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【本】グロテスク(上) 桐野夏生 感想

グロテスク(上) 桐野夏生 感想です。

 

 

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

 

 

この作品について、感想を述べることは非常に難しい。

 間違いなく、わたしの読書人生に刻まれている一冊ではあるのだが、

面白いとか、感動するとか、泣けるとか、

感情を揺さぶられるという読書とはちょっと違う。

なんの感情も湧いて来ず、ただひたすらに文字を追ってしまう。

 

超有名作品である今作の上巻を読み終えたとき、

わたしが真っ先に思ったことは、

これを読んだ人はみんなどんな感想を抱いているのかということだった。

売れているということは読んだ人がたくさんいるということ。

 

この作品には人間が描かれている。

それも、社会を生きていくためには、

包み隠したい人間の闇がふんだんに描かれている。

みんなどんな気持ちで読んでいるのか知りたくなった。

 

 

 

 上巻はただひたすらに、仲の悪い姉妹による、

それぞれの半生の一人語りが交互に延々と続く。

悪口と言ってもいいが、

家族に対する感情、周囲の人々に対する感情、

姉妹に対する感情、自分に対する感情。

どのエピソードも本当なのか、創作なのか、わからない。

自分語りのため、客観性はなく主観しかない。

 

主観しかないので、頭が混乱してくる。

自分が今まで生きてきたうえでの抱えてた常識。

そういったものが、全否定されてるような気にもなるが、

特に腹も立たなく、無心で読み続けてしまう。

 

どの登場人物にも、共感も同情もしない。

主観で語られている本を、客観的に見ている。

頭の中に、映像がはっきり浮かんで、映画のように話が進行していく。

読んでいながら、観ているといった表現がしっくりくる。

 

実際の殺人事件をモチーフにした作品とのことなのだが、

この作品には一体どの程度、実際のモチーフが盛り込まれているのだろう。

上巻は、殺人事件の被害にあった女性の半生が描かれているが、

何度もいうがあくまで主観なので、どこまで本当かわからない。

 

どこまで計算し尽くされたストーリーなのかは不明だが、

とにかく混乱に混乱を極める作品であることは間違いない。

 

 

下巻の感想はこちら ↓ ↓

 

 

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