たま欄

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【映画】『かもめ食堂』 水色、おにぎり、マリメッコ・・。人生は、コーヒーの苦みとシナモンロールの甘さ。

小林聡美&お洒落カフェといえば、パンのPa〇coのCM・・

ではなくて、かもめ食堂』。

と、いうわけで理由あってかもめ食堂を再見。

 

原作は、群ようこさんの『かもめ食堂です。

若かりし頃に、群ようこさんの文章に唐突にハマり、タイトル構わず片っ端から読み漁っていた時期もありました。懐かしい。

 

かもめ食堂 (幻冬舎文庫)

かもめ食堂 (幻冬舎文庫)

 

 

そして、荻上直子監督の映画のなかでは、代表作となっているかもめ食堂は、作品の持つ独特の世界観で、今もたくさんの日本女性をフィンランドに向かわせていることと思います。

 

わたしのブログの常連さんや、Twitterのフォロワーさんには意外かもしれませんが、荻上直子監督の作品はすごーく好きなんです。

別に普段ナチュラル系とかじゃ全然ないんですけど、えげつないやつばっかり観ているわけじゃありません。

ちなみに、小説も桐野夏生ばかりではなく、小川糸も読むんですよっ!!

両方いっちゃうタイプは珍しいかもしれませんが、そういう節操のなさが私の数少ない長所(?)なんで(笑)

 

彼女の作品は、かもめ食堂『めがね』『トイレット』『レンタネコ』等・・色々ありますが、一番好きなのは『めがね』で何度も観てます。

3枚組のDVDを所持しているぐらい好き。

どこが好きかというと、作品に流れている風が非常に好きなのです。

だからと言ってハンドルネームが【めがねたまご】なわけじゃないのですが、めがねに親近感はもちろんあります(笑)

『めがね』の魅力については、別の機会にじっくり語るとして そろそろ、話を『かもめ食堂』に戻しますね・・。

 


 

〜あらすじ~

 

舞台は、北欧フィンランドヘルシンキ

日本人の女性サチエは『かもめ食堂』という和食を出す小さなレストランをオープンさせていた。

しかし、日本人がやっている何屋か不明なお店にフィンランドの人々は警戒し、お客さんは全く来ず、暇な日々を過ごしていた。

ある日、日本かぶれのフィンランド人の青年が『かもめ食堂』に初めてのお客さんとして来店。

かもめ食堂の記念すべき1人目のお客さんに喜ぶサチエに彼は『ガッチャマンの歌』を教えてくれと頼むが、サチエは出だししかわからず、その後の歌詞が思い出せない。

サチエが本屋に出かけた際に、日本語の本を読む女性を見かけ、「ガッチャマンの歌を教えてくれないか」と頼んだことにより、その女性、ミドリと交流を持つことになる。

彼女がフィンランドに来た理由に興味を持った彼女を家に招き入れたサチエ。

ミドリは『かもめ食堂』を手伝うことをサチエに申し出て、サチエはそれを受け入れた。『かもめ食堂』に、また人が増えた瞬間だった。

その後、サチエはお店で思いつきでシナモンロールを焼くが、その匂いに釣られて『かもめ食堂』をいつも遠巻きに見ていた女性たちが店内に入ってくる。

それからは、コーヒーの美味しい入れ方を教えてくれる客が現れたり、店の外から店内を睨みつける女性が現れたり、色々なことが『かもめ食堂』に起こっていたが、ある日、お店に日本人女性が来店する。

フィンランドに到着する飛行機でロストバゲージをしたと話すマサコという女性は、不思議な雰囲気を纏った女性だった。

サチエ、ミドリ、マサコという日本人女性が、フィンランドで過ごす日常が『かもめ食堂』を中心にゆったりと過ぎていく。

 

かもめ食堂 [DVD]

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わたしは、今回このかもめ食堂すこぶる晴れた海辺で観ていました。

残暑が厳しいとはいえ、季節はもう9月。

秋の雰囲気をはらんだ潮風は心地よく、磯の香りも鼻をくすぐって、臨場感のある鑑賞で大満足でした。

映画で観るヘルシンキの街は、海の匂いがしそうだったので。

 

