『ワンダー君は太陽』感想です。
作品内では、病気のことには詳しく触れられていないのですが、トリーチャーコリンズ症候群という先天性の遺伝子疾患を持って生まれた少年オギーと、その家族と友人を巡る物語です。
※画像は公式サイトにリンクされています。
生まれてからすぐ手術や入退院を繰り返し自宅学習を続けていたオギーですが、初めて息子を学校に通わせることを母が決断するところから物語はスタート。
オギーはその時日本でいうところの小学6年生12歳ですが、アメリカでは中学1年生の節目の時期です。
トリチャーコリンズ症候群の一番の特徴は顔面に現れます。
特徴的なルックスの少年が学校に登場したことで巻き起こる本人や、周りの子どもたちの動揺や葛藤。それを取り巻く大人たちの様々な側面が描かれたこちらの作品ですが、ありていに言えば、もっと【お涙ちょうだい】的な内容を予想していたのですが、いい意味で裏切られた傑作でした。
『君は太陽』という言葉は原題にはついていなくて邦題なのですが、映画を観ると『君は太陽』という言葉には、そのままの意味と、違う意味も込められていたので、久々にいい邦題だと思いました(笑)
この作品は、オギーの家族中心に話が進められていくのですがオギーやオギーの母イザベル(ジュリア・ロバーツ)だけに焦点が当てられているだけではなく、オムニバス的な作り方がされていました。
オギーの姉オリヴィィア目線、オギーの友人、オリヴィアの友人目線で語られる色々な家庭事情や感情などがあり、様々な人物の本音を客観的な目線ではなく、主観的な目線で見せる手法なのが、それぞれの立場からの気持ちがグッとこちらに強く伝わってきたところがすごくよかったし、結果、無駄な登場人物が居なくなったことで、学校のストーリーということで割と多めな登場人物たちでしたが、まとまりが生まれて感動がさらに引き立ったと思います。
オムニバス的なところでのストーリーでは、個人的にはオギーの姉オリヴィア(通称:ヴィア)の友人ミランダ(すっっごい美少女!!)のくだりは思春期を変にこじらせている感じで応援したい気持ちになっていました(笑)
そして、ストーリーのメイン家族のプルマン家。
主役(?)のプルマン家の母、イザベルを演じたジュリア・ロバーツ。
すごくよかったです。ジュリア・ロバーツのシーンで何度もうるっときました。
イザベル、すごくいい母親なんです。
一言で言うと、何に対しても愛が重い(笑)。
それは、子どもたちのことはもちろんのこと、夫や飼っている犬、仕事に対してもです。
その真摯な愛を言葉少な目で表現していたと思うのですが、表情だけで気持ちがすごくこちらに伝わってきて。
イザベルの愛の重さで、今思い出し泣きできそうな程です(笑)
そして、イザベルの夫、ネートもすごくよかったんですよ。
妻のやることにあまり口は出さないし、基本的には妻を立てている温和な夫なんですが、いざという時には強くも優しい愛で家族をサポート。
イザベルの重い愛を緩和させ、癒しを作ってくれました(笑)
そして、話は前後しますが、プルマン家のもう一人の子どもオギーの4歳上の姉オリヴィア(ヴィア)です。
弟が生まれるまでは両親の愛を独占していた彼女ですが、生まれながらに難病を持ってうまれてきた弟が出来たことによって、両親がいくら努力をしていたところで普通の子ども時代を過ごすことはできなかったと思うし、甘えたいところををぐっと飲みこんできたこともたくさんあったと思うし、我慢も多かったでしょう。
でも、すっごく、すっごくいい子なんですよ!!
彼女の存在が、映画に深みを持たせてくれたと思います。
そして、先天性の病気を持って生まれてきたけれど、温かい家族のプルマン家の息子に生まれてきたオギー。
トリチャーコリンズ症候群という、人とは違う性質を持って生まれてきてしまい、いわゆる”普通の人生”を歩めない悲しさや喜び、優しいところもあり頑固なところもあるという思春期に片足を突っ込んだぐらいの少年のリアルさを、表情では演技しにくい特殊メイクを施されながらも完璧に演じ切った、ジェイコブ・トレンブレイ君は、映画『ルーム』でその天才的な演技で観る者を魅了した子役と同じ子で納得しましたが、ある意味先行きが末恐ろしいですね(笑)
というわけで、おそらく平成最後の映画レビューとなったこちらの作品。
素直に「いい映画だった」と人に勧められる作品でした。
未見の方は、是非今後の『観たい映画候補リスト』に入れて欲しいなと思います。
派手さはありませんが、観て損はしないと思います。
また来年もいい映画をたくさん観られるといいなという願いも込めて。
それでは、またー!!
<スポンサーリンク>