ベター・コール・ソウル シーズン5 第10話(最終話) 『よほどの悪事』
今回のオープニングで割れてたやつってこれっぽいカップかな?
全10話のオープニングで、サラマンカに取り込まれていくジミー及びソウルを抽象的に描いていましたが、最終話は割れたカップでした。
※こちらのブログは新型コロナウイルス緊急事態宣言真っただ中の2020年GWにしたためられています。
ところで、最終話の視聴も伸ばし伸ばしにしていたころ、ものすごく嬉しいお手紙(メール)を頂きまして。
(
今回こちらの最終話のを記事を更新するにあたり、せっかくなのでそちらのお話を少しさせてください。
『外出自粛中にベター・コール・ソウルを一気見したのですが、こちらのブログに伴走して頂いた。ドラマの面白さをブログが補完してくれました』
という内容で、ベター・コール・ソウルのブログにお褒めの言葉を頂くことができました。
海外ドラマレビュアーとして、好きなドラマを推した記事を書き、それにさらに感想を頂けるなんてことは、これ以上ない喜びです。
ですが、そういった喜びのほかに今回はちょっと違う感情も加わりました。
わたし、生活インフラ系の物流の仕事してるので在宅ワークとか無理なんですね。
普通に出勤して、上司もク●で、命とか感染とか以前に人間の本質的な闇の面で精神がゴリゴリにやられていて今の仕事が誰かの役に立ってないっていうわけではもちろんないんですけど、別にわたしがやる必要性も全然感じられないし「どうせこんなに精神力削られるんだったら、もっと自分のモチベーションが上がるような人の役に立つ仕事だったらよかった」って、マジ泣きしてたんですよ。
買占め、転売、スーパーやドラスト店員への恫喝とか、意味わかんない嫌な話ばかり耳に入るし。
それで、Twitterに愚痴ばかり投下して、フォロワーさんに温かい言葉をかけてもらったりしてなんとかやっていました。
あ、あと、追い詰められすぎてサラマンカのなんかよくわからない地下でお金数える仕事を羨ましいなって思ってた。
誰とも余計な話をしなくていいし、真剣にお金数えなきゃいけないから電話応対ないし、口が堅くてお金盗まなければたぶんそこそこの収入もらえるよね、換気は悪いけど、どうせ密るならあれのほうが・・っていう。
全然比べ物にならない話だとは思うのですが、メサ・ヴェルデの仕事に嫌気がさしていたキムってたぶん、もう一生ケヴィンの顔すら見たくない感じになっていたんじゃないかなって思うんです。
人間の好き嫌いがあるうちはまだマシで、嫌いって思っているうちはまだ多分仕事に行ける。
もうそういうのを超越して、メサ・ヴェルデの仕事があるっていう時は、ポニーテールの先をきっちり巻いて、気持ちを入れないと無理だったんではないかなと、今回のエピソードを観ていて思いました。
あれは張り切ってああしていたのではないのではないかなって。
嫌なことに臨むときに敢えて身なりをきっちり整えることがある人って割といるんじゃないかなと思うんです。
人によって、ネイルだったり、洋服だったり、アクセサリーだったり、メイクだったり、それこそ髪型だったり。
コテで毛先を巻きながら、鏡の自分を見て、気持ちを無にする大事な時間。
勝負の仕事だからテンションが上がってきっちり巻いているポニーテールの先ではなくて、キムにとっての鎧がポニーテールの先だったのかもしれない。
全く同じではないとはもちろん思いますが、今のわたしとキムとで気持ち的に共通している部分もある気がしていて。
それで、メサ・ヴェルデ(お金と、キラキラ弁護士としてのあるべき姿)を振り切るために『人から必要とされたい』気持ちが爆発しすぎたのと、アンダーグラウンドに身を落とすジミーのこと、そしてその道をジミーとともに共有してみたいと思う好奇心が出てきてしまっている自分を抑えられないことが今回の色々な行動だったのかなって思うんです。
わたしもお金数える仕事を羨ましいと思ってたぐらいだから、闇の引力ってきっとすごいんですよね。
もう、大金持ちになりたいとかそういうことではなくて、仕事や人生って、理性とか理屈とかそういうものだけで図れないんです、たぶん。
政治なんかもそんな気がする。
お金なんか使い切れないほどあっても、抑えられない欲望みたいなもの、ブレイキング・バッドしかり、ベター・コール・ソウルも、そういう人間の”正しくない”部分を描いている作品だと思います。
正しくない行動や欲望が悪かというとそうでもなかったり、そういう行動をとる人が悪人ってわけでもなかったり。
そういったわけで、前置きが長くなってしまいましたが、話を戻します。
まさか、自分が好きでコツコツ書いていたブログが外出を自粛して、感染を拡げないようにご自宅にいらっしゃる方の役に立っていたとは驚きでした。
