たま欄

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【Netflix】『tick tick BOOM!』と『RENT』の感想 いつだって天才が身を削ったおこぼれを享受するわたし。

ミュージカルが好きだ。

 

『マンマ・ミーア』のような明るいものも好きだし、『キャッツ』ライオン・キングのような壮大な仕掛けがほどこされているものももちろん好きだ。

いろいろあるミュージカルの中でも一番好きなミュージカルは、鏡と白い線しかほぼ舞台セットのないコーラスラインだ。

 

初めての『コーラスライン』は劇団四季だった。

電車で片道四時間以上をかけて一人で日帰りで観に行った。

なぜそこまでして観たかったのかの記憶は定かではない。

でも若かったわたしはなんでも観たかったんだろう。

席は割といい席で、前のほうの舞台に対して真ん中らへんだった。

1人でもぞもぞしていると、シーンとした観客席の幕が上がって明るいステージが照らされた。

「5,6,7,8・・」のカウントがとられ、ダダダーダダダ、ダッダ!!の曲とともに板付きのダンサーたちが一斉に踊りだした瞬間は忘れられない。

ものすごい鳥肌だった。

 

クライマックスの歌では、泣いた。

 

来日公演も観に行ったが、わたしが観に行った時の役者さんたちのやる気のなさがショックすぎた。

日本人の観客をなめているんじゃないかと思って猛烈に腹が立った。

気合を入れて結構前の席だったのでやる気のなさがすごく伝わってきた。

生の舞台を何度か観ている人なら絶対わかる。

あんな適当な舞台を観たのは後にも先にもあの時だけだ。

その舞台の帰り道は生きているうちにツアーキャストじゃない本場キャストで観ると心に誓った。

 

 

 

そういったわけでそういうミュージカルが好きなわたしは『RENT』も絶対好きな作品だと思ってはいて、Amazonプレイリストで聞いた『RENT』のテーマソングの『Seasons of Love』が一度聴いただけで大好きな曲になっていたので、観たいとかねがね思っていましたが、チャンスを逃していました。

 

『エターナルズ』を観に行った時の予告で『ディア エヴァン・ハンセン』がものすっごくよかったためミュージカル熱がわたしの中でかなり上がっていました。

 

deh-movie.jp

 

トニー賞の常連である、エヴァン・ハンセンの主演、ベン・プラットの存在を初めてわたしが認識したのはピッチ・パーフェクトでした。

ちょい役でありながらその歌うまで存在感を見せつけており、その後のネトフリドラマ『ポリティシャン』で主演するも、ストーリーとはあまり関係なく何故か彼が歌うシーンがたくさん盛り込まれているという、歌うために生まれてきたような人ですが、エヴァン・ハンセンの予告で劇場に響き渡る彼の歌声はかなりの破壊力で、わたしをミュージカルの世界にかなり強い力でぐっと引き戻しました。

同じ日に予告で観たアレサ・フランクリンの映画で主演していたジェニファー・ハドソンの歌がかすみました。

 

そんな折、Netflixで予告がバンバン流されていた『tick tick BOOM!』を絶対観たいと思っていたわたし。『RENT』の作者の物語ということで先に『RENT』を観ようと思っていました。幸い『tick tick BOOM!』の宣伝もかねてか、Netflixで映画版が配信されていたので即視聴。

 

『tick tick BOOM!』を観てから『RENT』を観ても、わたしのように『RENT』を観てから『tick tick BOOM!』を観てもどちらでもいいけど、どちらかを観て気に入った人は両方観た方がいいと思います。

 

人気のあるロングラン作品だけあって『RENT』の方が物語としてはわかりやすい気がわたしはしました。登場人物も多いし、感情移入しやすい。

舞台で観るとまた違う感想になるのかもしれないけれど、『tick tick BOOM!』は配信ミュージカル映画ならではの玄人好みな感じ。

 

ここは好みの問題だと思いますが、わたしはどちらかを劇場に観に行くなら絶対『RENT』です(笑)

 

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歌い手さんの数が多いし、やっぱり『Seasons of Love』を生で聞きたい!!っていうミーハー心は捨てきれない。

 

いずれにしてもどちらも楽曲は本当に素晴らしかったので、その点も含めて後半では感想を綴っていきたいと思います。

 

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二作品を同時に紹介するので、まずはざっくりとしたわたしのイメージをお話ししたいと思います。

 

『tick tick BOOM!』は天才の生きざまを描いた作品で、『RENT』は天才が自分以外の人にもわかりやすくその世界観を描いた作品。

 

世の中には著名な天才がたくさん存在していて、その天才が描かれている作品も数多い。わたしがそれらを見て思うのはその天才たちが才能をいかんなく発揮して世にその存在をしらしめることができたのもいろいろな要素が絡みあっているなーという点です。

