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【映画】怒り 感想(ネタバレなし) 怒りとは何か、人を信じ切ることを人は本当にできるのか。

久々の邦画です。映画『怒り』です。

公開当時、妻夫木聡綾野剛のゲイカップルのことが話題になっていて、よく二人で宣伝に駆り出されていましたが、そのカップルのことも重要ではあったけれど、そこの部分はこの映画のほんの一部です。

本編142分と長編でありながら、まったく中だるみも飽きることもなく一気に観られました。

全体的に重く、辛いミステリー作品です。

 

 

怒り DVD 通常版

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原作は『悪人』で知られる吉田修一です。

 

怒り(上) (中公文庫)

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主要なキャストは、

沖縄の離島に移住してきた少女広瀬すず、その少女と知り合う無人島に住んでいる破天荒な感じの青年に森山未来

東京で働くゲイのサラリーマン妻夫木聡妻夫木聡とゲイの出会いの場で知り合って成り行きで一緒に暮らしている謎が多い男に綾野剛

房総の漁師町に住む妻に先立たれた男に渡辺謙渡辺謙の情緒不安定な娘に宮崎あおい、その町に突然現れて静かに働いている男に松山ケンイチです。

夫婦殺人事件の犯人を追う刑事に、ピエール瀧と、三浦貴大が出演しています。

 

それぞれの町で、森山未来綾野剛松山ケンイチと周囲の人々が三者三様に人間関係を構築し、だんだんと関係を深めていきますが、

観ているこちらは、冒頭で起こった凄惨な殺人事件の犯人が三人のうち誰なのかを予想しながら話が進みます。

指名手配犯の写真は、三人のだれともつかない感じで全員写真に似ています。

予想はだいたいしていましたが、最後の最後、色々はっきりするまで本当に誰が犯人なのかわかりませんでした。

途中、(まさか、あとは想像にお任せします的なやつじゃないでしょうね!)って思いましたが、それはなかったので安心してください(笑)

 

ミステリーとしても秀逸だと思いましたが、悪人でもそうだったのですが、人間の闇や弱さを描く心理描写が本当にうまくて、

もちろん演者もみんな上手だったので、リアルな人間模様でした。

公開前に話題になっていた、妻夫木聡綾野剛の二人もよくここまで演じきったな!というゲイカップルぶりでした。

感情表現がリアルすぎて、綾野剛がかわいそうで妻夫木聡が嫌いになりそうです(笑)

 

みんなすごくそれぞれに辛い事情を抱えているのですが、

わたしは個人的に、渡辺謙演じるお父さんがすごく不憫に感じていました。

田舎で男手ひとつで、ちょっと扱いが難しい年頃の娘を守ろうとする父の愛。

わたしならこの娘、無理だ。手に余るって思ってました。

なにしろ全編通してずっと色々辛いことが満載です。

広瀬すずちゃんも若いながら、辛い役どころを演じ切っていました。

 

怒りって、色々な種類があるじゃないですか。

直接自分にかかわる他人に対する怒りはもちろん、例えば世界が平和じゃないことに感じる憤りとかも怒りの感情のひとつですよね。

そして、もしかしたら最も多くのひとが感じているかもしれない自分に対する怒り。

そういう怒りの感情に、人それぞれどう向き合うのか。

そして、自分の愛する身近な人が、凄惨な殺人事件の犯人かもしれないと一瞬でも思ってしまった時、

自分は愛する人を信じ切ることができるのか、どう対応するのか。

 

結果はぜひ本編で見て欲しいと思うのですが、こちらの原作者と映像の監督は両方男性なのですが、わたしは宮崎あおいのとった行動に全然納得していません。

たぶんこの子はこんな対応しないと思うって思いました。

女をわかってない!ってそれこそ怒りが湧きそうでしたが、男性が理想とする行動だったのかな(笑)

でも、話の都合上仕方ない気もするけど、わたしが作り手ならこれは絶対やらせないと思う行動でした。

 

 

観た人それぞれの事情で、誰に感情移入するか、どんな感想を抱くか違ってくる作品だと思います。

原作も是非読んでみたいですね。

邦画のミステリーは、くそ!時間返せ!って作品も中にはあるのですが、こちらの作品は観てみて損はなかったと思いました。

でも、疲れますよー(笑)

 

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