2022年秋ドラマ『エルピス』に衝撃を受けたので、どうしても同じ脚本家のドラマを観たくなりました。
日本のドラマは脚本家で観るものを選ぶタイプです。
でも、今回の『エルピス』はキャスト観(長澤まさみ)だったにも関わらず1話観ただけで脚本が気に入ってしまった。
脚本にはそれぞれ色や特徴があるので、同じ脚本家のものは相性がいいのがあらかじめわかっているので「外れが少ない」というのがその理由です。
ですが、今回の『エルピス』を脚本されている渡辺あやさんは過去作品が非常に少なめでした。
調べたところ、NHKオンデマンドであれば、朝ドラの『カーネーション』をはじめ、松坂桃李主演で話題になった「今ここにある危機とぼくの好感度について」も観られるということで、勢いで登録しちゃったんですAmazonチャンネルのNHKオンデマンド。
※Amazonチャンネルは月額課金なので月初の登録がお勧めです。
11月の1週目に登録して、ちょうど10週目の66話まで視聴完了しました。
半月かかってますね。けっこうかかったな。
先週末は用事があったのであまり進まずに、この土日でかなり進めることができました。
全151エピソードのうち、4割ぐらい進んでます。
1週約90分×10回分なので、1話がちょっと長めの海外ドラマを1シーズン見切ったぐらいの疲労感でした。
Netflixみたいにイントロスキップがないので、オープニングの曲を毎回飛ばすのが非常に面倒でしたね(笑)
『カーネーション』は今から10年以上前に2011年下期の朝の連続テレビ小説の枠で放送されました。
ファッションで有名なコシノ三姉妹の母で自身も洋裁の仕事に身を捧げた小篠綾子氏がモデルで、主人公小原糸子を尾野真千子さんが演じています。
わたし自身、朝ドラを今までにきちんと観たのは二本だけで、それこそ脚本家だけで選んだ『あまちゃん』と、後半恋愛方向に振り切った話になり、観るたびに文句しか出なかったのに何故か最後まで観続けてしまった『まれ』の二本だけ。
『まれ』は最後本当に虚無しかなくて、人生で観て公開した作品ベスト10にこの先も入り続けると思う…。
ある意味印象深い作品ではありますが、その一方『あまちゃん』はDVDボックスを持っているぐらい自分の中で大切な作品になっています。
『あまちゃん』のあとの『ごちそうさん』と『まれ』のあとの『あさが来た』はあっさりと挫折。
そういったわけできちんと朝ドラを観るのはすごく久しぶりで、朝ドラのセオリーみたいなものは全く知らないので他の朝ドラと比べることはできないのですが、『カーネーション』は今のところすごく面白いです。
時代が大正時代から始まって、今は第二次世界大戦真っ最中で気持ちが沈むことも多いのですが、やはり脚本がいいんですよね。
正直、主人公の糸子はパワフルすぎて性格に繊細さがなく周りを振り回すタイプなのであまり好きなタイプではないですし、成長を応援するという感じでもありません。
こちらが応援しなくても勝手にがつがつ進んでいくタイプだし…。
ただ、糸子の周辺のキャストがよいのと、その脇役のキャストを無駄にしない脚本のよさで、主人公を応援しながら観ているというより、むしろこっちが応援されている感じになって元気が出るんですよね。
というわけで『カーネーション』のこれまでの好きなところを何点か紹介していきたいと思います。
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①女に生まれてきたことの理不尽さをうまーく描いている
主人公の糸子は『だんじり祭り』の街、岸和田の負けん気の強いやんちゃな性格の四姉妹の長女の女の子。
だんじりの屋根で踊りながらだんじりの指示を出す【大工方】に憧れるも女性には無理で、絶望するのが1週目。
小さな女の子がだんじりへの思いをと決別するまでを描くのですが、学校では『男性に控え目に尽くすのが女の役割』と教育され、同級生には「女のくせに」と罵られる。
父も家父長制を絵に描いたような人物で悪い人ではないけれど昔ながらの人。
主人公の糸子も社会的な女に生まれてしまった理不尽さと求められている役割はわかっていて、受けれいている部分もあって女であることの理不尽さと本人は戦ったりしないんです。
周りも誰一人としてそれが差別的なことだとは思ってないから。
そういう女性蔑視も含めて当然の日常として日々過ぎていくんだけど、観ているほうが「こういうことに日々我慢をしている」と思って自分の中の身に覚えと対峙する感じ。
ガミガミはっきり言わないながらも、そういった理不尽を受け入れたり乗り越えたりしていく主人公に元気をもらえます。
②主人公が絶対的に愛されている
だいたいの朝ドラヒロインは愛されているものだけど、特に、母方の祖父母には溺愛されていてそれを見るのが癒しです。
だいたい少女漫画の主人公なんかも陰キャはいないので、突っ走ってく感じの人が多いと思うんですけど、糸子は機関車です。
近所の人とかにもすごい可愛がられていて、何かあっても目の前の壁を超えるのではなく破壊しながら進んでいきますがそのまっすぐすぎる性格から物語中盤、最大のやらかしをしてしまうのですが。
すごい泣いちゃった…。
描き方うますぎない?と思って。
テンポよくただただ明るく過ぎ去るだけでなく、周りの人に色々起こることで
③友情の描き方
糸子と不思議な友情を築いていく料亭の娘。
この子がまためちゃくちゃいい娘でさぁ~(涙)
糸子の結婚式のときはすごい泣いちゃった。
奈津もまた糸子を愛している一人なんだけど、糸子にうんざりしていると奈津が出てきて助けてくれるので奈津がいなかったら挫折していたかもしれない。
『カーネーション』では女のさらっとした付き合いの友情を描いてくれているところも好きなところで、八重子さんとのこともそうなんだけど女同士の付き合いって世間が思ってるほどどろどろしてなくて、どろどろしているのは一部の人だけな気がするんだよね。
ドライな女たちが一部のどろどろしている人に巻き込まれるから、女はどろどろしてるって思われる気が『カーネーション』を観ているとしてくる。
④テンポがとにかくいい
物語がだるつくのがとにかく嫌いなわたしが飽きずに観られるスピード感。
それでいて朝の忙しいときに観てもわかる程度の物語のわかりやすさ。
挫折も二話分ぐらいでサクッと終わらせて次の展開に突き進んでいくのでこちらも辛さを引きずらないし、1週間できちっと一旦物語をまとめてくれるのが素晴らしいです。
物語を書いてみるとよくわかるのですが、物語の設定や冒頭は凡人でも容易に思いつくものなのです。
それを綺麗に終わらせるのが本当に難しい。
毎週1週間で一つの区切りをつけてくれるのでスッキリする。
⑤着物と洋服が可愛い
手作りの洋服可愛いし、着物も可愛いんですよー。
わたし、自分が着飾るのはそうでもないですけど、人が着飾っているのを見るのがとても好きなんです。
デザイナーであり、洋裁師のお話だし基本的には着物の時代なので、和装洋装どちらでも楽しめます。
そんで「この生地でワンピース作るわ」ってなったら仕上がりが見たいって思うじゃないですか。
見せてくれる(笑)
すごく嬉しい。
以上が好きなポイントで、とにかく【一人の女性の物語】のドラマとしての丁寧さが光っていると思います。
そんなわけで、元々のきっかけの『エルピス』がとん挫しているわけですが、これはまとめて続けてビンジしたいんです。
とりあえず、後半の『カーネーション』を観ましたらまた戻ってきたいと思います。
それでは、また。
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