 

まず、本人が持って生まれた才能を発揮しようとしなくてはならない。

 

得意なことが好きなこととも限らないし、好きなことが得意なこととも限らないし、絵のほうに進んでしまった手塚治虫ダ・ヴィンチも、もしかしたら学んでいた医療の分野でたくさんの人を救ったほうが人類のためになったかもしれないと思うと同時に、ほかの道に進んでしまってその才能が埋もれてしまった天才もわたしが思っているよりもはるかにたくさんいるのだろうと思う。

 

才能を伸ばせる家庭環境、性別、生まれた国、時代、人との出会い、本人が維持できるモチベーションなど様々な要因が絡みあっている。

天才が天才でいられるには全ては運みたいなところがあるけど、もちろん世に知られるような天才は運も持っているわけで。

 

何が言いたいかというと、天才のサクセスストーリーはだいたいそんなに大差がない、という暴論になってしまうんですけども・・・。

なので、ストーリーに関してはそこまで言及することもなくて、そもそも題材になるような人はそういうことだと思うんですよ。

生きているうちにとか死後に評価されたとかいろいろあるにしても何かを成し遂げた記録のある人なわけで。

夢をかなえられなかった人の中にも劇的な人生の人がいると思うんですが、そういうのは題材に向かないしね。

でもわたしはそういうのがあってもいいと思う。

夢があって才能もあったけど、夢に生きなかった人の話。

 

だいたいの天才物語は家が裕福でその道にまい進できたり、逆に貧乏でハングリー精神が養われたり、親がよかったり、クズだったり、時代背景が違ったり、追うジャンルが違ったり、男だったり女だったりそうじゃなかったりぐらいの感じで、こちらの作品もストーリーはそんな感じなのですが『tick tick BOOM!』が圧倒的に他と違う光を放っているのはミュージカルだから。

 

『tick tick BOOM!』には素晴らしい音楽がある。

 

歌詞を訳した人、大変だっただろうなーと思います。

 

音楽はすごくポップなんだけど、歌詞がなんていうんだろう。

ミュージカルの歌詞って要はセリフじゃないですか。

冒頭の『30/90』あたりは独白なのでわかりやすかったけども、劇中歌なんかが直訳に振り切っていたのも、表現するのが難しかったからなのではないかと後半にいくにしたがって思っていた。

英語が喋れないから、わたし自身は気持ちとして言葉を感じ取れないので違和感としてしか受け止めきれなかったのは非常に残念でしかないです。

 

そして、ミュージカルはやっぱり音楽が命だなとも。

 

音楽が素晴らしいと引き込まれ方が違う。

 

ただ、天才だから凡人には難しいと思うところもあったし、たぶん全部は理解できなかった。

 

そんな彼が作った『RENT』。

天才が自分だけじゃなくて、大人になって周りも見えてきた結果生まれた作品っていう感じがしました。

なんていうんだろう、天才って周りに恵まれている人が多いじゃないですか(笑)

そして、そのまばゆい才能に惹かれる人が自然と集まってきちゃって助けられることも多くて。

 

天才本人は周りを心から愛しているつもりでも、相手からみたらバランス取れていないこともたくさんあって。

若さと思いだけで走ってきた彼が、いろいろな挫折や出会いのなかで、もがき苦しんで周囲を見渡した結果、自分の頭の中以上に劇的な人生がそこかしこにあることに気づき、全員が主人公になれると思って出来た作品だと思った。

RENTは主人公という主人公がいなくて、それぞれがとても印象深いキャラクターで割と出番も均等だった。

『RENT』を先に観たからこそ、彼がRENTで人に寄り添いたい、人を愛してやまないという気持ちが伝わってきた気がした。

 

そして、実際の世界はお芝居みたいに主役とわき役で別れてない、っていう強いメッセージ性が観てる人に伝わるのも人気の秘訣なんじゃないかなと思いました。

 

『tick tick BOOM!』では、タイムリミットに焦る時限爆弾を描いて、『RENT』では今を生きる大切さを描いていました。

 

『Seasons of Love』の歌詞は1年を”分”で現した数字から始まる。

日でも秒でもなく”分”なのは趣深いですよね。

tick tick は秒針の音なのに。

 

わたしは凡人なので天才が頑張ったおこぼれをあずかって趣味を楽しんだり、医療を受けたり、テクノロジーの進化で生活が楽になったりしていて本当になんて感謝したらいいのか(笑)

 

とにかく二作品とも気に入ったので近々また再視聴したいと思います。

 

ネタバレなしで書こうと思ったらすごくとりとめのない感想になってしまいました。

ごめんなさい。

 

というわけで、それではまた。

 

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※ブロードウェイ版も観たい。

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