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【Netflix】『ハリウッド』”夢”を追いかけられる人の物語は、少し胸の痛みを伴う。

 Netflixの推してるリミテッドシリーズ『ハリウッド』完走しました。

 

www.netflix.com

 

全7話で終わっていて観やすいし、お金もかかっていてストーリーもしっかりしている。

第二次世界大戦後のハリウッドの映画界を描いた、”ハリウッド”という街での成功を夢見る、新人俳優や、新進気鋭の監督、脚本家、それを取り巻く人々を描いた物語でした。

 

わたしは往年の名作映画には全く詳しくないため、モデルになっている実在の登場人物や、作品はほとんど知らなかった。

風と共に去りぬだけは若いときに、何故かすごく好きになって、VHSも持っていて、影響されて原作も読んでいるぐらいの作品なので、ヴィヴィアン・リーのことは知っていたけど、そのぐらいかなー。

映画の歴史に詳しい人が見ていたら、知っていたら知っていたで色々言いたいことは出てきていたかもしれないので、ノンフィクションの部分がどこかわからなかったぐらいでちょうどよかったのかもしれないとは思いました。

 

Netflixオリジナル作品なので、白人至上主義に基づいた肌の色や人種での差別、女であることの弊害、同性愛者への迫害と、それらに対抗する人々がこれでもかと描かれていたし、最後は多少強引には感じましたが、感極まって泣けるシーンもあったりと、全7話を通して1作品としてみれば、エンターテイメントとして面白くはあった。

面白くはあったのですが、個人的には多少もやもやしていた部分もあったのは事実です。

 

観る人のおかれている現状や、今までの人生、年齢、思考、登場人物の誰に感情移入するかでだいぶ見方が変わる作品ではあったと思います。

 

下記、若干ネタバレありの感想になります。

 

 

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物語の前半は、白人至上主義がまかり通っているハリウッドで、アジア系の血を引く監督志望の若者(見た目が白人)が、大量に映画スタジオに送り付けた脚本の中から、光る脚本を発見し、その脚本は黒人の若者が描いた脚本で・・という内容です。

映画監督志望の恋人は黒人の新人女優、才能はあるのに黒人なため使用人の役しか回ってこない。

そこに白人の俳優志望の若者やらが関わっていくのですが、お金がないので枕営業なんかを続けながらコネを掴み、チャンスをつかんでいくというサクセスストーリーにありがちな内容といえば内容で、3話あたりで、俳優を売り込むのにはなんでもする俳優エージェント業のヘンリーという男性が登場するんですが、同性愛者だとバレるとひどい迫害をうけるので、そのことは隠しながら仕事をしている。

 

このヘンリーを演じているのは『ビッグ・バン・セオリー』でシェルドンを演じている、ジム・パーソンズです。

正直、シェルドン以外のジム・パーソンズの演技をちゃんと観たのは初めてかもしれないです。

最初に、ちょっともやっとしたのは、このヘンリーの役を、ジム・パーソンズが演じていたことです。

演技がどうのとかそういうのに、文句はないんです。

 

ただ、この作品自体が、”黒人脚本家”じゃなくてただの”脚本家、という、日本でもまかり通っている、美人すぎるなんとかとか、女芸人とか、イケメン職人とか、そういう、くくりを取っ払いたいという序盤の話だったのに、ゲイの役をカミングアウトしているゲイの俳優が演じている・・のはいいの? って思ってしまった。

 

確かに、ゲイの役はゲイの人のほうが実体験に基づいたリアルな演技ができるかもしれないし、実際問題、特に本当に文句はなかったんですよ。

嫌なやつの役だったけど、切なさも持っていたし、多分すごくいいキャラクターだったんです。

 

でも、前にですね、スカーレット・ヨハンソントランスジェンダーの役をやろうとしたときに、LGBTQ団体に猛抗議されて、降板したことがありました。

で、その代役も未だに決まってないんですけど、その理由が。

トランスジェンダーの役はトランスジェンダーの俳優がやるべきだと。

 

これ、変な理屈じゃないですか?

