おかかバター味が載っているかどうかは定かではないですが、『公式レシピブック』も出たようなので、漫画と併せて是非。ちなみに、シロさんの作る行楽弁当が大好きというより、シロさんの行楽弁当を喜ぶケンジが大好きなので、わたしも行楽弁当は変にこじゃれた盛り付けにはせず、タッパーにアルミホイルで仕切るお弁当にしています(笑)
公式ガイド&レシピ きのう何食べた? ~シロさんの簡単レシピ~
- 作者: 講談社
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まだドラマしか観てない人にお勧めの原作だし、ドラマを観ていない人にももちろんお勧めの漫画です。
本当に普通に日常が描かれているだけです。
今日は、キッチンの床をキャベツまみれにしながらコールスローを作りました(笑)
というわけで、それではまた。
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