Amazonプライムビデオで配信になって、サムネイルで広告されていたので早速観てみました、『台風家族』。
ほとんど密室劇のような構成で、時間も適切だと思いました。
非常に好みの邦画でした。
2019年公開の映画ですが、どのポスターを見てもメインキャストであり、ほぼ助演の新井浩文氏が削除されていますね・・・。
ほぼ前情報なしで観たのとポスターに出ていなかったため、出てきて若干びっくりしましたけれども。
監督自身が原作の小説にも携わっており、脚本もしていることからかなり思いと力がこもっていたのは当然ですし、実際良作だったと思います。
しかし、公開予定年の2月に出演俳優が事件を起こし公開も危ぶまれ、6月公開予定だった映画が9月に期間限定で公開されたとのことで、心労や対応への苦慮などは察するにあまりあります。
代役を立てて撮りなおすにはほぼ出ずっぱりなので無理だったでしょう。
これからご覧になられる方はそういう事情のある作品だということで、事件に対してどうしても嫌悪感があるという方は避けた方が無難です。
でも、作品自体も出演俳優陣の演技も素晴らしいものなで本当に勿体ないと思います。
残念の一言です。
こちら作品は静岡のとある地でで自営業を営む鈴木家に生まれた長男とその妻と娘、鈴木家の次男、長女、三男を中心に話が進められていきます。
ある事件を起こした父親が母親を連れて失踪してから10年、事件の時効が成立した日。
行方不明者として死亡手続きを取った両親の葬式に散り散りに生活していた兄弟姉妹たちが集まり家族のいざこざが発生し、それぞれが知らなかった事実が徐々に浮き彫りになっていくヒューマンドラマ
です。
割とシリアスな内容なのですが、コメディー要素がないこともなく重さの中に軽さのある不思議な世界観。
テーマは『家族』や『親』だと思います。
この年ぐらいになってくると、喧嘩別れした兄弟姉妹が身内の葬式で和解したり、逆に身内の葬式がきっかけで険悪になったりするのはあるあるなんですけれども(笑)
家族だからこその愛憎みたいなものが描かれています。
長男を草彅剛、次男を新井浩文、長女をMEGUMI、末っ子を中村倫也が演じており普段は普通に(?)社会で暮らしているも、きょうだいを目の前にすると思わず子どもに戻ってしまう大人たちを好演。
草彅君の演技は折り紙付きなので、もはやわたしが語ることは何もないですね。
主演として立派すぎるほどだったと思います。
個人的にかなりよかったのはMEGUMIです。
4人きょうだいの中で女の子1人、兄も弟もいる色々な面を持つ人となりをかなりうまく表現していたと思います。
伏線の張り方や回収の仕方も見事で、海外作品のミニシアター系とも戦えるクオリティーだと思うのですが、アジアで国をあげて映画産業に力を入れているところと違ってPRにかけられるお金が日本は少ないので非常にもったいないと思いました。
ここからは、ネタバレ感想です。
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新井浩文すごいよかったのにやっぱり背景がちらついてもったいなかったけど、中だるみもなかったので最後まで集中して観られました。
草彅くんのこじらせ長男&父親ぶりもグッときました。
尾野真千子が最低な夫を静かに温かく見守っているだけでうるさく言わないのは、なんとなく納得できる部分があった。
娘も怯えずに言いたいことをハッキリと父親に言っていたし、それに対して妻も何も言っていなかったので、実際に妻や娘に手を出す人ではないということは伝わってきました。
うちは親の片っぽが似たようなきょうだい構成で、男の中に女一人、その下に末っ子の男っていう今回の映画と似たような構成なのでそのこと思い出してました。
勝手する長男、達観した次男、もう一人男、兄も弟もいるしっかりしてるのかしてないのか不明な長女、そして自由な末っ子くんです。田舎の自営なのも一緒です。
まー、サイテーですよね(笑)
ほんとに集まるとろくなことがないんですよ。
父方の集まり、大嫌いでした。
大人になってから一度やむなく参加したけど、やっぱりサイテーでしんどかったのでそれ以来腹をきめて一度も参加していないんですけれども。
この映画みたいに全然愛情前提みたいな感じじゃないし。
子どもの前で平気で子供みたいな喧嘩するしね。
時代が時代なら、配信する人現れたかもしんないと思いながら観ていました(笑)
そういったわけで、この映画は老々介護もテーマでしたが自営をやっている田舎の夫婦がそんなに老々介護を隠し通せるものかなっていう疑問はありました。
ここは唯一気になっていた点かもしれない。
ちなみに上記の親の実家は無理だと思うな。
鈴木家は事件を起こしたあと、近所をしらみつぶしにマスコミに取材されたと思うんですけれど、近所の誰かは絶対知っていると思うんですよ。
『鈴木家の奥さん』が認知症だったこと。
特に地方の自営は、妻側のコミュニケーション能力っていうのがかなり重要と思いますので、子供を4人育てるだけ稼げていたということは土地の繋がりっていうのはかなりあったと思います。
夫が介護用品を町の外に買いに行く余裕があったかどうかも不明だしな。
老々介護なんて、ワイドショーがあることないこと報道するのにぴったりな題材見逃すわけがない。
しかも霊きゅう車で銀行強盗を成功させるシニアなんて毎日毎日やっていたような話題だろうし。
なので、テレビからの情報で子どもが知っているのが普通じゃないかとは思いましたが、それをやってしまうと前提総崩れになってしまうから仕方ないよね・・・。
それに、最後まで妻への愛を貫く姿勢には素直に感動しました。
家族がどんどん増えてまたいろいろなトラブルを起こしながら、それでも協力してやっていくのだろうなという希望のあるラストが非常に良かったと思いました。
あのきょうだいは、次男にも子どもが生まれていたし、MEGUMIが付き合ってる男はバカだけどいい奴だし、結婚して幸せに暮らすんだろうなっていう感じが容易に想像できるし。
もし、万が一草彅くんの娘は留学できなくて、音楽家の道を捨てたとしてもあの両親なら大丈夫っていう気もする。
末っ子は、まぁうん、がんばれ(笑)
なにしろ、しみじみ観てよかったです。
休日に観てよかったです。
長男のために銀行強盗を働いた父親でしたが、あれが長男でなくてもだれでも同じ行動をとったんだろうと思えたから、誰も長男を責めなかったんだろうなー。
もし、自分の親だったら・・・と少し考えてはしまいましたが。
最後になりますが、こういう邦画をまた発掘できらた嬉しいなと思います。
それでは、また。