NHKが今年の1月から3月まで放送していた、アロマンティック(恋愛感情を持たない)・アセクシャル(性的感情を持たない)人を主人公にしたヒューマンドラマ『恋せぬふたり』を完走したので率直な感想をお届けしたいと思います。
上記ドラマを観た流れは下記の通りとなります。
『エルピス』(脚本:渡辺あや)→NHKオンデマンド『カーネーション』(脚本:渡辺あや)→twitterで見掛けた今期NHK新ドラマ『作りたい女と食べたい女』をNHKオンデマンドで観る→同じくNHKオンデマンドで『恋せぬふたり』を視聴という流れです。
ドラマの感想を一言でいうと「非常に勉強になった」と思いました。
あらすじは、同じアロマンティック・アセクシャルを持つ男女二人がひょんなことから共感し、お互いかけがえのない存在になっていく過程を描く物語です。
このドラマを観てからちょっと調べたところ、アロマンティック・セクシャルとロマンティック・アセクシャルもあるみたいで奥が深いなと思ったのですが、ドラマ自体はアロマンティック・アセクシャルを描いているのでそこは深掘りしませんし、ドラマ的にも触れていませんでした。
1話30分を全8話で駆け足で進んだためと、知らない人に実情と概要を端的に伝えるためか、正直、言葉尻がきつかったり登場人物が強引だったりして「それさすがに失言すぎない?(汗)」とハラハラする場面も多かったのですが、興味深く全8話を観ることができました。
わたしは普段海外ドラマを観ているので、日本で普段性的思考について考えたりしない人よりかは知識はあるほうだと自分では思っていましたし、通常から他人の恋愛事情や恋愛エンタメにあまり興味がない方で、主人公たちに近い目線で観られるかもと思っていましたが、それでも(あ、だめだわ。これ、偏見だわ)と思ってしまって、自分の中での先入観や常識に縛られている部分を突き付けられた形になりました。
わたし自身はアロマンティックでもアセクシャルでもないと自分では思っているので、ある程度恋心を理解することができます。
しかし、ある程度年齢を重ねた今思うことは「自分の人生において恋愛的な部分が大きな割合を占めた期間はそれほど長くなかったな」ということです。
当事者にしたら怒られる発言かもしれませんが、共感できる部分も多かったように思います。
個人的な考えですが、恋愛は人間関係を構成する一部ではあるけれど、通常の人間関係には恋愛は絡まないことのほうがはるかに多いからです。
世界的に見れば宗教や文化の違いなどでいろいろな社会構成があるとしても現代日本のスタンダードとしては、【恋愛を経て人生を支えあうパートナーを見つける】のがセオリーではあるし、今の親世代が【恋愛結婚】を経て子をなしている以上、そういう価値観になってしまうのは仕方ないけれど、三代も前にさかのぼれば恋愛感情的なものは存在してたにしろ、その延長に結婚があった人のほうがはるかに少なかったように思うので、恋愛感情なしに家族として歩んでいくことは全然アリだと思っているんです。
むしろ、恋愛結婚が日本の歴史的に新しい歴史なのに、恋愛感情を持たない方が変っていう方が変じゃない? とも思いました。
たぶんわたしのおばあちゃんとおじいちゃんは、結婚した当初は恋愛感情なしに子ども作ってたと思うよ。
その後お互いを家族としてかけがえのない存在だと思っていたかもしれないけど、恋愛的に好きだったかどうかはわからないし親の決めた結婚だったと言っていたし。
あ、でも恋愛自体が最近のことっていうドラマの話は『源氏物語』とかあるのでどうかとは思うけども。
今、経済情勢も社会情勢も不安定ですし価値観の合うもの同士で協力しあって難局を乗り越えていくのはむしろどんな人たちでも推奨されるべきでは? とすら思いました。
見ていて、二つ気になった点があったので、書いていきたいと思います。
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・人の恋愛感情に鈍感だと人間関係の距離感がバグる問題
主人公の特に女性がそうだったのですが「思わせぶりな態度」を本人がしているつもりがないため、その気のない相手に距離を取る方法を知らなくてトラブってるな…と思いました。
