金曜ドラマ『俺の家の話』 2&3話感想です。
大好きなクドカン作品でもリアタイで追えていません。
今のところ3話まで視聴。
今週は5話が放送されます。
※第1話の感想
ドラマの感想に入る前に、 突然ではありますが『俺の家』である観山家のお家芸である日本の伝統芸能の【お能】について、ざっくり勉強していきましょう。
この動画、すごく面白かった(いろんな意味で)ので10分程度の短いものですので、是非ご覧になっていただきたいんです。
文京区公式チャンネルの動画です。
東京都文京区というと、有名なものは東京大学や東京ドームなどがある場所です。
そこにこの宝生能楽堂という宝生家という能のお家の劇場があるらしい。
この動画で、大まかなことはご理解して頂けたと思うのですが、一番知りたかった大事なところがバッサリカットされているので、補足いたします。
で、どんな話をやってるんですか?
という部分です。
普通に日本で暮らしていても、お能を見る機会というのは少ないし、わたしも人生で一度も生で観たことがありません。
テレビにタレントや俳優として登場している分、狂言の方が有名だと思うのですが、お能と狂言の何が違うのかというと、わたしの付け焼刃知識でいえば、【話】も【スタイル】も違います。
元は一緒なんですが、二刀流化したというか。
野村萬斎や和泉元彌で有名になった狂言は、どちらかといえばモノマネやコント的な位置づけで、お笑い担当。
お能は人間のエモーショナル部分担当で、怒り、悲しみ、恋情などを表現するミュージカルみたいなものと理解しました。
歌舞劇ってそういうことでしょう?
曲を演じているみたいで、演目が曲で現されていた。
『レ・ミゼラブル』的な内容なんだよ、きっと。
日本語なのに何言っているかあんまりよくわかんないけど、「心の目でお能を見ろ」みたいなことを動画の若い宗家も言っていたし。
歌だったら聞き取れなくても仕方ない部分あるし。
今回は、ドラマで出てきていたシテというワードなども紹介しようかと思っていたのですが、長くなるので後々にしたいと思います。
あ、大事なことを言い忘れていた。
そもそもの発祥は室町時代です。
以上、ざっくりお能講座でした。
後半はドラマの感想です。
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今までのクドカン作品は、シリアスなテーマにコメディ感を乗せて重さをふわっと軽くさせているドラマが多かったように思うのですが、今回はテーマがテーマだけに、割とシリアスに作品が寄っていて、心にしみる名言が頻発しているように思います。
このドラマを観ている層は中年層が圧倒的に多いと思うので、グサッとくる場面も多々あるのではないかなと思います。
連れ合いは、割と身近で真剣な内容だからなのか、あまりドラマに乗り切れていないようです。
今までの作品の中では『監獄のお姫さま』が圧倒的に好きなタイプなので、クドカン作品を長いスパンで追ってきたファンの中には、そういう方もいるかもしれませんが、それはそれ。
感じ方は人それぞれなので、全然いいと思います。
個人的には笑いどころ満載で、たまにじんわりさせてくる今までのスタイルも大好きだけど、今回のは今回でかなり好きですね。
なんていうんだろう、今までもそれなりにテーマは重かったんですよ。
ただそれを感じさせない手法をとっていただけで。
あまちゃんだって震災を描いていたし、さかのぼり木更津キャッツアイだって、余命いくばくもない若者の話だった。
そもそも、ここで泣けっていう感じで泣かせに来てるホームドラマとは一線を画す真剣みがあり、観ていると若干疲れます。
今までも落語などの伝統芸能をドラマに盛り込んでいたクドカンですが、今回のお能とプロレスは、すごく魅力的に見えるので、もう何度も言っていますが、作り手の気合のこもったドラマだなぁーと思うのです。
今回、主人公の家が狂言ではなくお能の家だったことも、上記のお能の説明通りで狂言では喜劇になってしまうからなんだなと勝手に納得しています。
