本当は『スーサイド・スクワッド』を観る予定だったのですが、2時間を超える作品を観る時間の余裕はなかったので、少しだけ短い『グランド・ブダペスト・ホテル』(100分)をチョイスしました。
わたし、たぶんこの作品を観るの二度目なんですよね。
既視感はものすごくあるんだけど、全然覚えてなくてピンクの菓子箱などに見覚えは確実にあったような気がするのですが、初見のように楽しめたのでレビューです。
こちらの作品は、第87回アカデミー賞(2015年)で『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が作品賞を獲った回に、9部門にノミネートされたウェス・アンダーソン監督作品です。
アンダーソン監督作品の中では、日本では『犬ヶ島』が割と有名かもしれません。
ゴールデン・グローブ賞などいろいろな賞を獲っているのですが、きりがないのでオスカーのことだけに言及。
ノミネートは、①作品賞、②監督賞、③脚本賞、④撮影賞、⑤編集賞、⑥美術賞、⑦衣装デザイン賞、⑧メイキャップ&ヘアスタイリング賞、⑨作曲賞の全9部門、この中からの受賞は、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞の4部門となります。
”魅せ方”が評価された結果に納得の作品でした。
あらすじを挟んで、一応ミステリーなのでネタバレはせずに映画の感想をつらつらと書いていきたいと思います。
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~あらすじ~
訪れた人が銅像を装飾するために周りに掛けていった鍵と同様のものを銅像に掛ける。
満足した女性は、その銅像のモデルとなった人物が書いた『グランド・ブダペスト・ホテル』を開く。
作家は持論を語る。
「作家とは無から物語を生み出すのではなく、作家とひとたび知られれば自然と物語は集まってくるものだ」と。
時は遡り、作家は寂れた古いホテル『グランド・ブタペスト・ホテル』に居た。
そこで知り合った老人が作家に語った物語が『グランド・ブダペスト・ホテル』だった。
ーーーグスタヴは当時隆盛を誇っていた絢爛なホテル『グランド・ブタペスト・ホテル』のコンシェルジュとして忙しく働いていた。
彼の人柄とサービスに、各地から名だたる資産家などが足繁く通うホテルだ。
戦争で国を捨てざるを得なかったゼロがホテルのベル・ボーイとして働き始めたころだった。
ある時、ホテルの常連客である【マダムD】が不吉な言葉を残してホテルを去る。
その後、マダムDの訃報を知ったグスタヴは、ベル・ボーイのゼロを伴って【マダムD】の元を訪れるが、彼女の遺言が発表されたことにより事件に巻き込まれるグスタヴとゼロの物語ーー
正直、冒頭から中盤ぐらいまでは話についていけていませんでした(おそらく二度目なのに)。
時代がどんどん遡って、登場人物に詳しい説明もなく、セリフ量が多いうえ、話がどんどん展開していくんです。
(これはついていけないかも・・中断しようかな・・)と何度か思っていたんですが画面のアート感に目が離せないでいるうちに、ある時を境に急に話がストンと入ってきました。
何しろ、美術賞と衣装デザイン賞を獲得するだけあって、ものすごくお洒落で映像が綺麗なんです。
ヨーロッパの景色、建物、ホテルの内装、部屋、ホテルマンの制服、車、お菓子、小物にいたるまでとにかく全てが可愛くて美しい。
計算されつくした映像美は、舞台がホテルだったこともあり個人的には『シャイニング』を思い出していました。
汚れ一つない贅を尽くしたカーペットの赤いじゅうたんに合わせた、綺麗な紫のホテルの制服。
美に加えてエスプリの効いた笑いがちょこちょこ差し込まれる。
あんまりきちんと見たことがないので偉そうなことは言えませんが、イメージ的にはチャップリンの笑いってこんな感じかなと思っていました。
わたしは、最後あたりの電話を繋ぐシーンがすごく好きでした。
ストーリーも後半に向けてどんどん盛り上がっていき、グスタヴの人柄の良さを感じ、ゼロの頑張りを応援したくなってきてクライマックスは、かなりテンション上がっていましたし、グスタヴ役がイギリス俳優さんなんで、イギリスっぽさもありつつアメリカとドイツの合作ということでハリウッド感とヨーロッパ映画感も併せ持つ不思議な世界観でした。
そして、この作品、キャストが豪華なんですよー!
グスタヴを演じたのは、レイフ・ファインズ。
代表作は『イングリッシュ・ペイシェント』の主演『ハリー・ポッター』のヴォルデモート役、『007』などです。
2020年は残念ながら公開が延期になってしまった『ドクター・ドリトル』、そして『007』、『キングスマン』などの新作の公開が控えています。
そのことで『グランド・ブダペスト・ホテル』もまた脚光を浴びるかもしれません。
そしてここからはわたしはマーベル作品好きなんで、マーベル系の作品に出演した俳優さんたちをご紹介させていただきます。
グスタヴの相棒のベル・ボーイのゼロ役は、トニー・レヴォロリ。
この人誰だっけ・・と思いながら観ていたのですが印象が違いすぎてとうとう思い出せなかったです。
『スパイダーマン:ホームカミング』と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でスパイダーマンであるピーター・パーカーに何かと絡んでくる同級生、フラッシュを演じた子でした。
ホームカミングは、たぶん余裕で五回は観ているのに思い出せなかった(笑)
フラッシュのときはあまり感じなかったけど、綺麗な目にみずみずしい演技で先が楽しみな俳優さんだと思いました。
作家役では『キャプテン・マーベル』そのほかで大活躍、2019年のコミコンで色気を大放出させていた、ジュード・ロウ。
彼はロバート・ダウニー・Jrの『シャーロック』のワトソン役がすごく好き(笑)
さらにはマダムDとして、老けメイクを施した『ドクター・ストレンジ』の麗しき師匠、ティルダ・スウィントン。
その他にも、MCU前の『スパイダーマン』シリーズでグリーン・ゴブリンでお馴染み、ウィレム・デフォー。
『マイティー・ソー バトルロイヤル』のグランドマスター、ジェフ・ゴールドブラム。
『インクレディブル・ハルク』で初代ブルース・バナー(ハルク)を演じたエドワード・ノートンも出演。
そのほかにも『戦場のピアニスト』で主演男優賞を受賞している、エイドリアン・ブロディや、『ワンダー君は太陽』の優しくてメンタルの安定しているジュリア・ロバーツの夫役を好演したオーウェン・ウィルソンや『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でジョーを演じ、2020年のアカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンはほんとうに可愛かったし、まだまだ書ききれない、そうそうたる顔ぶれ。
映画が好きな人なら必ず一人は引っ掛かる人が居そうです。
前半の段階で自分には合わないかなとちょっと思っても、1時間半ちょっとの短めな作品なんで是非諦めずにラストまで観ていただけると、魅力がわかって頂ける作品かと思います。
ちなみに、関係ない余談ですがこの年の作品賞候補は『バードマン』、『グランド・ブダペスト・ホテル』のほかに、ベネディクト・カンバーバッチさんの『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』がノミネートされていたのですが、バードマンも好きだけど、個人的には『イミテーション・ゲーム』がすごい好きで、今回の『グランド・ブダペスト・ホテル』もすごい好きになっちゃったので、アカデミー賞予想って本当に難しいと思いました(笑)
というわけで、それではまた。
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