たま欄

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【前編】ウィキッド ふたりの魔女 感想 繊細な人間描写と圧倒的な歌唱力。浮かれた気持ちで臨んではいけない繊細な人間ドラマのミュージカル映画。

ものすごく久しぶりに公開直後の映画ウィキッドを観てきました。

 

久々すぎて映画館に行くのもチケットを買うのもちょっと億劫だったのですが、いざ行ってみたら混んでる映画館にワクワク感すら感じました。

 

結果行ってよかったし今後映画館に行くのもハードル下がって、さらに2時間41分の長尺を感じさせないクオリティーに大満足でした。

予告含めて3時間弱耐えられたことにちょっと自信もついた。

 

ありがとう!ウィキッド!!

 

wicked-movie.jp

 

ブログ自体も久々で、最近は(わたしが書かなくても誰かが書くし・・・)と書くことに対してかなり消極的になっていたのですが、今回は後編を見る時の自分のためにも、観た直後のフレッシュな感想を書いておきたいと思いました。

 

久々すぎ(二か月ぶり)て、ちゃんと書きたいことを書けるのかいささか不安ではあるけれども無駄に長くブログをやっている経験値だけはあるのでなんとかなるだろうとは思っています。

 

ミュージカル自体はそこまでコアな観劇回数はないのですが、帝劇系は観劇経験はなく劇団四季に凝っていたことがあり『CATS』『ライオン・キング』『コーラスライン』は複数回劇場に足を運び『リトル・マーメイド』やファミリーミュージカルなども視聴経験があります。

(ちなみに一番好きなのは『コーラスライン』なのでブロードウェイ来日公演も観に行った)

 

が、『WICKED』は今まで観たことなかった!!

 

観たいと思っていたけど機会に恵まれなかったままここまで来てしまった。

 

逆に今回の映画を新鮮になんの前情報なく観られるチャンスだと思ってあまり余計な情報を収集せずに小ネタもそこまで仕入れずにストーリーも知らずに観に行きました。

 

でもオズの魔法使は観ておいてもよかったかな。

 

 

 

 

結果からいうと思ってたのとは全然違ったけど、だいぶ大人のわたしが観ても充分にメッセージ性が響く作品でした。

 

舞台版が二時間から二時間半程度でストーリーがまとまっていることを考えると、映画版はその時間で前編しかやれてないので大筋は合ってるけど細かいところはだいぶ現代に即した感じになっているんだろうなとは思う。

 

映画を観ている途中からずっと思っていたのが登場人物全員に嫌われる要素があるキャラクター設定だと思いました。

 

もちろん全員にそれぞれいいところもあるんだけど、人によっては超絶嫌いになる人もいるだろうなと思いながら観ていた。

 

グリンダもエルファバも一部のクラスの女子に嫌われるタイプだなと思ってて、ファンタジー映画と一言でくくれないヒューマンストーリーがあったと思う。

 

実際の社会では誰しもが人に好かれたり嫌われたりしているから、人間関係の嫌な感じのリアルさがあった。

 

現代の差別や権力者の独裁なんかの社会問題も浮き彫りになっていて、なんかすごく考えちゃったんですよね。

 

黒人のシンシア・エリヴォが映画内のファンタジー世界ですら圧倒的なマイノリティーである【生まれながらの緑の肌と魔力を持ち親に忌み嫌われ社会からも弾かれた存在】を演じ、子どものころから芸能活動をしているアリアナ・グランデ【親に愛されて育ったブロンドで白人の学園でも人気のお嬢様】という圧倒的マジョリティーを演じたということからしても考えちゃった。

 

そこにプラスしてアメリカ映画っぽさが加わってるなぁと。

 

絵面と反比例したオープニングから衝撃すぎて(あ、この映画は浮かれた気持ちで臨んでは駄目なやつ)って思えたのはオープニング的に大成功だったと思います。

 

気持ちが引き締まった。

 

わたしは初見がシンシアとアリアナになっちゃったからもうエルファバとグリンダは二人になってしまったためイメージ違いとかはなくて、歌唱力とかもわたしが何か言うのもおこがましいほど申し分はないので、そこの講評なんかは詳しい人にお任せしたいんですけど。

 

 

元々アリアナ・グランデはプレイリストをヘビロテするほど好きな歌手で日本人では全然聴いたことないレベルの人も多い中、そこまで詳しくはないけど割と聞いてる方だとは思うのですが、そのわたしからしてもアリアナがこの映画のためにすごくボイトレを頑張ったんだろうなということはもう出てきた瞬間からわかりました。あとシンシアはわたしがイメージしていたよりも瑞々しい透明感のある歌声ですごく好きだった。

 

ミュージカルシーンでは図書館のシーンがすごく楽しくて印象に残っています。

 

今回フィエロという王子を演じた「ブリジャートン家」のジョナサン・ベイリーがメインのシーンでした。

すごく凝ったダンスシーンなのでこれから観る人は楽しんでもらえたらと思います。

 

で、ジョナサン・ベイリーを調べていたらこの作品が出てきて今猛烈に観たいです!