ところで、2話と3話で特に印象深かったのは、一筋縄ではいかない介護生活もさることながら、【後妻業】を疑われているヘルパーさくらちゃんの過去が明かされたことと、主人公寿一の別れた妻という二人の女性に割とフォーカスが当たっていたことではないかなと思います。
生きていくうえでだれしも絶対に必要なお金。
わたしの親には、後妻業さんに騙されたとしても奪われるお金がないので、考えたことはないのですが、さくらちゃんは【対価】と言っていました。
個人的には、本当に意識のない状態で遺言を書かされて毒を飲まされて殺された、などではない限り、介護も何もしなかった残された家族が、最後を看取った女性に対し、自分の親が自分で作った遺産を誰に渡そうが文句を言える立場ではないとは思っているのです。そもそも、介護をしていたとしても、自分ではない人物が遺産を残したい相手に対してとやかく言う権利があるのか、とは思っています。
それは、お金の持ち主の自由なのでは? と。
介護は理不尽で、終わりが見えなくて、それこそ対価もなくやってられないというのはわかりますが、法律的には遺留分というのがあり、それを請求することはできますし。
親の愛が自分に向いてなかった悲しみをぶつけたいという気持ちはわかりはするのです。
ただ、自分の親があんなに楽しそうに晩年を過ごしていたという証拠を見せられたら、引き下がるしかないのかなとは思っているんです。
もし、自分が資産を持っていて、後妻業に狙われたらお金を渡してしまうかもしれないと思ってしまう部分もある。
死んで持っていけないですから、お金は。
さらに、さくらちゃんのシリアスな人生をお能で見せるという手法には驚きましたが、そもそもお能自体が、悲しさや怒りを表す演劇であるので、絵面的にコミカルではありますが、ピッタリではあったのです。
内容に関しては、実際、そのへんを掘り起こせばよくある話ではあると思います。
そして、自分がさくらちゃんの生い立ちで、色々な障害を越えたうえであの職業にたどり着き、いざ仕事を始めてみた。
そうすると、何千万も遺産を残すような立派な親の元に生まれてきたのに、余命いくばくもない父親をほったらかして愛情のかけらもないような様子を見せられたら、遺産を受け取るのが本意ではなかったとしても、若干の復讐をしたくなるのが人間なのではないか、と思える部分もありました。
法的にはルールにのっとっているわけで、文句を言われる筋合いはない。
彼女が真剣に介護の勉強をし、ヘルパーという仕事をしていることは3話も観ていればわかる話だし、もうこの際、どっちが本業で副業だったとしてもいいのでは? と思ってはいますが。
もう一人、寿一の元妻。
とてもしっかりした女性です。
「大好きな男と結婚したら幸せになれると思っていた」
は、非常に深かったですね。
しみました。
同情を誘い、養育費の支払いを言い訳で逃れようとする寿一に対し、食い気味で拒否する様子は、スカッとしました。
どんな理由があろうとも、自分の子どもの養育を手放すことは許されない。
養育費は男女共に払う義務がありますが、「今月ピンチなんだよ」的な理由で支払を逃れようとすることは許されません。
人間は、生きてるだけでお金がかかるから。
バイトしろよ、バイト!!! うだうだ言わずに働け! と思っていたら、バイト始めたので、そこはよかったと思ったし、同情をひいて養育費の支払い逃れをしようとする夫を問答無用で許さない妻をドラマとして描いてくれたクドカン、素晴らしい。
さらっとしたシーンだけど、インパクトあったから、ちょっと、感動すらした。
あ、あと最後にもう1人。
変なラッパーと結婚してしまった観山家の長女。
見た目と違って(失礼)割とのんびりしていて可愛い。
癒される、すごくいい。
観山家は別に血なんか繋がっていなくても寿限無が継いで、寿一はプロレス業界に戻った方がいいと思います(笑)
そういう方向性を望んでいます。
介護は・・・、まだよくわからない部分もあるので、今後の展開を見守りたいと思います。
まだ色々言える段階ではない気がします。
というわけで、それではまた。
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※能面