わたしも、このコロナ渦中に誰かの役に立てていたことに、嬉しいというよりなんだかすごくホッとしたんです。
人間、どんな行動が誰の役に立っているかわからないし、今回こうしてわたしに声を届けて頂いた方の行動がわたしの苦しさを救うこともある。
助けて頂いてありがとうございました。
みなさん今はそれぞれ、色々苦しいときだとは思いますが、くれごれもご自分を大切になさってください。
と、話がそれてしまいましたが、今からやっと『ベター・コール・ソウル』シーズン5の最後のレビューです。
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『ベター・コール・ソウル』Season5 ep10 "Something Unforgivable"
キムはラロを論破し、一旦は退散させることに成功したが不安は消えなかった。
キムとジミーは、高級ホテルに部屋を取り身を隠すことにする。
ホテルに身を隠した二人だったが、翌日からジミーの安全が確保されるまで身を隠したほうがいいという説得を振り切り無料弁護の仕事を始めようとする。
知り合いの弁護士に、なるべく重罪の案件の無料弁護の仕事をやりたいと訴えるキム。
案件を選んだ直後、裁判所でハワードに会い、ジミーがハワードにした”仕打ち”を打ち明けられる。
マイクはガスに、ラロはメキシコに帰ったと報告し、改めて今回のナチョの功績を訴え彼を解放するよう説得する。
ガスは、ラロとの戦いにナチョはまだ必要な人物なのでナチョの解放を拒む。
キムに去られホテルに一人になったジミーはマイクに電話をかけるが、何故マイクがラロを見張っているのか事情を話してはもらえない。
不安でいてもたってもいられなくなったジミーは、マイクの家に押し掛ける。
マイクは、ラロも自分たちも、ジミーのことは眼中にないので心配はないと追い返す。
一方、ラロはメキシコの自宅につき、家族をナチョに紹介する。
その後、”ドン”にもナチョを紹介し、サラマンカでない彼を認めさせることに成功する。
ハワードに会い、ジミーのことを言われて憤慨したキムは、サンドパイパーの案件でハワードを陥れることをジミーに提案する。
ジミーは躊躇するが、キムは引く気がない。
そして、午前三時、ラロとガスの戦いの火ぶたが切って落とされる。
※第9話のおさらいはこちら
終わってしまいましたね・・。
『ベター・コール・ソウル』シーズン5。
本当に捨て回のない、神シーズンだった。
海外ドラマを観る気力を失っていたわたしでも、観ないわけにはいかなほどに素晴らしいシーズンだった。
今までの『ベター・コール・ソウル』のシーズンの中で一番面白かったし、シーズン5に関しては、『ブレイキング・バッド』より好きな感じでした。
次のファイナルシーズンに繋がる最終エピソードの肝としては、
・キムの完全なる闇落ちとジミーとの関係
・ラロ襲撃の失敗による、ガス様とのガチ対決
・ナチョの運命
この三点だと思うのです。
キムが、ジミーと付き合っていた理由がこの最終エピソードでようやっとわかったような気がする。
早く別れた方がいいと今でも思ってるけど、キムのほうがジミーを必要としてたんだよな、いつだって。
キムは、安定しない根無し草の幼少期の辛かった境遇から、努力して勉強して、コネを掴めば一生食べていけるキャリアとして弁護士を選んだ。
最初は安定したキラキラした生活を夢みていたけど、ジミーと出会ってしまった。
本当は、セレブと付き合うのも簡単だったし、あの美貌で引く手あまただったと思う。
でも、そういう人は無理だった。
兄に虐げられながらも努力して弁護士の資格を掴んだジミー。
ずるいところはあるけれど、根は悪い人ではない。
そして、影の部分を知っている人。
自分の所属している大手事務所(HHM)のボスであるハワードは、お金持ちの家に生まれて、お金持ちを相手にした仕事をしている。
弁護士でありながら、ビジネスマン。
お金さえあれば黒も白に変えられる世界で生きる人。
HHMから移動した先でも結局は同じで。
法を知る環境に生きていなく、法を知る者の助けもお金がなくて借りられない人々の存在を自分は知っていて、しかもそういう人たちを助けられる力を持っているとしたら。
お金か、思いか・・。
生活のためにプロボノをやりたくて、メサ・ヴェルデをやり続けたけど、貴族が札束で平民を殴るやり方と、ジミーの運び屋の一件で生死を身近に感じてしまったキムのタガが完全に外れてしまいました・・。
さらにハワードがジミーを怒らせて嫌がらせされてるレベルで思いとどまっておけばよかったのに、今絶好調に盛り上がってるキムに火をつけてしまった。
バカものめ!