わたしは、映画が非常に好きですが、昔の映画は基本的には家の中か、劇場でしか観られなかったし、田舎育ちで劇場も大作しか来なかったので、基本的にはレンタル屋さんが大親友。家の中が最上の空間でしたが、今はどこにでも映画を持ち出せる時代。

海辺で観た『かもめ食堂』が最高だったので、例えば作品のロケ地でその作品を観たり・・ということもできるんだなぁと新しい扉が開きました。

まだまだ、映画の奥は深いですね。

 

かもめ食堂がたくさんの人の心を掴んだ理由は色々あると思うのですが、わたしがこの作品で一番好きなところは静かなところです。

無音ではもちろんないですが、作品内の日常音が、すごくいいと思っていて。

かもめ食堂の、板の床を歩く音、椅子を引くときの音、カップをテーブルに置いた時の音、調理する時の音なんかがすごく癒やされる。

 

セリフ回しもその世界観を壊さずとても落ち着いていて、キャスティングがバッチリ。

変に声が高くない、心地いい声と言うのは女優さんとしてとても重要です。

三人とも大好きですが、小林聡美さんの淡々とした感じもわたしが言うまでもなくもちろんすごくよくて、片桐はいりさんの口癖「知ってました?」から始まるムーミントリビアも好きです。

そして、もたいまさこさんのキャラが、この映画ではすごく好きなんです。

彼女が演じるマサコさんは、神様が自分にもたらした人生の試練をさらっと人に話せて、自分の中で消化もしている。

それはとても素敵な年の重ね方で、わたしにはああいう風に達観することはできないかもしれないけど、ものすごく憧れです。

彼女がが着こなす、マリメッコもとても素敵です。

とても似合っています。

 

【食堂】というぐらいだから、もちろん食べ物もどれもすごく美味しそうで、それぞれの香りが画面から漂ってきそう。

コーヒー、シナモンロール、とんかつ、生姜焼き、鮭の塩焼き、から揚げ、サラダに書けてあるドレッシング、そしておにぎり・・。

 

水色のサシ色が絶妙な店内で、おひつに入った炊き立てのアツアツでピカピカのご飯を素手で握るおにぎり。

既製品のような美しさではないけれど、梅、おかか、鮭の三種類のおにぎりはとても神々しくて、生きるうえでの”食べることの大切さ”みたいなものを押しつけがましくなく感じる。

そして、もれなくお腹が空く(笑)

観たあとは、美味しいご飯が食べたくなる。そしてそれが生きる活力になる。

 

この作品を観て「人生は一度しかない! わたしもやりたいことをやるんだっ!」って感じる人も勿論居て、わたしはそれも間違いじゃないと思うんですけど、わたし個人的にはは、なんだろう・・うまく表現できないけど、「過去を背負っていてもナチュラルに生きていける」みたいなメッセージを作品から感じてて。

かもめ食堂に集う人々は(大人同士の人間関係のマナーの見本みたいだなぁ・・)っていい意味で思っているんです。

 

みんなこういう風に人間関係を構築することができたら非常に楽なのに、これは映画でフィクションだから、そういう風にはできないところが難しいところなんですが。

マサコは、フィンランドに来た理由をサチエとミドリに話しますが、2人はさらっと話すマサコの辛い過去を、大げさすぎない形できちっと受け止めたうえで、そこから先は深く追及しない。

フィンランドで一人で食堂を開いたサチエも、フィンランドに一人旅に来たミドリも、それぞれに事情があるんだと思うんですけど、お互い事情なんか知ってても知らなくてもいいってスタンス。

話してくれれば聞くけど、こちらからは聞かないよっていう懐の深さの安心感。

マウンティングも、過剰な干渉もなく、つかず離れずの距離感を保っている三人を観ていると、こういう風に居られたらとても素敵なのに・・って思わずにいられないんですよね。

 

人生はコーヒーのように苦く、シナモンロールのように甘い。

コーヒーだけだと苦すぎるし、シナモンロールだけだと甘すぎる。

二つが合わさって丁度いい美味しさになる。

 

人間関係や人生に疲れた時の処方箋『かもめ食堂』。

初見の人は是非見てほしいし、観たことある人にも是非見てほしい作品です。

観た時の自分の状況で、毎回新しい発見のある作品だと思います。

かもめ食堂』を観ていた理由は、時期が来たら報告しますね。

 

というわけで、それではまた。

 

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