禁断の愛といってもいい時代のマット・ボマーとジョナサン・ベイリーの愛の物語なんですって。

悲しいのは苦手だけど、ウィキッドの彼がすごくよかったので観てみたい気持ちになっています。

 

 

ちょっとここからは作品のストーリーに一歩踏み込んだ感想をつらつら書いていきたいのでネタバレしたくない人は読まないほうがいいです。

 

 

これから観るのにわたしの個人的な偏見や思想が入ってもいいか、観た人で個人的な感想が気になる方だけここからの感想にお進みください。

 

 

↓ ↓ ↓ ↓ ↓  ここからネタバレ  ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

 

 

 

わたしは、自分がマジョリティだと思って生きてきたことって今まで一度もないんですね。

 

あんまりマジョリティ側はマジョリティを意識することはないと思うんですけどそれにしてもマイノリティな人生だと思う。

 

なので、ものすごくエルファバに共感できる。

 

自分の境遇に不遇さを感じたり社会の不条理に対する怒り。

 

親そのものとうまくいってなかったり、家庭の中でヤングケアラー要員として扱われる立場の微妙さなんかも含めてわかるなって思っていて映画前半は本当に辛かった。

 

そんな彼女が悪い魔女として名を国に蔓延らせることになった悲しい理由が、マジョリティーに迎合することを拒否したという頑固さだったりというのもなんかわかる気がした。

 

でも、自分に優しく愛情を示してくれた熊の乳母の存在があるからこそ、動物の迫害(言論弾圧)に我慢が出来なかったというのも理由としてはすごく納得なんです。

 

ただ、人物的にエルファバ自身がものすごい善ってわけでもないじゃないですか。

 

善と悪がたぶんテーマの映画なので、それぞれの登場人物に善悪が混在している。

 

ただ、善悪の基準も人それぞれで自分の今までの経験に基づいた価値観でしか判断できないから本当に難しい問題。

 

誰も自ら悪になろうとして生きてない。

 

エルファバが学校になじめない理由とかも、生育環境上しょうがない部分も有るけど、斜に構えて周りを見てちょっと小ばかにしていて、自らものすごい壁を作っている。

 

一方グリンダは両親に愛されて育って、容姿にも恵まれて人から嫌われたことがなく自己肯定感が高くて人気者の振る舞いが染みついている。

そして「女の子は可愛くてちょっと馬鹿な方が可愛い」みたいなステレオタイプで生きていくことで愛される生き方を掴んできた。

賢い女は可愛くない、生意気な女は嫌われると生育環境で学んできていて常にかわいくピュアで人気者であり続ける努力を自然としていてそれを幸せだと思ってる。

それに疑問を感じたりしない。

 

メインの二人だけじゃなくそれぞれのキャラクターが社会に馴染んでいきていくためのキャラクター作りみたいなものをして日々生きていて、別にそれがダメってわけじゃない。

 

”王子はこうあるべきというみんなが求めるチャラめの王子像を演じる王子”にしても、人気者にすり寄って生活していく人も、それが社会で楽に生きていくための方法で、誰しも多かれ少なかれ場によってそういう生き方をしていると思う。

 

”人が想像している自分”を演じて暮らすのが一番楽だから。

 

それが異端のエルファバの存在でみんな少しずつ気持ちに変化が出てくるという前編だったわけですが・・・。

 

わたしはエルファバに共感はできるけど身近にいたら同族嫌悪でたぶん嫌いで、大人になってからはグリンダみたいなタイプにすごく救われることが多いし好きです。

 

両親から大事にされて育っている育ちのいい人をうらやましいと思うフェーズは通り過ぎているので、そのわたしとは全く違うまぶしい光をはわたしに気づきをくれたりする。

 

あと、わたしと違って性善説が染みついているところがすごく好き。

 

基本的に人が好きで自分が一番好きなところに強さを感じるんですよね。

生命力の強さというか。

 

なので、もちろん一人で飛び立ってしまったエルファバのことも気になるけど、あの人たちの所に残り魔女として生きる訓練を積むのであろう後編のグリンダがすごく楽しみなんです。

 

ちなみに個人的には家に帰ってきてからもどうしても許せないと文句を言っていたのが、イーサン・スレーター演じるボグでした。

 

けしてウィキッドをきっかけにアリアナと付き合っているからではないです!(笑)

 

自分が断りたいがために悪気なくネッサに差し向けるグリンダも醜悪ではありましたが、行くんかい、おまえ行くんかい!!というのと事情をネッサに話そうとしたのにグリンダが王子とチューしてるのを見てやめるとかさ。

ほんと無理だった。

演技もうまかったけど一番無理だった。

 

今回『イン・ザ・ハイツ』の監督と同じチュウ監督だったので、ミュージカルシーンの圧巻さや、人間描写のうまさはさすがでしたねー。

今思うと図書館のシーンなんかはイン・ザ・ハイツみがあった。

 

ウィキッド』がよかった人はぜひこちらの作品も観てほしいです。

こちらも素晴らしいミュージカルです。

 

Amazon会員の方は観放題です!(2025.3.10現在)

 

まだ成長過程で弱さと子供っぽさが残るグリンダとエルファバの成長物語の後編。

 

すごく楽しみです!

 

ネタバレ踏まないように気をつけないと。

 

アメリカ公開は今年の11月21日。

日本ではどうなんでしょうか。

今回の興行収入次第なのか?

果たして年内に観られるのか、来年になるのか。

 

それまで楽しみに頑張って生きていかねばならないです。

 

 

というわけで、今回はこのへんで。

それでは、またー。

 

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