わたしが、ファブ5来日の情報を得たのは、1月24日(2019年)のことでした。
ちょうど、あと1話で『クィア・アイ』の配信されているシーズン1~2のすべてを観終えるところ。
とっかかりのエピソードを間違えたので、わたしにしては珍しく順番をバラバラにエピソードを観ていたうえ、番組は大好きだったけど、ブログの記事にするかどうかはかなり迷っていました。
今の日本のこんな状態で、『クィア・アイ』を引き合いに出すのは非常にセンシティブな問題をはらんでいるうえ、わたしがブログに何気なく書いた一言で、見知らぬ誰かを傷つけてしまうんじゃないかという不安にも襲われていたからです。
『クィア・アイ』を観た気持ちを誰かに伝えたい、吐き出したいという気持ちはあったもののそういった意味で、ものすごく葛藤していました。
そんな時にわたしがたまたま見かけた【ファブ5来日】というびっくりするようなネット記事。
もしかしたら、【彼らに会えるかもしれない】という奇跡みたいなチャンスがわたしに『クィア・アイ』について書く勇気をくれました。
やっぱり彼らは、”世間的にはなんでもない人”の背中を押してくれる救世主だったようです。
なので、葛藤していた分の思いも乗せて、『クィアアイ』について思いのたけをぶちまけようと思います(笑)
※画像はNetflix『クィア・アイ』のページにリンクされています。
まずは、『クィア・アイ』を観たことない人に簡単に番組の内容を紹介させてください。
今回来日しているのは、Fab5の二代目なのですが、初代をわたしは観ていないので二代目ファブ5による『クィア・アイ』についての内容になります。
こちらの番組はNetflixオリジナルで配信されているリアリティ番組で、fabulous(ファビュラス)な5人、略してFab5(ファブファイブ)と呼ばれる衣、食、住、美、心それぞれの専門家が、そこまでどん底っていうわけではないけれど、いろんな意味で人生くすぶっている基本的には老若男性1名の(女性の回も一度あった)人生に、それぞれの専門知識を活かした変化や、Fab5との交流で自信を持たせ、転機を与える番組です。
日本でいえば、『劇的ビフォー・アフター』、『ビューティー・コロシアム』などが色々織り交ざったような番組でしょうか。
fabulousという単語は、”素晴らしい”の最上級のような言葉でと、日本語だと人に対して【レジェンド】とか【神】とか使うような意味合いです。
そして、クィア(queer)とは、元々は風変りとか、怪しいとかそういう意味の単語で、そこから派生して男性の同性愛者を指す差別用語として使われていたようですが、現在、セクシャル・マイノリティーの人たちの肯定的な言葉としてクィアは使用されています。
Fab5はいわゆるゲイ、LGBTQのGの人たち5名で構成されています。
まずは、上記写真の五名を一人ずつ左から順番に紹介。
インテリアの魔術師、リフォーム担当:ボビー・バーク。
一番大変な家の改造の仕事なのに依頼人と絡むことが少な目で、観始めた当初は影の薄い存在でした。しかし、シーズン通して全部観たら彼自身の生育環境がかなり複雑だったため今の地位を築くためにかなり苦労したらしく、彼の笑顔の裏に隠された闇の深さに泣かされたことがありました。パートナーはすごく優しそうなアジア系の人です。
Fab5のお父さん、心理面改造担当:カラモ・ブラウン。
依頼人のメンタル改造を担当するカラモは、依頼人の甘えを決して許しません(笑)
ただし、少しでも上向きの変化があるとものすごく褒めてくれる本当にお父さんのような存在。
感情がものすごく顔に出るのでこちらに気持ちが伝わってきやすく、感情移入してしまうこともしばしば。Fab5の中で唯一の黒人ゲイであるということで、今までの差別や今でも尚感じる差別の辛さが吐露されていたこともしばしばありました。
Fab5イチのイケメンな人見知り、料理担当:アントニ・ポウロスキ
俳優やモデルも担当するアントニは顔がとにかくいいです。
自堕落な生活をしている依頼人に、生活改善の一環として簡単な料理を教えてくれます、画になります。人見知りなのか、あまり表情が顔に出ないタイプなのですが、意外に情にもろいところもありびっくりしたこともありました。ちなみにパートナーはアントニにすごいよく似ているイケメンです。最初ツーショット写真を見た時、どっちかわからなかったけど最近は見分けがつくようになってきました(笑)
Fab5の末っ子、ヘアメイク担当:ジョナサン・ヴァンネス
常に髭を生やし、長身、顔はハンサム、いつもシンプルなTシャツとパンツスタイルが主なのに、何故か男性には見えない、本当にジェンダーフリーってこういうことなんだと教えてくれたジョナサン。テンションが高くたまに何かやらかしてしまってるっぽいところもあるけど、基本的にはFab5のムードメーカー。
