『グレイテストショーマン』を観に行ったときの予告での美しい映像に心奪われてしまい、絶対観に行きたいと思ってしまっているうちにアカデミー賞の発表があり、『作品賞』、『監督賞』、『美術賞』、『作曲賞』の4部門を受賞。
他ノミネート多数で2018年度アカデミー賞を総なめにしたといってもいいこの作品。
『シェイプ・オブ・ウォーター』です。
(※画像は公式サイトにリンクしています)
なんだろう、うまく感想を伝えたいんだけど、うまく言えない。
たくさん言いたいことがあるようで、そんなに言いたいことがないような気もしてくる。
今までの人生でおそらく何百本という映画を観てきたのに、『すごく新しいものを観た』っていう感想が一番最初に来て、そして、『強く美しい作品』だったというのが次に来ました。
独特の世界観とか、ストーリーとか、主人公を取り巻く人間関係とか、時代背景とか、画面の美しさとか本当に色々あるんだけど、感動したとかそういう単純な感想ではなく、とにかく心を掴まれたと言ったほうがいいかもしれない。
この作品は、わたしの映画と共に歩いてきた人生の中の印象深い1本に確実に刻まれました。
この作品に限らず映画というものは、性別や、年齢、その人の趣味嗜好、今まで歩んできた人生や、その作品を観るタイミングで感想が様々に変わってしまうものだと思うけど、この作品は本当にそれが顕著に表れる作品だと思う。
わからない人は全くわからないと思うし、それはそれでいいとも思うし、監督も完全に映画を理解することを望んでない気がする。
ただ、こういう風に作りたかったから作ったって感じがしました。
わたしは、この作品の話は単純な『大人の女性が一人の愛する人と出会って愛を育んだラブストーリー』だと思いました。
わたしがレンタルショップの店員で、どこのジャンルにこの作品を置くかといえば『ラブロマンス』コーナーだと思う。
愛する人を守るために頑張った、一人の気の強い普通の女性の恋物語で、それ以上でも以下でもないのに、今現代で起こっている差別問題が各所にさりげなく織り込まれていたり、主人公を取り巻く熱い友情も描かれていたりする。
ただし、今現在の技術があるからこそ作りえた作品であることも伝わってきました。
恋の相手が人外生物なので、「SFっていうかファンタジーだと思った」って知人に言われたんですが、SFもファンタジー要素もなくはないんですが、それともちょっと違うと思います。リアル恋愛映画だとわたしは思いました。
登場人物も少なく、それぞれのキャラクターはわかりやすく一貫していて、悪役は悪役に徹している。ストーリーはシンプルでありながら、何がこんなに心に響いたのかわからない。でも、観たあと、だからこそのアカデミー賞なのかなと思いました。
みんな、『なんだかよくわからないけど、とにかく感動した』のではないだろうかと。
そんな感じで、賞を選ぶ人が、そんなつもりなかったけどって感じでアカデミー賞に選んでしまったのではないかと思いました。
わたしが審査員でも、引き寄せられるようにこの作品を選んでしまいそうな気がする(笑)
世界観が独特なので、そこまで人に勧める感じのタイプの作品ではないけれど、わたしはすごく観に行ってよかったと思っています。
R15ではあったけど、15歳はとっくに超えてるし問題はなかったけど、主人公イライザの女心とか成熟した女性としての性的欲望とかやっぱり子供には理解しがたい部分もあるのではないかなとは思いました。
でも15歳で観たら、15歳なりの感想を抱くものかもしれないですね。
あと、一つだけ言わせてもらうとすれば、変に性描写を意識するのは美術的な世界観を壊すのでやめてほしいとは思います。
多分、日本の映画事情的な問題ですよね。逆に幼稚に感じてテンション下がりました。
そしてこの映画は、基本どの作品もそうだと思うけど、特に『劇場で観る用』に作られていると思います。
字幕が黄色に見えたのはわたしだけですかね? 普段は白く見えるのですが。
画面の色に合わせてわざと黄色にしているのかなーと思っていました。
電気煌々とついている生活用品に溢れている家の中、テレビやPCで観ると雰囲気がたぶんかなり変わるし、『変な映画』ってなっちゃうかもしんないです。
見知らぬ人が集まって全員でスクリーンに向かう、真っ暗にした劇場内の独特の雰囲気だからこそ感じる素敵さや世界を想定されて作られている気がしました。
是非、興味の出た方は公開中に劇場に足を運んでほしいと思います。
※ここからはネタバレ込みでの感想になりますので、ネタバレしたくない人は画面を閉じてください。
↓ ↓ ↓ ↓ ネタバレします ↓ ↓ ↓ ↓(そして、言葉も砕けます(笑))
主人公のイライザは、特に派手な美人ではないですが、とても魅力的な女性でした。
恋に落ちてどんどん綺麗になっていく様は観ていて爽快で、職場に好きな人がいるっていいなーと羨ましかった。
クソみたいな職場でも好きな人がいれば、職場に行くのもつらい仕事も頑張れるよね(笑)
イライザは言葉を発しなかったけど、全然問題なく気の強いところもよかったし、ヌードがすごく美しかったです。
唯一の悪役の気持ち悪い職員の男性がイライザを自分のものにしようとした気持ちがわかる。色気がある。
あの女優さんをイライザ役に選んだ人(監督かな)天才すぎます。
あと、イライザの友人二名、同居人の画家のおじさん(ゲイだったんだよね)と、黒人の職場仲間のゼルダがすごくよくて、熱い友情にも最後まで感動しました。
キャスト、すごくよかった。
そして、半魚人(?)は予告で観てたけど、全体像を観るのは初めてで、やっぱり最初はすごく全体的に怖くて、美しいかどうかは置いておいて恐怖を感じる存在ではあったけど、だんだん美しく思えてきてそれも不思議でした。
イライザがすべてを懸けて彼を守ろうとする姿は美しかったし、ラストもすごくよかったです。どうなることかと思ったけど、納得の最後でした。
監督が、「美女と野獣の最後にもやもやしてた、だから最後変身しない作品を撮りたかった」って話はインタビューで言ってたのを見たことがあって、わたしは完全同意だったんで、がぜん観たくなったっていう理由もあったけど、
やっぱりこうじゃないとダメだよね!
って、思ったし、ラストシーンの美しさは圧巻でした。
とにかく、今振り返っても、じわじわ色々思い返されるし、あの映画の世界観への没入感は久々だった。
監督の趣味嗜好が存分に発揮されていた感じもまたこちらに心地よかったというか。
ラブストーリーはラブコメディぐらいしか普段は見ないのですが、久々にちゃんとしたラブストーリーを感動して観られました(笑)
イライザの恋が全うできて本当によかったです。
色々な愛溢れる素晴らしい映画でした。
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