2020年2月10日、アカデミー賞の授賞式がアメリカで行われました。
わたしの予想記事は、6部門中4部門の予想が当たりましたが、中途半端になってしまいましたね(笑)
作品賞はまさかの『パラサイト』。
今まで長年、沢山の洋画や洋ドラを観てきて、残念ながら作品にちょくちょく出てくるアジア人差別であるであろうアジア人の扱い(意味なくすぐ死ぬとか、いい役をもらえない)を観てきたものとして、まさかオスカーがアジア作品を、大賞に選ぶとは思っていなかったため、なんだろう、うまく言えないけど”差別される側”としての偏見が、こちらにもあったなと素直に反省せざるを得ない結果になってしまい、自己嫌悪も含めてもやもやしていました。
わたし自身、難しいことではあるけれどもっとフラットでありたいと思いました。
そして、やっぱりさー、作品賞と、監督賞は被るよねー!(笑)
思いきれなかったなー、残念だなー。
今回のアカデミー賞の『パラサイト』の席巻をを受けて、「アジア人として誇らしい」という感想も、もっともだと思うのですがわたしはちょっと違う意味で嬉しかったです。
これで『映画界に差別を取っ払う新しい扉が開いた!』という希望です。
『アラジン』で素敵なアラジンを演じたメナ・マスードも、カナダ育ちで英語に問題があるわけではないのに両親がエジプト人ということで、人種の壁にぶつかっていたりと、ハリウッドで活躍するには差別問題が根深い問題であったりしました。
しかし、英語が苦手な日本人だって、もはや英語でしゃべる必要はなくなったんだなっていう感動ですよね。
もちろん、演技が世界レベルである必要はありますが、どこの国で作った映画だったとしても、評価されるべきものは評価されるっていう素地が出来上がったことで、各国の映画製作者や役者さんたちのモチベーションが上がったと思うんです。
今回のアカデミー賞で色々な記事が出回っていますが、わたしは、宮藤官九郎さんが好きなので下記の記事を読ませていただきました。内容はさらっとしていますが、非常にわかりやすかったのでお勧めします。
とにかく、日本の映画界にはお金がない・・と言っています。
わたし自身も海外ドラマに傾倒していることもあって、最近は邦画を観る機会はかなり減りましたが、それでも良作な邦画もたくさんありますし、面白そうであれば、どんどん観たいし、邦画は好きです。
ただ、やっぱり予算がないんだなと思うこともしばしばで。
それだったら、量より質を重視すればいいと思うんですが、そういうわけにもいかない日本のエンタメ界の事情があるんだろうなと思ってしまいました。
今回の受賞作『パラサイト』しかり『ジョーカー』しかり格差社会を描く作品が評価され、日本も長いこと不況にあえいでいることもあり、国内での貧困や格差が話題にもなりました。
そこで色々な意味での『生きにくさ』をテーマにした邦画作品の中から印象深いものを下記で紹介していきたいと思います。
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一命
まずは時代劇。
2011年、三池崇史監督の時代劇。
ある意味、日本の格差社会です。
お屋敷に勤める武士と、お金と命を引き換えにした下級武士を描いています。
藩の財政悪化の責任を取らず”武士の面目”にこだわるお役所の武士と、貧困にあえぐ民。
市川海老蔵の凛とした演技が忘れられません。
役者としての彼を褒めたたえたくなる一作ですが、メンタルをがっつりやられます。
at Home
傷を持った人たちが、それぞれに傷を持った人を助けようとする人たちが、身を寄せ合って、寄り添って生きる話。
犯罪で生計を立てている疑似家族のお話です。
竹野内&松雪夫妻が夫婦となり、坂口健太郎、黒島結菜ちゃんが出ています。
貧困、DV、虐待などが赤裸々に描かれながらもどこか温かみを感じる、社会の『普通』に弾かれ、ただただ幸せになりたかった人たちが心を通わせる映画。
意外なストーリー展開になるのですが、ラストが非常よかったです。
トイレット
ポスターの遠目が『パラサイト』に似ていたため掲載(笑)
人生に不器用なカナダ人の三人兄妹と、三人の祖母とされる英語が全く喋れない、もたいまさこの交流を描く邦画。
邦画でありながら、ほぼ英語、もたいまさこはほとんど喋らないが喋るときは日本語という、海外でもっと評価されてもよかったのに・・と思う内容だったし、ストーリーも『そのままの自分でいいよ』系のほっこりするタイプ。
カナダ人兄妹は、そこまでどん底ではないけどもやもやを抱えている感じがリアルだと思う。『一命』で精神力を削れらた自分を癒す作品。
駆込み女と駆出し男
女性の生きにくさを描いた時代劇。
現在、朝ドラ『スカーレット』で熱演中、戸田恵梨香の出演作品で断トツで一番好きな作品。
どんな理不尽な目に遭っても女性からは離婚を言い出せなかった時代に、駆け込み寺で一定期間厳しい修行を経たのちにやっと離婚できるという女性の辛さと、強さを、これでもかと描いた作品です。
寺に駆け込めるかどうか、という段階から勝負が始まっているハラハラ感で心が掴まれます。
でも、本格的なセリフ回しすぎて序盤のキムラ緑子の時代言葉に最初は心が折れる・・けど、頑張ってください(笑)
とにかく戸田恵梨香がすごくよくて、感動させてくれる。
満島ひかりもすごくいい。どっちもいい。
わたしは自分の書いたレビューによると三回観てるらしい。
昔に書いたレビューなので、割と淡々と比較的短めに映画の説明をしていました(笑)
そして、書いているうちにまた観たくなってきました。
夢売るふたり
最後はアカデミー賞繋がりです。
『アナと雪の女王』のエルサのパフォーマンスで話題になった松たか子主演の作品。
夫役に阿部サダヲ。
ストーリーは非常に切なく、重いですがラストの余韻は悪くありません。
阿部サダヲの演技も見応えがあるし、松たか子が今まで見たどの作品よりも美しく感じた作品でした。
夢破れて再起を図る夫婦が、女性をターゲットにした結婚詐欺に手を出すストーリーなので、ターゲットの女性たちの悲哀も描かれるし、夫が公然と違う女性に手を出す妻の、愛憎入り乱れる感情もリアルで、二人の演技のぶつかり合い、細かな心理描写が描かれている大人っぽい映画です。
以上、5作品をご紹介させて頂きました。
どの作品も、社会のキラキラしていないところで踏ん張って生きる人々を描いている映画です。
興味のある方は、是非ご覧になってみてください。
それでは、また。
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