俳優さんって演技が仕事ですよね。

 

今までだってリリーのすべてみたいな作品もあったのに、何故スカヨハだけ抗議されたんだ・・とは思ったのですが、実際問題、トランスジェンダーの俳優さんたちは、トランスジェンダーの役しかオーディションを受けられない実態があるなかでの抗議だったようですし、カミングアウトしている俳優さんたちは、そういう役どころの役が多いそうなんです。

そして、今回の作品のテーマが、そういう人種や肩書や性的思考などの変な装飾を取っ払ったうえで、フラットな人間関係や仕事環境を築いていき、才能あるべきものに平等にチャンスを与えるべきだ、という内容の作品だと思っていたのに、ジム・パーソンズが出てきたのでびっくりしたというか。

ジム・パーソンズがゲイをカミングアウトしていると知らなければ、フラットに観られたかもしれないのに、知っていたからこその弊害ではあったと思うんです。

だから、俳優業をやる人たちのカミングアウトは慎重なんだとこの時痛いほど痛感してしまうことになってしまったのですが、うまく言えないんですけど、この作品に関して言えばそういうのを意識させないような、キャスティングが希望だったなぁと個人的には思ってしまったんです。

実際、アーチー役の俳優さんもゲイをカミングアウトしている俳優さんでゲイの役を演じていて、ディック役の人もそうだった・・。

ちなみに、この2人も演技はすごく上手かったけど、そこはいいのかっ!となんかもやもやします。

 

フラットさをテーマに、勝利を勝ち取った人々の物語だと思ったからこその、本当に個人的な感想です。すみません。

 

 

あと、もう一つはここ最近、”人生がこれからの若い人”と、”夢半ばでくすぶっている中高年”という作品を観続けてしまったせいかのかもしれないけど、夢を追う若い人の生命力や、突き進んでいく図々しさが眩しくてねー・・。

 

恋は雨上がりのように『ハーフ・オブ・イット』も、そういう内容の映画だったので。

 

www.meganetamago.com

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第6話まで観て、給油所の主のアーニーが、若い人の夢を人生をかけて応援するシーンがあって、感極まって泣いてしまったんですよね。

 

その時に、あー、わたしのもやもやはこれもあったのかと気づいてしまった。

 

わたしは、もちろん”くすぶっている中高年”側の人間なので、人生これからの夢を追える環境にいる若い人に嫉妬も、もちろんあって。

”人生、夢を追うのに、年齢は関係ない”わけない。関係は充分ある。

 

年をとればとるほど、身の程をわきまえてしまうし、周りと比べて才能がないことだってわかるようになっていくから、くすぶっている人生もそう悪くないなと思えている自分にとって、才能が多少なくても努力と運で突き進めて、なんとか強引に扉をこじ開けられる時期というのは人生で決まっているのを、嫌というほどわかっているのに改めて突き付けられた感じ。

 

でも、そういうのを見せつけられるのは嫌いじゃないんです。

未来を感じるし、応援したい気持ちもありますが、ちょっとだけ人生やり直したい気持ちも湧き上がるし、ちょっと胸が痛みます。

 

あと、今まで海外ドラマを観ていて『演技が下手』って思ったことはほとんどなかったんですが、新人俳優が演技をするシーンが多かったのと、無名の俳優さんが何人か居たからなのかベテランさんと新人さんの演技の差に幅が非常に感じられました。

”下手な演技の芝居”はわたしにもわかるほど、下手で、これはないな・・と思うほどだったのですが、普通の演技の最中にも、若手とベテランでこれだけ演技に差が出るものかーと思ってました。

 

若手では、脚本家のアーチーは、非常にみずみずしく演技も上手で全力応援していました。

他の若手では、エーススタジオの娘のクレアはよかったですが、黒人新人女優の主演としてオスカーを勝ち取る非常に重要な役であったスパイダーマン:ホームカミングでヒロインを演じたカミール役のローラ・ハリアーが個人的にはちょっと魅力に欠けたのが残念。

(メグの主役はクレアの方がいいのでは・・)と思って観ていてしまったぐらいで、なんだろう、力強さがもうちょっと欲しかったと思って観ていました。

演技もそんなには上手いと思えなかった・・、残念。

 

ベテラン勢の、エイヴィス、アーニー、ディック、キンケイド役の人たちの演技は素晴らしかったです。

非常に見応えがありました。

 

実在のモデルや出来事がおそらく多数あったなかで、差別問題なども取り入れて、どの人物をどこまで作りこむのか、どのエピソードを入れて作るのか、難しい面はあったと思いますが、最後はみんなそれなりに幸せな最後を迎え大団円だったことが、タイトル通り『ハリウッドらしい結末』だったと思います。

 

ちなみに、若手全員でハリウッドサインによじ登るオープニングは非常に好きで、毎回欠かさずきちんと見ていたんですが、あれ、年齢的に無理な人も居たかもしれないけど、ベテラン勢バージョンも欲をいうと観たかったな~。

『ハリウッド』の街に人生をささげた人たちの背中を見せて欲しかったと思いました。

 

というわけで、非常に興味深い作品でした、面白かったです。

 

今は並行して、Amazonオリジナルの『アップロード』という作品を観ているので、そちらも完走したらレビューしにきます。

 

それでは、また。

 

 

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※ハリウッドはハリウッドでも、これはコシショウのほう。