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『1917 命をかけた伝令』ホラー映画並みの緊張感。戦争が”日常”になるリアル。

 映画『1917 命をかけた伝令』早速、観てまいりました。

 

来月から咲くであろう桜。

今年はちょっと違った意味を持ちそうです。

 

前評判から、普通の2Dではなくてせめて、音響のいいDOLBY ATMOSとかULTILAで観ようかと思っていたのですが、奮発してIMAXにしました。

巨大スクリーンと美しい映像、お腹に響く音響で、結果大正解。

未見のまま、下記記事で作品賞を予想していた『1917』ですが、作品賞はおろか監督賞も逃してしまいました。

 

www.meganetamago.com

 

ただし、実際『1917』を観たあとの率直な思いとしては、

 

「作品賞か監督賞、どっちか受賞してもよかったんじゃないのー!?」

 

です。

 

下記、公式サイトにも全編ワンカット!と書いてあったのですが、結果から言えば、全編ワンカットではないです。

ただし、長回しのシーンと思われる部分がたくさんある作品で、今回のアカデミー賞では、 撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞しています。

そういった意味では、この作品のすごいところを評価されたのかもしれないけど、審査員たちは本当に劇場で観たのかなーと時間が経つごとに思ってきています(笑)

 

1917-movie.jp

 

 

アカデミー賞の審査の方法は全く存じ上げないのですが、わたしの想像できる範囲内でアカデミー賞の審査方法を考えてみました。

 

①大き目な劇場に審査員と関係者が集められ、数人の貸し切りで鑑賞

②小さ目な劇場に審査員と関係者が集められ、数人の貸し切りで鑑賞

③データを焼いたものが審査員に渡されて、各々自宅などで鑑賞

④ちょっと広めの専用シアタールームのようなものがあり、そこで個々に鑑賞

 

みんな忙しそうな人たちだけど、作品はきちんと評価しなければいけないとは思うんですね。

実際ここ数年の過去の作品賞などを振り返ると、ストーリー性がどちらかというと重視されていて、劇場で観なければ魅力が伝わりにくい作品は、そこまでオスカーでは評価に繋がりにくいというイメージを持っています。(個人の感想です)

なので、③か④なのかなーと思うんです。

人によっては劇場で観ている人もいる、ぐらいの感じ?

観なきゃいけない作品も膨大だし、Netflix作品のようなVODものもあるし。

だとすると、作品の評価はだいぶ別れることになると思います。

ストーリーを楽しむ映画というより、何かを感じる作品だとわたしは思ったからです。

 

何が言いたいかというと『1917』は劇場で観る作品だよってことです。

 

最新型のテレビ、スピーカーなどがあったとしても、劇場のスクリーンが自宅のテレビより小さいってことは、よほどの石油王とかでなければあり得ないと思うし、地響きのような音を感じることも難しいと思うんです。

広い戦地や、奥行きや、土嚢の臨場感。

 

どこまでがセットで、どこまでがリアルなのかわからない映像技術には本当に脱帽しました。

 

実際、

IMAXでこんなに人が入ってるの初めて観たな。アベンジャーズより多いじゃん。アカデミー賞効果すごい)

って思っていたほどだったのに、みんな息が止まっているんじゃないかと思うほどの静寂が何度か訪れていました。

 

観に行こうか迷っている人は円盤や配信を待たずに、是非劇場で観ることをお勧めします。

 

そして、邦題『彼らは生きていた』という第一次世界大戦のイギリス兵のドキュメンタリーを白黒からカラーにリマスターした作品を観てから臨むと、もっと理解が深まるそうです。

kareraha.com

 

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 特に強調しなくても、戦争の不毛さや、凄惨さというのが戦争映画にはどうしても描かれてしまうと思うんです。

わたしはゾンビ映画などを見慣れているので、戦地にそこまで衝撃は受けませんでしたが、普段そういうの見慣れていない人は、けっこう来ちゃうかもしれないです。

ただ、わたしがとても感じたのは映画全体に流れていたどこか牧歌的な雰囲気。

それは兵士たちにも通ずるものがあって、どんな状況にも人間は慣れて順応する生き物だし、善悪の判断というものも、環境によってどんな風にでも変わりえるという怖さでした。映像が美しいだけに対比がすごい。