日焼け止めと髭の手入れを怠っている人には鉄槌が下るけど、ジョナサンが作る髪型や髭はいつもその人の生き方や色を最大限に現すのですごいと思う。
依頼人が好みのときとそうでないときのテンションの差が面白すぎる(笑)
わたし的には『そこに行く!?』というような人を選ぶので、人の好みは千差万別で興味深い人でもあります。
海外ドラマ好きはほぼ90%は観ているといっても過言ではない『ゲーム・オブ・スローンズ』をゲイ目線で語る『ゲイ・オブ・スローンズ』にも出演。昔はAmazonプライムで観られたようですが、今は観られない・・。すごく残念。再配信を希望します。
スキニー推しのアジア人、ファッション担当:タン・フランス
個人的にルックスが一番好きなタン。小さい人が好みです(笑)
イギリスで生まれたパキスタン人という性質上、ヨーロッパ人によるアジア人差別も彼自身が語っていたこともあり、ゲイでありアジア人である彼がアパレル会社の経営者として独立し成功するまで相当の苦労もあったと思います。彼のファッション理念は、高い洋服である必要はなく、年相応、太っている痩せているに関わらず体にあったサイズの服を着ること、清潔で手入れされた洋服や靴を身に着けること、TPOをわきまえることと、常識的なことしか言っていませんが、依頼人が洋服、靴ひとつで劇的に変化する様を目の当たりにすると、洋服をおろそかにしてはいけないという気持ちになります。最初の頃は一歩引いた感じで、Fab5を仕事としてやっている感じが全面に出ていましたが、後半は馴染んできてチームのメンバーとも仲良くなって楽しそうにしている彼を観るのがとても好きでした。
もうすでにかなり長くなってきているので人物紹介はこのぐらいにして、まずは『クィア・アイ』の2シーズン全てのエピソードの中で好きだった回を何個か紹介します。
記憶に残ってない回はひとつもないので本当は全て紹介したいところなのですが、さすがにハードカバー並みの長文になりそうだし、読んでいる人に申し訳ないので、何個かに絞りました(笑)
ひとつめは、Fab5が子どもっぽい幼さが残るトランスジェンダーの男性を年相応に見えるように改造しに行く回です。この回の時、Netflixはさすが日本とはジェンダー感が全然違うな・・と思ったことがありました。
このエピソードのNetflixのエピソード紹介文で『トランスジェンダーの男性』って書いてあったんですね。普段、海外ドラマや洋画漬けの日々で海外かぶれしているわたしは、『体が女性に生まれてきてしまった男性』と思って観始めて、もちろんそれで合っていたのですが、日本では、逆に思う人がまだまだ多いのではないでしょうか。
彼が性別適合手術を受けた直後の手術シーンを、Fab5が全員で見る冒頭からスタートするこのエピソード。手術した本人は「麻酔のせいで覚えていない」と言っていましたが、手術直後の痛々しい傷あとだらけの平たい胸を見て満足そうに微笑む姿の彼にわたしもFab5と同じく涙を禁じえませんでした。
Fab5がゲイじゃないセクシャル・マイノリティーに接したエピソードはこのエピソードだけだったので、そういった意味でも貴重な回でもありましたし、わたしにとっても印象深い回でした。
ふたつ目は、キリスト教的にまだまだ根深い差別が残る小さな小さな街で、敬虔なクリスチャンでありつつ積極的に街で色々な宗教活動をしている黒人の女性をFab5が手掛けるエピソードです。彼女は街の人々を助ける活動のほか、家族の癌治療を助けたり、本人も癌になったりと苦労も絶えなかったばかりか、息子がゲイで宗教的観点から葛藤はあったものの、彼女自身は息子を心から愛し受け入れています。ですが、息子側が街での疎外感を感じ続け一旦は街から出ましたが、母の病気のこともあり街に戻ってはいたのですが、なんとなくくすぶった状態が続いていてその息子の劣等感も含め、変化させようとする回でした。
このエピソードが印象的だった理由は色々ありますが最大の特徴は、依頼人の女性を変化させようと向かったFab5のメンバーたちが、依頼人の手によって変化させられたことです。
神を心から信じるということは、他人をここまで愛せるものなのか・・と、無神論者であるわたしが、キリスト教に思わず改宗したくなるほどの強い思いで周りを愛で包み込む女性だったのです。Fab5のメンバーが依頼人の女性に自分の気持ちを吐露し、それに対して真っ向から向き合ってくれる彼女にわたしも涙しました。
それとこの回では、幼少期敬虔なクリスチャンの養父母に育てられたインテリア担当のボビーが、キリスト教への強い反発心を示したことも印象的でした。
ゲイとしてテレビに出て社会的にも成功している彼らが普段何事もないように明るくふるまっているなかにも、心の底に抱えている辛い記憶を引き起こしながら番組に取り組んでいるんだなと改めて思ったんです。