実際、主人公でなくてもその気のない相手にそういう目で見られることを嫌う人も多いと思うし、通常、段階を経てお互いの関係性を構築していくところを警戒心がないためか、ガッと距離を詰めていく主人公女性にハラハラしました。
恋愛感情を持っている人だと「そんなつもりはなかった」とはいえ、どの部分が思わせぶりだったかある程度わかるような場面でも、そこがわからないので結果的に相手との価値観の違いですれ違いが出てしまっていた。
本人も好きな人(恋愛的な意味ではなく)を傷つけるのは本意ではないと思うので、うまい方法があるといいと思いました。
どうしたらいいんだろうねー。
具体的に考えると、誤解させないためにパーソナルスペースを侵略しすぎないとかしか思いつかなかったよ。
わたしも会社などで、割と(本気で)腹の立つ異性の愚痴をぐずぐず言ったりすることがあるのですが、愚痴というよりあきらか真剣な文句なのに、学生時代も「めがたまはあいつのことが好きだ」という噂を流されていたと卒業後に聞いたり(※実際はめちゃくちゃ嫌いだったので心底むかついた)、職場でも仕事のことで本人に文句を言っているとじゃれ合ってて仲がいいと思われることが未だに(!)あって、わたしが女性で相手が男性なだけで言葉通りとられないことに辟易としているので、本人のキャラクターによってはすごい難しいとは思うんです。
実際アロマンティックではなくてもそういうことで嫌な思いをしているぐらいなので、嫌なことは日常的にある感じだと思うし。
ある程度年齢を経ていれば周りも恋愛する対象年齢に見なくなってくるので、数は減ると思うのですが学生時代から30代ぐらいまではしんどいと思います。
世間はすぐには変わらないと思うから、頑張ってくださいとしか言えない…ごめんなさい。
・恋愛も別にしたくしてしてるわけじゃない
最後に、ドラマを観ていて「恋愛している二人とどこが違うのか」と思ったシーンが何個かあって「いかん、いかん」となったのですが、イメージとしては高速道路で、右側と左側に進む道があって、例えば右側は恋愛、左側はnot恋愛だけど、最終的には同じ道に出てくるみたいな感じだったので過程が違うだけかなぁと思ったりした。
何十年も経てば好きだなぁ、この人と居て幸せだなぁって思うことはあっても恋のドキドキとはまた違う気がするんですよね。
そもそも、家族愛や友情には恋愛感情は存在してないわけですから別にわたしはいいと思う。
自分を恋愛的に見ている人で、自分も人として好きな人ではあるけれど、同じ気持ちで返せないことでお互い辛い思いをすることが一番大変だなと思ったところでした。
恋愛の先に身体接触があるから難しいところもあるよねぇ…。
男性の方は、人に触れない触られたくない人だったし。
同じ気持ちで返せないことで大切な人を失うことがあるのは辛い。
わたし自身が経験値が低い部分は否めないのであまり世間の声っていう感じじゃなく一個人の意見って感じにはなってしまうけれど、そこまで気にしなくていいのかもなぁって思った。
失礼な発言だったらほんとごめんなさい。
上から目線のつもりは全くないんですほんとうに。
それに恋愛感情がわかる人だって、恋愛したくて恋愛してるっていうのとはちょっと違うところもあると思うんです。
それに恋愛以外にも人生って忙しいじゃないですか。
子どもが欲しいとなるとまたちょっと難しい問題になるからまた考えなきゃいけないけど、ただ今は昔と違って、同士や理解者が見つけやすい環境でもあると思う。
うまく言えないけど、人生は一回だからこそ、そこにこだわりすぎて時間を無駄にしたり大事なことを見失うのはもったいないとドラマを観ていて思った。
恋愛から派生して継続した愛になるほうが特殊例だもんなーって。
恋のまんま終わる方がたぶんはるかに多いでしょう?
というわけで、まだまだ勉強不足ではありますが、自分でも多くの気づきのある視聴体験でした。
またこういうドラマ観たいです!!
それでは、また。
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