 

とにかく、すごい作品で、緊張感で、稀に見る映画体験でした。

クライマックスシーンは、鳥肌がすごかったです。

 

色々な感想がTwitterなどにも上がっていましたが、下記にはわたしが映画を観て感じたことをネタバレを踏まえつつ語っていきたいと思います。

 

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序盤のストーリーは、主人公であるウィリアム・スコフィールドが、戦下の友人、ブレイクに巻き込まれて、敵兵がいる陣地を抜けて他の部隊の大佐へ、明朝のドイツへの攻撃を中止するように、という命令を将軍から受け取るというところから始まります。

1600人の部隊の命がかかった伝令を届けるという使命を負った二人でしたが、ブレイクは兄の命を救いたいという目的もあり、何がなんでも行く気でしたが、スコフィールドは命を危険に晒してまで行く必要性を感じていなかった。

 わたしには、ブレイクに流されて仕方なくついていくことになったように思えたし、隙あらば戻りたがっていた。

 

途中でブレイクを失ったり、ドイツ兵に襲われたりしながらもなんとか目的は達成されたけど、本能的な衝動に駆られているような感じだったな。

目の前に、目的があれば、余計なことは考えなくていいでしょう?

 

スコフィールドが最後一人で野原で写真を見るシーンで、わたしが感じたのは、達成感ではなく、虚無感でした。

 

もうね、圧倒的な虚無感。

 

使命感とか責任感で彼は走ってなかったんだなと、わたしは感じました。

命をかけて誰かを救おうとか、そういうヒーローをこの映画は描きたかったんじゃなかったんだろうなっていうのがわたしの感想です。

 

彼は、一応危険を冒して命令を無事に渡せはしたけど、イギリス軍にとってはスコフィールドとブレイクは明らかな捨て駒だったし、実際、間に合っても間に合わなくてもどっちでもよかったんだって、大佐(カンバーバッチ)のシーンからラストまではすごく思ってました。

大佐は、大事なときに伝令なんて持ってきて場を乱したスコフィールドに腹を立てていた。

「こんな通達は、日常茶飯事だ」と、兵士一人の命の重さなんて、もう何も感じなくなっている軍の幹部。

でも、彼もたぶん家に帰れば家族を大事にする父親だったりするわけです。

 

スコフィールドもそのことはわかっていて、自分が伝言を無事に伝えたら1600人の命を救えるなんて思ってなかったと思うんですよね。

戦地に赴いた初期のころや、相棒のブレイクはともかくスコフィールドはもう、そういう段階になかったと感じました。

うっすらは思っていたかもしれないけど、それが全てではなかったように思う。

ブレイク(兄)に会うほうが大事なことに途中から切り替わった感じに見えた。

 

わたしが今まで観てきた彼の頑張りや悲しさは、彼だけのものではなくて兵士全員のものだって思えて、一人をフューチャーした映画で、戦争に参加する人全員の顔が見えてきた。

特に彼だけが特別ではないっていうのが逆に強調された感じで非常に切なかったです。

 

今日、スコフィールドは自分の命はなんとか長らえることに成功したけど、明日はわからないし、明日のスコフィールドは誰か違う人ってことだろうということが何の迷いもなくストンと入ってきて、戦争が『日常』になるリアルってこういうことなんだということが、美しい桜をはじめ、凝った映像の数々でこれでもかと突き付けられました。

 

あと、途中、緊張感か悲しさからか感極まって泣きそうになったシーンがあったんだけど、どう頑張ってもどこのシーンだったのか思い出せない。

それだけ、世界観に入り込んでいました。

とにかく、わたしはただ座っていただけなのに、ものすごく精神力と体力を削られ、ちょっと寒いシアターで緊張感からドリンクをがぶ飲みしてしまい、後半トイレをものすごく我慢する羽目になりました(笑)

 

だらだら書いてしまいましたが、うまくうまく感想がまとめられなくてごめんなさい。

 

戦争映画だし、人によっては苦手な人も居ると思うのでお勧めはしませんが、わたしは観てよかったと思います。

 

それでは、また。

 

 

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