ひとの人生に真っ向から向き合うには、自分自身の内面と向き合ったうえ自分自身のこともさらけ出さないと無理で、人に喜ばれることを成し遂げるには努力や辛さも伴うということもこのエピソードで感じたことの一つです。
そして、最後にFab5のテンションがヤバかった街の消防署の署員を改造しに行く回です。マッチョの消防士にFab5のテンションがおかしくなり、特にいつもは依頼人をそういう目で見ることがないカラモまでイケメン消防士にべったりな姿を観られて、わたしも楽しかったし、Fab5がすごく楽しそうだったので、ある意味神回だったと思います(笑)
全エピソードで何度も出てきた【自分がゲイたちとこんなに親しく接するとは思ってなかった】という依頼人たちの言葉に、こんな番組を作り、日本よりジェンダー感が進んでいるアメリカでも、まだまだ根深いものがあるんだなと感じずにはいられませんでした。そして、Fab5来日の一報を初めて聞いたときはわたし自身色めきたちましたが、今現在すでに来日しているFab5のメンバーたちが、日本に長期滞在しているうちに日本に失望して帰るんじゃないか・・という恐怖が今は心をかなり占めています。
Fab5が日本に来るには30年ぐらい早かったんじゃないかなと・・。
彼らのカリスマ性やスター性、チームワークは番組を観ていればわかりますが、日本のどこの誰を改造しに行くのかが不安でならない・・。
今の日本ではテレビに出ているゲイといえばほとんどの人が女装をしているし、カミングアウトしている芸能人もほとんどいません。
ジェンダー論争がかなり進んでるとはいえ、政治家の失言も多く無知、無関心が引き起こす問題は後を絶たないし、芸能界ではMCとして人気が高い大御所と言われる芸人が普通に、トランスジェンダーである女性タレントに「おまえは、おっさんやろ!」とか言って、それをカットもせずに放送し、笑いの効果音を入れるような状態です。
ゲイをカミングアウトしつつ仕事でも成功し、それぞれのパートナーも世間に公表できる状態であり、夫婦として認められている人もいる彼らの目に今の日本の状態はどう映るのか。
失望されるのは現実問題しょうがないとしても、彼らを傷つけることだけは決してあってはならないので、現実を見せてはいけない。
Netflixさんそこは慎重に本当にお願いします!
ガッチリガードしてくださいね。お願いします、お願いします。
そして、『クィアアイ』についての言いたいことはとりあえずざっくりとは言いましたし、ここから蛇足の【重い自分語り】が始まりますので、おなか一杯な方はそっとブラウザの【閉じる】ボタンを押すことをおすすめします。
わたしは自分の家庭環境を語るだけで、別のブログを立ち上げられそうなほど割と劣悪な家庭環境で育ちました。
みんなそれぞれ言わないだけで色々あると思うしその内容についてはここでは触れませんが、明らかにわたしは幼少期から思春期にかけてのその後の人生を決める一番大事なときにFab5が訴える【自分に自信を持って生きる】という、かなり重要な部分に壊滅的なダメージを受け、それを修復できないまま今まで生きてきました。
この番組を、17歳ぐらい・・いや、25歳ぐらいまでに観られていれば、心境に何か変化があったかもしれませんし、もっと、色々なことにチャレンジできる勇気をもらえたかもしれません。Fab5は色々な年代の人にアプローチして、人生を方向転換させていましたし、何歳でも人生はやり直せる、意識改革もできるというメッセージも確かに感じましたし、受け取りました。
ただし、わたしの場合はちょっと根が深すぎて引っこ抜くところまでは到達しませんでした。
ただし、この番組に本当にすごい感謝はしています。
わたしがもし、Fab5に会う機会が万が一訪れるようなことがあったら、メンバーに直接伝えたい大事なことがあります。
英語はできませんが一生懸命、英語で手紙を書くつもりです。
最悪会えなくても手紙を渡してもらえるんだったら書きたいです。
関係者の方にこのブログが万が一触れるようなことがあったら、「ここに手紙を送ってくれれば渡すよ」って言ってもらえるだけでいいです。
未来ある若者にFab5を会わせてあげてください。
わたし、この記事を書き上げるのに、8時間ぐらいかかりました(笑)
言葉を選びつつ、書いては消し、書いては消しを繰り返していたからです。
結果、言いたいことを全部言いきったとは言えない記事になってしまいましたが、わたしが今、この場で『クィアアイ』や『ファブ5』に言えること、言いたいことはすべて書いたつもりです。
今回の日本滞在がFab5にとって、一生のうちにたまに思い出すぐらいの【いい思い出】になるように毎日祈っています。
そして、日本で撮影したスペシャル番組の配信、楽しみにしています。
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