何故、いつも一言余計なんだ、空気を読むんだ。
しかし、そういうところ嫌いじゃないぞ(笑)
そして「ジミーを本当にわかっているのはチャックだけだ」というセリフ、なんかしみじみ怖かった。
多分、ギリガン氏が視聴者に突き付けた言葉だったんだろう。
キムはジミーを愛しているから、もちろんチャックのことは怒っているし憤慨して、ハワードを陥れようとしているほうに気持ちがシフトしまったのはまずい。
ジミーの粗相でキムがジミーを嫌になり二人の関係が壊れるのかと思っていたけど、実はそうじゃないのかもしれない。
人は変われないところもあるし、変わってしまうこともある。
キムがヤバいと個人的に思うのは、目的がジミーに入って来るお金っぽくしているけど、実際はハワードを陥れたいと思っていることだと思うんだよね。
メサ・ヴェルデのときは、ジミーに騙されたことを怒っていたキムだったのに・・。
そうだと思っていたけど、ジミーがメサ・ヴェルデを陥れていたことじゃなくて”自分を騙していたこと”に憤慨していたもんな。
その後の結婚に関しても、自分にウソをつかないこと、隠し事をしないことに異様なこだわりを見せてるし。
ジミーは、優しいけど人に流されるタイプで、キムのいうことには逆らわないと思うから、ハワードの件はやると思うんだよ、絶対。
でも、ジミーはともかく、キムは『人を陥れる』ことに慣れていない。
キムはきっと直前になって迷う、罪悪感が出てくる。
多分そこがウィークポイントになると思う。
ファイナルシーズン、怖い、すごく怖いよ、不安でいっぱいです。
さらに、ファイナルシーズンが怖いといえば、ラロとナチョの件です。
まず、不気味に感じたのはラロの家に、血縁らしき人が住んでいなかったことなんですよね。
『自分の家族だ』ってナチョに紹介していたけど、遠縁の親せきとかはいたかもしれないけど、ほぼ使用人(?)だった。
ラロ、メキシコ系なのにあんな大きな家に自分と使用人だけで暮らしていたの?
メキシコといえばサラマンカしかりでファミリーを大事にするお国柄なのに。
そういえば、ラロのパートナーや家族らしき人は今まで見かけた記憶がない(記憶がないだけだったらすみません)。
そして、ラロの姿にガスの姿も見た。
2人とも、寝ても安眠できないので眠らず、ちょっとした物音で起きたりして、そういう緊張感からあのような夜を過ごすことになってしまっているのかな。
きっとガス様もひとり暗い部屋で、姿勢正しく座ってじっとしている夜を過ごしている。
ラロの家もそうだし、ガス様も自分の用心棒として、”自分を信頼している人”をそばにおいている。
自分が心から信頼している人はだれ一人居ない世の中って絶望的すぎる。
自分自身ですら、信用していないのかも。
風呂場の下に、襲撃から逃れる用の道を作っておかねばならない人生しんどいな。
そこまでして生きていかねばならないのかって気になってくるけど、そこまでして生きるのがラロだった!
マイクもかなりのスナイパーだったけど、ラロの戦闘能力と知力はすごかったっす。
さすがとしかいいようがない。
今回、ガス様はラロの夜襲に失敗した。
身バレを防ぐためにプロを使ったけど、ナチョのことがラロに感づかれてしまった・・。
マイク、ナチョを助けるかな。
ところで、全然関係ない、緊張感のない話をします。
南京錠って、ああいう風にすると開くんだね。
わたしが調べたところ、基本的にはクリップや針金、細長い金属状のものを鍵穴に突っ込んで嚙み合わせる。
ハンマーで本体を引っ張りながら上面ををたたく(鍵が破壊されることもある)と上部が外れる、そもそも壊す、など割と力技だったけど、ナチョがやったのは早く音を立てずに開ける上級者テクなんだなとは思いましたが、風呂の浴槽の下に抜け道を作っているようなおうちのカギにいくら裏口とはいえ南京錠はどうなんだろう・・っていうセキュリティー上の疑問は残りましたが(笑)
というわけで、ファイナルシーズンに向けて問題が山積しています。
前段に登場した三点と、そして、これが一番気になっているかもしれない
シナボンの結末 です。
今のジミーは今後、完全にソウルになってブレイキング・バッドに続いていくから、ガス様とマイクの結末はわたしたちは知っていて、それを踏まえて観ているわけだけど、シナボンの結末は知らないわけです。
まさか、曖昧なままにはしないと思うので、最終話1話まるまる白黒シナボンでもいいから、どういう結末を迎えるのかは絶対観たいです。
それを観るまでは、死ねない・・。
っていうのが、健康云々の年齢的にも、ご時世的にも、経済的にも、いつもよりシリアス度の高い発言になってしまっているわけですが、ドラマスタッフさんやキャストさんはもちろん、ドラマを観てここまでブログを読んでくださった皆様の健康を、本当に心よりお祈りしています。
わたしも無事にブログを続けることができた暁には『ベター・コール・ソウル』シーズンファイナルの感想ブログを書かせてもらいたいと思います。
シーズン5お付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。
ファイナルシーズンでまたお会いしましょう。
それでは、また。
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※これからの季節にピッタリ、わたしも欲しい。
※こんなのもあります。